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羽近宮部

学校終わり、チア部のない日に帰ろうと教室を出て廊下を歩いていると突然声をかけられた


「位地応華さん! ちょっと、こちらへ」

その男子は、戸惑う私の手を取り肩を抱いてエスコートすると、とある部屋の前に連れて行く。扉を開けると中には長机を囲んで椅子が5つ置いてあって、そこには3人の生徒が座っていた


「さ、どうぞ」

その男子は、空いてる席を指し示す。

私は断る暇もなく押し出されるように部屋に入り椅子に座った


「さ、人もそろった事ですし始めましょうか!」

その男子は前方中央の席に着き言い出した


「あのぅ……、ここは何なんでしょうか……。ついでに、何を始めるんでしょうか?」

私がそろーっと聞くと男子は説明を始めた

「ここは、羽近宮(はねちかみや)高校を応援する部です。通称、羽近宮部! 生徒には、

『ばきんぐぅ』と呼ばれて親しまれているこの高校を盛り上げるために私達は日々話し合い、対策と研究を重ねています」


男子の話は止まらない

「今回の題材はこれだ!」

男子は用紙を机に突きつけると再びしゃべり出す

「最近、我が県の高校生徒に対する試験での平均値を調査したところ、

学力低下が著しい事が判明した。我が校にも、どうやらその波が押し寄せているようだ。各個人における試験での点数差が激しく、勉強における知識が実生活において無縁と感じる生徒には、使わないからと身が入らない事も多いだろう」



(え、何か話が進んで行くんだけど……)

