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移民農業奮闘記  作者: マダム
14/58

種芋か種か、それが問題だ!

今回は田吾作の弱点があきらかに・・・・

翌朝何時ものように起こされたジョンが窓から外を眺めると曇り空が


見えた、今にも降ってきそうな天気だ!


「お早う!エリー、田吾作も起きてるか?」


「お早うございます!マスター、歯を磨いてきて下さい」


「お早う御座います、マスター、エリー様」


何時もと変わりばえしない挨拶を交わし一日が始まる


「今日は俺は種蒔き!田吾作は開墾作業の続きでいいな」


「それで宜しいかと!マスター」


「それじゃ~早速!芋から始めるか」(嬉しそうな顔をして)


「いいえ!マスター、先ずは小麦と豆からお願いします」


「え~!何でだよ~、良いじゃん芋からで」(膨れっ面に変わる)


「ダメです!先にお芋を植えてしまうとマスターは開墾作業を

しなくなる恐れが有ります」


「ちゃんとやるよ~!だから芋が先で・・・・」


「ダメです!今日は小麦50アール、豆50アール分の種蒔き、

終了後残りの開墾作業をお願いします、良いですね」


生憎の曇り空、農作業に出た二人はジョンは種蒔き、田吾作は


開墾作業に精を出していたが暫くするとポツリポツリと雨が降り出した


「マスター!雨が降り出しました」


「ああ!わかってるよ、いちいち言いに来るな、仕事しろ!」


「濡れますよ!今日の作業は中止しましょう」


「なに馬鹿な事を言ってるんだ、大した雨じゃあねえよ、作業しろよ」


何やら渋々作業に戻る田吾作、ジョンは種蒔きの作業に集中すると又


田吾作がやって来て


「マスター!大変です、雨足が強くなってきました」


言われると確かに先程よりは雨の量が多くなりジョン達を濡らしている


仕方なくカッパを着込み作業を続けようと田吾作をみると


「雨が!水に濡れて、ああァこんなに濡れて、ダメだ、・・・・」


何やらブツブツと喋り、身体も小刻みに震えている


「どうしたんだよ?田吾作?田吾作さん、なに震えてんだよ?」


しかし田吾作はブツブツ言い続けジョンも視界に入っていないようだ


仕方なく作業を中断し家に帰ると田吾作は部屋に駆け込み震えている


「一体どうしたのです?マスター」


「俺もわからねえ?急にブツブツ言い出したと思ったら、・・・・

ん~!雨が降り出したらこんなになっちまったんだ」


「雨ですか?・・・少し調べてみましょう」


エリーは雨の成分を分析したが何もおかしな所は無かった、そして


田吾作のデーターを調べてみると・・・


「わかりました!マスター」


「何だったんだ?やっぱり雨が原因か?」


自分も雨に降られたものだからちょっと怖くなってきたジョン


「そうですね!雨が原因と言えば原因でしょう」


「マジかっ!やばいのか、ここの雨は」


ジョンは軽いパニックに陥った、流石に居住可能惑星とはいえ未開の


惑星の雨である、未知の病原菌でも含まれていたのか?


「いえ!なんと言いますか・・・・タゴサクは数日前に川で流された

のを覚えていますか?」


「ああ!担いで帰るの大変だったからな、よく覚えてるよ」


「その時のダメージで、なんと言いますか水恐怖症の様な状態に」


「はあぁ~?なんでアンドロイドが恐怖症になるんだよ?」


「私に聞かれても・・・ともかくタゴサクの精神状態と言いますか

データー状態は水に濡れることに拒否反応を起こしております」


「何で凡庸アンドロイドにそんな高度な事が出来るんだよ!」


「確かに高度と言えば高度ですが!如何しますか?学会に発表

なさりますか?」


「いや!そんな時間ねぇし、田吾作お前ぇ~何考えてんだよ、

しっかりしろよ」


「マスター!すみません、でも水に濡れるとどうしても怖くって」


「何が怖いんだよ!どこまで面倒臭い奴なんだ、なんでそんなに

人間臭いんだよ、おまえは」


「もう僕の事は放っておいて下さい」


「だあぁぁ~っ!なにが放っておいて下さいだよ!お前ふざけて

んだろ?おちょくってんだろ!」


「でもどうしても水が・・・」


「てめぇは防水付いてんだろがぁ~!よぉ~!、もうやだこいつ

・・・・ばらそう、もうバラバラにして売っぱらっちまおう」


「お待ちください!マスター、私に話させて下さい」


「ふふふっ!もう無理だ!こいつはもうスクラップだ、

OSフォーマットかけてやるんだ」


「まぁ!まぁ、落ち着いて下さい、マスター。

タゴサク!いいですか?よくお聞きなさい、アンドロイドは

人間にお仕えするのが仕事なのですよ」


「でも私は!水に浸かるとどうしても・・・」


「わかっています!怖いのですね、私にも恐怖を防ぐ手立て

はありません、が、水を防ぐことは出来ます」


「えっ!本当に・・・」


「はい!可能です、水さえ防げればあなたもアンドロイド、

マスターのお役に立てるはず、いえ、立ちたいはずです」


「はい!でも本当に水が防げるのですか?」


「通常なら防げません!ですがマスターのお力をお借り

すれば可能なのですよ」


「本当に・・・、マスター!お願いします」


「おいおい!エリー、どうすんだよ?」(小声で)


「お任せ下さい!マスター(小声で)人間はアンドロイド

より 水に弱いのはわかりますね、そんな人間がどうして

雨の日に外で仕事ができるのか?」


「それは・・・」


「カッパです!水に弱い人間はカッパを着込むことで雨に耐えれる

のです、そのカッパをマスターのカッパをあなたに譲っていただき

ましょう、防水機能の付いたあなたがカッパを着込めば、お分かり

ですね」


「私がカッパを・・・」


「マスター!カッパを渡して下さい(小声で)」


「ああ!田吾作、ほらっカッパだ」


「マスター!あっ、有難う御座います」


「さぁ!それを着て外にでてみなさいっ」


いそいそとカッパを着込み外にでた田吾作、しかしすぐに


家に入ってくる


「だっ!ダメです、まだどうしても・・・」


「大丈夫です!カッパに引き続きマスターにもう一品、

おねだりしましょう」


「もう一品?なっ、なんでしょうか?」


「マスター!傘を、傘を渡して下さい(小声で)」


「んっ!ああ、田吾作、ほれっ、傘だ」


「傘・・・!これを私に?」


「良かったですね!タゴサク、さあカッパを着てなおかつ

傘までさしたあなたにもう怖いものなどなにもありません」


「はい!有難う御座います、エリー様」


「いいえ!カッパも傘もマスターに頂いたものでしょう?」


「はっ!すみません、マスター、有難う御座います」


その日から雨の日はカッパを着込み傘を差し農作業を働く


アンドロイドの姿があった

ナイーブなアンドロイド田吾作、彼は何処へ向かうのか?

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