宣戦布告
「おはよう、ゼラル。」
「ん?ああ、おはよう、ミュウ。」
「み、ミュウさん、おはようございます!」
「もう、マックス君。いつも言ってるけど敬語はいらないよ?」
「そ、そうです・・・いや、そうだな。おはよう、ミュウさ・・・ミュウ。」
「もう、早く慣れてね。なんか肩こっちゃうから。」
「凝るほどもない癖に。」
「・・・何か言った?ゼラル。」
「さあ、なんだろうな。それにしてもデレすぎだぞ、デレックス。」
「俺はマックスだー!」
遊びに行ってから数日が経ち、今ではすっかり打ち解けられている。マックスとミュウの仲も悪くない。まあ、マックスはまだ緊張しているようだが、時間が解決してくれるだろう。
それはさておき、今日は学園でイベントがあるのだ。
「それにしても今日は楽しみだね!」
「そうですよね。今日は何と言っても授業参観日!子としては親に今までの成長を見せたいですよね!」
「マックス君、敬語。」
「忘れてた。」
「まあ、バカックスだからな!」
「俺はマックスだー!」
そう、今日は授業参観日。いわゆる親が子供の日頃の授業態度を見に来るのだ。
「魔帝の一族の人も来るんです「敬語。」・・・来るのか?」
「来るんじゃないかなぁ。まあ、私はいつも通りやるだけだけど。」
「ミュウはエリートだからな。そういうマックスの親は来んのか?」
「やることもないし、来るとは言ってたぜ。ゼラルはどうだ?」
「うちか?もし来るなら魔物が来るぞ?」
「ハハハ、ゼラルはたまによく分かんねー事言うよな!」
事実なんだけどな。俺にとって親はイレイズだ。家族と言えるのは魔の森の魔物達。そうとなればもし、来るのなら魔物だろ?まあ、来ないけどさ。
そうこう話しているうちに学校まで到着した。着いた途端に視線を感じた。レイだ。ミュウはレイに気がないと言っていたがレイの方は違うらしく、ミュウのことを想っているらしい。そして、俺がミュウと付き合っているとか思って怒りの視線を送ってくる。
まあ、今まで何もされてこなかったから大丈夫だと思っていたが今日は違ったらしい。
「ゼラル!」
「なんでしょうか、レイさん?私のようなものに何か御用でも?」
いちいちうるさいやつだ。そんなに大きな声を出さなくてもいいのに。もちろん口調は適当に魔帝一族と話すのに無礼がないように細心の注意を払ったのだ。
「なんだその口調は!巫山戯るな!」
「ふざけているなんてとんでもありませんよ?口調が悪くて当主なんかに影口されたら堪りませんから。ええ、決して巫山戯ている訳ではないのですよ。」
「影口なんかするか!普通に話せ!」
あらあらまあまあ、怒られてしまったではないか。ミュウ達も笑いを堪えるのに必死という表情だ。まあ、遊びはこのくらいにしてと。
「っで、なんだ?」
「ふん、それでいいんだ。何、今日の実技の時間のことだ。俺と組め。」
「何故だ?」
「何でもだ。いいな!」
そう言ってそのまま離れていった。最後にミュウに目線をさりげなく送るのも忘れずに。ここまで来ると気持ち悪いな。まあ、多分ミュウと仲がいいことに嫉妬しているのだろう。
「なんか、最後に私と目があったんだけど。何となく気持ちが悪いわね。」
小声で良かったよ。もし、レイに聞こえていたらもうライフポイントがゼロになっちゃうよ。レイもかわいそうに。