「あの……、素晴らしい部だとは思うんですが。その羽近宮部になぜ私が……?」


男子の目がキラリと光る

「あぁ。瀬良の訓練を耐え抜いた貴女なら、何かよいアイデアを導き出してくれるかと思いまして。

文化部でしたら掛け持ちも可能ですし――」


男子は勢いよく切り替えして言った

「ということで、諸君! 何か良いアイデアはないか?」


男子2、女子1の他の周りの人達が話しだす

「それでしたら勉強というか、教科の面白いところを支援するのはいかがです?」


「うーん。じゃ、まず教科別に考えてく?」


「意見を出し合いましょうか。飯多(いいだ)さんボードに書いてくれますか?」


私をここに連れて来た飯多さんという中心人物は、端っこからこちらにホワイトボードを持ってくる


「準備万端! では、ディスカッション始め!」


「じゃ、まず国語からかな。現代文とか古典とか」


「国語は日本の心じゃない? 私の中にある日本の言葉が豊かになるわ」


「日本語の勉強になる、ね。それは一理あるかも」


「日本語って、敬語とか? 就職面接に役立つ!」


「敬語はもっと早くに習うでしょう。常識よ」


「あー、ハイハイ。じゃ、ラップに役立つとかは? 日本語知らないと韻も踏めないよ」


手塚(てづか)、面白そうな意見だね。それ、ちょっとやってみて」


「あ~ラップ? えっと。我がつよい女は苦手だぜ、俺のタイプはレディーガガ!」

「ただよく食べ、ただ朝早く起き、ただよく寝る、だが翌朝おれの息子はただよく勃つ~♪」


「手塚、それ……」


「明日こそ なにか良いこと あるだろう 友蔵心のは……」


「ちょ、藤宮(ふじみや)、いきなりそれパクリだから! 俵道(ひょうどう)、ラップどう?!」


「駄目だ、話が脱線する……。次に移ろう」




「次、社会。日本史、世界史、地理辺りかな」


「日本史といえば偉人が素敵よね。特に武士の生き様に惚れるわ」


「サムライなんて日本代表以外、今の日本にいねーんだよ」


「あら、手塚は武士みたいに命をかけて戦うことなんてなさそうですものね」


「命をかける? 俺はTAに命をかけてるぜ!」


「TA?」


「んなもん、いかに素早くゲームをクリアできるかに決まってるだろ」


『ぁあ~』


「……そっちね。それはさておき、歴史上の人物の業績だけじゃなく、

人となりも知ると親近感が湧くかもね」


「歴史上の武将は男色だらけとか?」


「イャー! 私の中のイメージを壊さないで。でも、BLならいいかも……」


「……事実だから仕方ないだろ。歴史上の人物といえば、

見た目のインパクトが強いと覚えやすいよな。ザビエルとか絶対忘れないもん」


『確かに』


「……まぁ、人物像を知ってもらってイメージづけて興味を引く、そんな感じで行こうか。

次、数学」


「数学といえば、オイラーの公式が美しいわね。私、運命の相手の生年月日を求めてあるの」


「何それ? 高校で習わないし、高度すぎない?」


「藤宮さんはマニアックだね。俺は関数とか好きだよ、

気に入った曲線があればその数値を求められる」


「――線路マニア?」


「あ、うん。何でわかった……」


「あ、うん。何となく。うーん、二進法とかどう?」

「藤宮、10001101010001001000001010101011」


「え、なんですの? いきなり」


「藤宮、好き」


「えっ」


「っていう感じで、二進法に言葉を変えて想いを伝えるとか」


「……何よ! 紛らわしいわね」


「……手塚、それ普通に伝えたらよくない?」


「だよな、却下。ぁーあ、好きでもない藤宮のために手間暇かけたのに」


「何よそれ! 本当、面倒くさい男ね」



「……手塚、藤宮。時間ないし、次に移ろうか……」



「次、理科。化学、物理、生物――」


「ん、理科? 実験とか? (かえる)の解剖とか? 解剖とか? 解剖とか?」


「ん、そういう人いるよね。テンション上がる人」

「サイコパス」


「ちげえょ、そういう風に言うなよ」


「理科ってもしもの時にすげぇ、役立ちそうじゃね? アルコールランプでサバイバルとかできそうだし」

「薬品で化学反応おこして身を守るとか。この街がゾンビだらけになったら、ナイフの使い方とか、すげぇ役立つ、必ず」


「手塚、それ、バイオだよね? メルヘンの話かな?」


「……現実に即してませんわ」


「というかそれ、すでに理科というか、護身とか、体育に近いだろ」


「わかんないだろ。俺が隠れゾンビで俵道の肩にガブーッと!」


「あ゛ーっ、わかったから、やらなくていい! もしも街がゾンビ化した時に理科は役立つね! ハイハイ、次に移ろう」


「最後は英語。何かアリますか?」


「――英語が出来ると、イケメン外国人と知り合えますわね」

「美女と知り合える」


「げ、ハモった。うるせぇ、ブス」


「あら、外国の方はあなたとは違って、外見じゃなく内面で選んでくださるのよ」


「イメージなんだけど、日本顔の女性がやたらモテるよね?」


「そうそう、顔の好みの違いじゃね?」


「あなた達には、(わたくし)の良さなんて所詮わからないのよ」



そうしてあーだこーだ3人が言い合っている所で、飯多さんが私に話しかける

「位地さん。あなたの意見をお聞かせ頂きたいのですが」


「えっと……」


「遠慮なくどうぞ」


私は戸惑いながら口を開く

「あの……、皆さんどっかで名前聞いたことあると思ったら、成績上位の方で……頭いい方達ですよね?」


『ハイ』


(ぉ、ハモった……)


「でしたら……、勉強法とか、解説とか教えてもらったり、問題集とか作成してもらったほうがよっぽどみんなの学力アップにつながると思うんですけど……」


『……!』


「そんな簡単な事でいいのか! なぜ今まで気付かなかったんだ!?」

「早速、明日から作業に取りかかろう!」


『はい』


「あ、俺、教えるとか無理。授業以外、勉強してないし。試験の時、気付いたら点数取れてるっていうか、天才肌っていうか」


「――しねっ」


「おぃっ、人にしねとかブスとか使っちゃいけないんだぞーっ」


「ぅるさいわね! あんたでしょ先に使ったの!」


『○!※△◎☆#♪%◇@&■!』


「遅くまでありがとうございました。行きましょうか、位地さん」

そう言って飯多さんは部屋を出て扉の前まで送ってくれる


「仲間が騒がしくて、申し訳ない。しかし、本日は本当にありがとうございました。貴女はこの羽近宮部に必要な存在です!! 是非、これからもよろしくお願い致します!」


飯多の目がキラリと光る

「――入部して頂けますよね!?」

飯多は位地の手を取り懇願(こんがん)する


「……は、はい」


「ありがとうございます!」


(あぁ。押しに弱いな私……)



-予告-

通学初日に瀬良さんに目を付けられた私はチア部に入部させられてしまう。しかしチア部の魅力に気付いた私に飯多という第2の刺客が立ちはだかり再び羽近宮部に入部させられてしまう。これから私はどうなってしまうのか?! さぁ、次回もばっきんぐぅ~!


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