開墾3
問 今回、田吾作はどうなってしまうのでしょう?
何かをやり切った清々しい顔で眠っているジョン、実際には草刈り
しかしていないのだが
「お早うございます!マスター、朝です、起きて下さい」
「んっ!ふぅふぁ~、お早うエリー」
「マスター!本日は火入れ作業をお願いします」
「んっ!まだ草が枯れてないんじゃないか?」
「はい!確かに枯れていないのですが、明日は雨が降りそうで」
「そうか!よし、今日は火入れして耕しにはいるか」
「はい!そうして頂ければ、それでは歯を磨いて来て下さい」
「了解!田吾作、おきてるか?飯頼むわ」
「はい!マスター」
朝食後前日刈った草を数カ所に小山にして火を付けて行くと
白い煙が辺りに充満し周りが見えなくなる
「ゴホッ!ゲホォッ、う~やっぱり生乾きの草は煙が凄いな」
「マスター!私にお任せ下さい、私なら煙の中でも平気です」
「をっ!流石頼りになるなぁ田吾作君、じゃあ任せるよ!」
ジョンは倉庫に行きトラクターをひつぱり出す事にした
スクラップ場で朽ちていた物を修理し魔改造した自慢の一品である
「よ~う!田吾作君、無事燃えた様だね、火事とか心配しちゃったよ」
「大丈夫です!マスター、所でそれは何ですか?」
「をっ!流石田吾作、お目が高い!こいつはスーパートラクターKだ」
「スッ!スーパートラクターK、格好良いです」
どうやら田吾作のネーミングセンスはジョン同様終わっているようだ
「よ~し!火は燃え尽きたな、それでは作戦を説明する」
「はい!マスター」
「まず我々は4ヘクタールの土地を草刈り、火入れが終わった所だ、
そのうち2ヘクタールを只今から耕すのだ!」
「はい!マスター、質問があります、どの部分を耕しますか?」
「うん!いい質問だ、田吾作君、我々は正面ど真ん中を耕す」
「端から順に耕さないのですか?マスター」
「田吾作君!真ん中の方が気持ちがいいじゃないか」
「ソウデスネ!」
「そこでだ!私がこのスーパートラクターKに乗り畑の真ん中を
ズバァーっと耕していく、田吾作君はその後から土から出てきた
石や根っこを拾い集めていただきたい」
「拾い集めるだけですか?マスター」
「うむ!簡単なお仕事だろう、このカゴを渡そう!このカゴに
石やら根っこを入れて一杯になったら畑の外に集めてくれたまえ」
「はい!了解しました、マスター」
「では行くぞ!スーパートラクターK!発進!」
気持ち良さそうにトラクターを走らせるジョン、その後ろから
カゴを担ぎ石や根を拾い集める田吾作、快調だ。
「燃える男の~◯◯のトラクタ~!」
ジョンは鼻歌交じりにトラクターを走らせていると
「マスター!重くて持ち上げられません」
「どうしたんだい?田吾作君」
見ると両手で一抱えわありそうな石を待ちあげられず田吾作が
苦労していた
「非力だなぁ~!田吾作君は、よし、俺が取ってやるよ」
ジョンは石を抱え込み畑の外迄転がり出した
「済みません!マスター、30キロ以上の物は持ち上げられなくって」
「そうだな!性能が30キロ迄だものな!仕方ないよ、田吾作君」
「では気を取り直して!スーパートラクターK発進!」
しかし暫くすると又大きめの石が出没し中々仕事が進まない
何度目かの仕事が止まった時
「もういい!お前が乗れ!」
「よろしいのですか?マスター」
「仕方ないだろ!今日中に終わらないんだから、お前乗れ」
それからアンドロイドのトラクターの後ろからカゴを背負い
ついて行く人間という不思議な光景が見られた
その日の夜ジョンは田吾作の魔改造に手を出していた
田吾作のチューンアップ、つまり100キロ程度まで荷運び出来る
ように改造したのだ、それはもはや凡庸アンドロイドの壁を
ぶち破り軍用アンドロイドに並ぶものであった
作業に朝方までかかったジョンだが寝る前に田吾作の充電だけは
忘れなかった。
翌朝寝不足でも何とか起きた(叩き起こされた)ジョンは
田吾作を連れてリベンジへと家をでた。
「田吾作~!大丈夫か~?」
「はい!マスター、問題ありません」
「そうか!俺たち二人が組めば天下無敵!昨日の分を取り返すぞ!」
快調に作業を進めていた二人の頭上からバラバラバラと音がする
見上げると冷蔵庫のような洗濯機のような物体がヘリコプター
のように降りてきた
「なっ!なんだあれは?」
今まで賑やかなりに平和な開拓地に突然空からの来訪者(物)
それはこの開拓地に何をもたらすのか?
ジョンと田吾作は唯々二人抱き合ってその物体を眺めるだけであった
A チューンナップされます。