5
ぼぅっと座席の窓から、隣で瞬く赤いランプを見つめる。くるくると回るそのランプは、幻想的で、別世界へと誘われている様だ。
──ずっと隣の扉を叩き続けていたんですよ。
ズキンと右手が傷んだ。
──私、怖くなっちゃって。
あまり座り心地の良いシートではないらしい。ずっと座っていたら腰が痛くなりそうだ。
──いえ、夜の仕事をしていたみたいなので、良く知らないんですよ。
手首が重い。乱れた髪をかき上げようとしたが、ガチャガチャとした音と重さで上手く出来なかった。
──いえ。昨日引っ越されましたから、今は誰も。
誰かが外で話をしていた。時折此方を伺う仕草を見せる。
今の私にはどうでも良かった。ただ、静かな所に行きたい。それだけだ。
ドンッ
ビクリ、と身体を震わせる。真上から、音がした。
ドンドンッ
私は耳を塞ぐ。何故、なぜ。
「あー!あーー!!」
叫びながら私は車を飛び出した。自分の声が頭の中で反響する。それと同時にあの音も響く。響く。響く。
「あーーー!!!」
私はより一層声を張り上げた。
誰かに身体を押さえ付けられたけれた。私はこの場から早く逃れたかった。
身体をばたつかせる。手を足を、振り回す。それでも止まない音。何なの。何なの。
耳の奥。頭の中。
私はがむしゃらに頭をかきむしった。手の痛みも忘れ、髪が抜けるのも構わず、無我夢中で。
音が。音が。
ドンッ!!
誰か、この音を、止めて……。
私自信、上階の騒音に悩まされています。それこそ気が狂いそうな程に。