深夜の戦い
今回田吾作君がやっちゃいます
田吾作と見張りを交代しようと家を出たジョンは田吾作を捜すが
あたりは真っ暗で何処にいるのか全く見えない、仕方なく
「お~い!田吾作~!何処だ~」
大声で呼びかけると
ガチャコーン、ガチャコーンと田吾作が走りよってきた
「遅いです!マスター、何かいますよ、あの茂みの辺りです
田吾作が指差す方向を見るが真っ暗で何も見えない
「なっ!何がいるんだよ?お前ちょっと見て来いよ」
「嫌です!と言うより無理です、エネルギーがきれそうです」
「嘘だ!まだいけるだろ、ちょっと見てくるだけだから!」
「ダメです!ピコーン、ピコーン、ピコーン、ほらエネルギー
切れの音が」
「嘘をつけっ!そんなカラータイマーつけた覚えないぞ、
口で言ってるだろが~!」
「ああぁ!エネルギーが切れるぅ~」
そう叫び田吾作は家に駆け込んでしまった
「あの薄情者!本当にカラータイマー付けてやろうか!」
とブツブツ言いながら指さされていた場所に近づくジョン
かなり腰が引けている
ようやく暗闇に慣れた目で茂みを見渡すが獣の気配は感じず
ただ暗闇があるだけだ、しばらく様子を伺い畑の周りを巡回
しているとガサゴソっと茂みの方から音がする
「いるのはわかってるんだぞ!出て来い」
勇ましく声をかけるがガサゴソという音が聞こえるだけだ
ジョンはそこらに転がっていた石を拾い上げ茂みに向かい
投げつけるとフゴッフゴッと鳴き声がして何かの物体がジョンに
向かって走り突進してくる
「うぎゃ~!くるなぁ~」
やはり落ちていた棒切れを掴み振り回しつつ逃げ回るジョン
あまりの剣幕に猪もどきは何処かへ走り去ったがジョンは今だ
走りまくっている
夜半遅く迄そんなことを続けていたジョンは何度か猪もどきの
襲撃を受け、何度か撃退し『これは間違いなく餌場認定されている』
と考え罠の設置を検討する
明け方近くエネルギーチャージの完了した田吾作が交代にきたので
落とし穴の設置を命令し家に帰る事にした
翌朝目覚めたジョンが畑に出てみると昨日程ではないがやはり
何者かに畑が荒らされている、主に東側の被害が大きいので
東にあるジャングルから奴らは来襲しているようだ
そこでジョンは東側に田吾作に命じ落とし穴を何カ所か設置する
昨日掘った穴にも上からわからないように被せ物をして落とし穴
として活用その日一日中かかって数箇所の落とし穴が完成した
早朝明け方から工事現場よろしく穴掘りに明け暮れていた
田吾作がエネルギー切れをおこしそうなので今日はジョンから
見張りにつく、長い夜の始まりだ、しかし二日目の睡眠不足と
昼間の重労働のため見張り中にジョンは眠ってしまう夜中に
エネルギーチャージの完了した田吾作に叩き起こされる
「マスター!マスター、ナニネテルノデスカ?」
「うふぁぁ~!んっ、何だ?田吾作か、どうした?」
「どうしたではありません!マスター、見張りはどうしたのです、
眠りこけていては見張りは出来ませんが」
「ああ!悪い、眠っちまったようだ」
「全く!ヤレヤレマスターに任せた私が馬鹿でした、今日は
もうお休み下さい、朝迄私が完璧に見張っておきます」
ジョンはイラっとしたが眠ってしまったのは自分なので文句も
言えず帰って眠ることにした
「さて!ダメ主人はあてになりません、私が朝迄見張らなければ」
独り言を言い見張りを始める田吾作、暫くたつと
「しかし朝迄ながいですね!明日もありますし、仕方ありません
低燃費モードに移行しましょう」
田吾作は畑の中央で動かずセンサーだけを働かせ見張っている
また暫くたつと
「よく考えれば明日の作業も土木作業でエネルギーを使いますね
マスターに任せられません、スリープモードでエネルギー消費
を抑えておきましょう」
誰にともなくそう宣言するとスリープモードに移行した
畑の中央には案山子になった田吾作が仁王立ちしている
翌朝目を覚ましたジョンが畑に出て見た光景は荒れ果てた農地の
中央で朝焼けに輝きながら昇天しているかのような田吾作がいた
「たっ!田吾作、お前・・・」
田吾作に近寄り猪もどきとの死闘の末昇天してしまった田吾作
に抱き着きながら涙を流すジョン
「必ず!必ず敵は討ってやるからな!田吾作ぅ~」
田吾作との思いでが走馬灯のようにジョンを支配していた
溺れた田吾作をおぶって帰った事、やはりエネルギー切れ
をした田吾作をおぶって帰った事、馬鹿にされたこと、
主人を身代わりにしようとした事、思い出すたびに
どんどん怒りがあふれ出してくる
そしてジョンの怒りのブルテージがマックスになった頃
「何を泣いているのですか!マスター、大の男がみっともない」
「んっ!何、なんで生きてるんだよ、お前」
「マスターこそ!私に抱き着いて何を泣いているのです?」
「お前!昨晩なにしてたんだ?」
「私は不甲斐ないマスターに代わり畑の見張りを」
田吾作は気付いた、畑は明らかに荒れ果てている
「見張っててなんで畑が荒れてるんだ?」
「私は今日の作業のためにエネルギー消費を抑え・・・」
「寝てたんだな!お前寝てただろ」
「失礼な!低燃費モードを超える消費を抑えたスリープ・・・」
「寝てんじゃね~か!爆睡モードじゃねぇか」怒
この後エネルギー消費をセーブし元気一杯の田吾作と
一晩ぐっすり眠り元気一杯の鬼ごっこが始まる
まだ二人は気付いていない、眠りについた事により結果オーライ
大金星を挙げた田吾作のスーパーファインプレーに
このファインプレーのおかげで田吾作は解体される事を
間逃れるのであった。
猪もどきはもう猪でいいでしょうか?
悩んでます・・・・