生徒会長との戦い
昼飯を食べ、実技の授業になった。
「本当に大丈夫か、ゼラル?」
「おいおい、人の心配をする余裕がお前にあるのか?」
「でも、会長だぞ、会長!心を折られるぞ!?」
「安心しろよ。それよりお前が楽しみにしてた授業だぞ。欲望のままにやれよ、ハッスル?」
「俺はマックスだ!!!!」
「ハハハ。」
心を折られるぞ、か。逆に俺が折っちゃいそうだよな。生徒会長の座にも興味ないし適当にやるか。
「よし、お前ら、授業を始めるぞ!号令!」
「気をつけ、礼!」
「「「お願いします。」」」
「よし、早速だがペアを組め。学年は問わん。」
みんな、仲のいいやつと組み始めた。おー、あそこは魔帝同士で組んだのか。面白い戦いになりそうだな。マックスは・・・女の子を誘って振られてやがる。かわいそうに。
「イレイズ、お願いするぞ。」
「こちらこそ。それと、俺のことはゼラルでいいぞ?俺もランって呼ぶし。」
「分かった、ゼラル。それと、私は一応先輩だぞ?」
ランに注意を受けたが直す気はない。
そこで先生の声がかかった。
「よしお前ら!ペアを組んだな?では1組ずつ前で対戦してもらう。」
一年とはいえ、魔帝同士で組んだペアは予想が外れたとばかりに焦っている。そしてマックスを含め他の生徒は生徒会長であるランと対戦することになった憐れみの視線を送ってくる。
まずはレベルの低い所から始まり、だんだん終わっていく。マックスは結局、無駄に筋肉のついたガチムチな男と組んだようだ。あっさり負けていたが。
最後二組になった所で魔帝一族同士の対戦になった。どうやら俺らは最後らしい。
光の魔帝のレイ、闇の魔帝のミュウか。
「まさか組んで戦うのではなくペアで対戦とは参りましたね、ミュウさん?」
「大丈夫です。負けませんから。」
「ハハハ。それはこっちのセリフだよ。」
「無駄話をするな。・・・それでは始め!」
ミュウが手を広げるとミュウを中心に周りが暗くなり始めた。闇では暗い場所が有利。魔力を贅沢に使い、空間を支配したいのだろう。だがレイも黙っていない。負けじと空間を支配しようとする。互角だと思われたその時、ミュウが闇を圧縮し、ボールに変え、それを打ち出した。
「ダークボールか。勝負あったな。」
「なんだ、ゼラル、この段階で勝負がついたと?」
「ええ、ミュウの勝ちだよ。ランは分からないのか?」
「分かっているさ。ただ、お前を試しただけだ。」
どうだかな。
結局、レイがダークボールを慌てて光の防御魔法、ライトセイバーによって防いだが闇の魔法、影縫い、という影を伸ばし相手に絡みつく技を使い、相手を縛りダークボールを乱射してミュウの勝ち。敗因は空間を支配することに気を取られ過ぎたことだ。
「さて、次は俺らだな。」
「わたしに勝てばゼラル、君が生徒会長だ。」
「そうですね。」
なるつもりはないけど。
「よし、最後のグループだな。お前らもしっかり見ておけよ!」
ああ、魔帝の特にグラント家姉妹の視線が痛い。
「それじゃあ、始め!」
ランは風を操り俺に猛スピードで突進してきた。だが、所詮は風だ。俺は雷を身に纏い、移動中のランの後ろに一瞬で回り込み頭に触れた。
「な、なに!?」
「おいおい、こんなもんかよ、大したことねーな。」
周りにいるやつがみんな驚いている。まぁ、この学園の一番の奴相手を相手に余裕があれば誰でも驚くか。
「後悔するなよ?」
そう言って先輩はさっきよりもさらに加速して俺に迫った。今度は、ランの足を引っ掛けて転ばした。
「きゃあぁぁ!」
「まさか、これが本気か?」
「な、なんなんだ君は。」
「はぁー。つまんなかったなぁ。先生、降参。」
「な!?ふざけるな!?ゼラル、勝っているのになぜ降参する!」
「だって、勝ったら生徒会長になるんだろ?やだよ、面倒くさい。」
「え、えーと、勝者ラン ジュピター!」
拍手一つない。まだ、観客?も驚きから立ち直っていないようだ。
「この学園に強い奴はいないのかね?」
全く、嘆かわしいことである。
あっさり勝ってしまってすいません。
しばらくしたら強敵を登場させるつもりです。