開墾
注 開墾シリーズ、永くなりそうです
定住を決めた次の日の朝、ジョンは独りでに起きた、やる気に満ちた男
には【目覚まし】は不要だ
「お早うございます!マスター、お早いお目覚めですね」
「お早う!エリー、今日は良い天気みたいだね」
二カッと笑うがまだ歯を磨いていないので歯は輝いていない
「お早う御座います!マスター、エリー様」
「お早う!タゴサク、早速マスターの朝食の用意をお願い」
「お早う!ダメ作、ミディアムレアで頼むよ」
「私の名前は田吾作です、マスター」
「馬鹿言ってないでさっさと歯を磨いて来て下さい」
だいたい軍払い下げのレーションを半生焼きにしてどうしよう
というのか・・・・
朝食を食べながら今後の(今日の)予定を話しだす
「早速芋から始めるか!エリー」
「芋ですね!種芋を注文しますがその前に開墾が必要です」
「そうだな!ダメ作、今日はちゃんとやれよ」
「私の名前は田吾作です、マスター」
「その前にマスター!家のエネルギー量が30パーセントを切って
いますので先に太陽光パネルを設置して下さい」
「だそうだ!ダメ作、精密機械なんだから壊すなよ」
「私の名前は・・・・」
「マスター!あなたもやるんです!」怒
二人(一人と一機)は二時間程時間をかけパネルを展開した
「どうだ?エリー、充電効率は?」
「比較的良好ではないかと思われます!マスター」
「良し!次は開墾だな、・・・何やりゃいいんだ?」
「マスター!移民船で何をしていたのですか?」(声が震えている)
「ちゃんと講習受けてました!え~と、開墾は・・・」
「はぁ~!先ずは伐採(伐木、刈払い)ですね、そして火入れ
(野焼き)、抜根、荒起し、砕土」
「そうだな!草刈りから始めようか」
「その前に綱貼りです!開墾予定地を決めましょう」
「ああ!うん、そうしよう・・・・」
開墾予定地は家の前方100m×100mの1ヘクタール、本来なら住居
スペースをいれ1ヘクタールまでの土地所有を認められているのだが
家は車で押し通すって事で目一杯広げた
(怒られたら土地を広げるなり農地に駐車するなりすれば良い!)
妙なハイテンションに支配されたジョンを止める者はいなかった
「よし!それじゃ~草刈りから行くか、いくぞ、ダメ作」
「私の名前は田吾作です!マスター」
家の前の草原を草刈り機で草を刈るジョンと鎌で草刈る田吾作
二人は(もう面倒くさいから二人)一心不乱に草を刈る
恐ろしい事に夕方にはほぼ全て1ヘクタールの面積を刈り切った
「ふ~!やっと終わったかな?そっちはどうだ、田吾作」
「田吾作~?返事しろよ、せっかく田吾作って呼んで・・」
遠くで田吾作が立ち尽くしている、ジョンが近寄るが動く
気配もない、まるで屍のようだ・・・
「おい!田吾作、返事しろよ、ダメ作って呼ぶぞ」
田吾作は動かない、いや、動けなかったのだ
動力であるバッテリーを使い切り正に燃え尽きた状態
「たっ!田吾作、真っ白い灰になっちまったか・・・」
「マ!マ・ス・タ・-・エネ・ル・ギー・がっ・・・・」
「って誰がお前を持って帰るんだよ!をいっ!」
ジョンはエネルギーの切れた田吾作を背負い家に帰る事に
しかし一日働き通した身体に60キロの重量は過酷であった
ゲージも振り切る程溜まりまくっていたやる気も消え失せる
ほどに・・・
毎日のように田吾作を背負って帰る状態に、この子は
【いらない子】なんじゃないかと考えるまでに時間は必要なかった
「お帰りなさい!マスター、いかがなさいましたか?」
「ぜぇ、ぜぇ!田吾作がエネルギー切れだ、ぜぇ、ぜぇ、」
「おや!まぁ、それは大変でしたね、大丈夫でしたか?」
「俺はもう限界だ!田吾作は売っぱらっちまおう、全く」
「だめですよ!これから馬車馬のように働いて貰うのですから」
「でもこいつ実働4時間くらいしか動けないぜ」
「バッテリー増設すればいいじゃないですか!マスター」
「ええ~!増設用のバッテリー高かったんだぜ~」
「いいからつけて下さい!マスター」
「いいからって!疲れてんだよ、今日は一日働いて」
「毎日働くんです!一人で毎日働くのですか?毎日一人で」
「たまには休みも必要だろ?」
「たった一日働いたくらいでなんです!残業です、今日は」怒
田吾作の内臓バッテリー増設作業は深夜迄かかった、昼間の仕事と
「夜ご飯だけは食べさせてくれ」というジョンの心の叫びに了解
したエリーの優しさがあだとなり睡魔に襲われ作業が終わるころ
にはジョンはゾンビのようになってしまっていた
だから作業後即寝込んだジョンを責めるの事は出来ないだろう
たとえ翌日に地獄を迎えることになろうとも・・・
いつものように会話が独り歩きし話が進まない!涙