表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

第1話 光り輝く井戸の底から

あけましておめでとうございます(遅

年末年始の実家帰省中、学習机のなかに埋もれていた過去作品のなかから、こっぱずかしくて開けなかったもの以外をピックアップし、清書してみました。


 ある真夏のとっぷり()けた夜、とある屋敷の庭外れ。苔生(こけむ)した古井戸から、月明かりをかき消すほどの奇妙な光が放たれた。光は寝静まった屋敷の中まで昼間の如く照らしたが、それも一瞬で、野犬一匹ひと吠えの隙も与えなかった。


 超常現象とも呼べる謎の光はネットに刻まれることもなく、晴天の朝を迎える。




「おかしいな?」


 餌やりを終え、家に戻ろうとする私を止める(にわとり)たちの騒ぎ。振り返っても、無駄に小高い段差のせいで、鶏小屋の様子はわからない。


 私の家は、昔この地域を治めた安土(アヅチ)家の城趾(じょうし)付近にあって、いまも堀や石垣やら当時の遺構が残ってる。けど、大富豪(ハイパーセレブ)になれるほど歴史的価値はないっぽい……。単純(シンプル)(だる)いだけ、テンション上がんないやつ!


「また(のぼ)んなきゃかー」


 スマホを取り出す。パスは“269(つるぎ)”。私の名前・安土(アヅチ)ツルギ。


 まだラジオ体操もはじまらない時間。夏休みの朝練は遅めだし余裕ある。私はクソデカ溜息をつくと引き返すことに。趣深(ウザ)い段差を一歩一歩、踏みしめるたび揺れるポニテ。その重量感だけが気分をアゲてくれる。


 段差を越えると見えてきた、跳んだり跳ねたりの大乱闘。


「やばっ、野犬!?」


 さっと血の気が引く。咄嗟に竹箒(たけぼうき)を掴んだけど、すぐに手汗でびっしょり。


 雄鶏(おんどり)がひと回りもふた回りも大きな背に飛びかかる。でも野犬はノーダメみたいで、なんかめっちゃ口に詰め込んでる。


「こんのやめろっ」


 何羽食われたかな……。サイアクが頭の中ぐるぐる、全身をじんじん駆け巡る。(にじ)む視界。もう遅いってわかってる。それでも……。


 ありったけの力で(いっけなーい☆)竹箒を叩きつける(殺意殺意!!)


「……え、手練(てだ)れ?」


 思わず声が出る。なんかおかしい。竹箒がビクともしない。少なくとも野犬じゃない。高速で目を(しばたた)くと明らかになる全貌。


 相変わらず背を向けたまま、伸ばした片手で竹箒(わたし)を捉える不審者の姿……。


「何食べてんだっての」


 やっと振り返る不審者。ハムスターみたいに頬っぺたを膨らませたまま、意地でも咀嚼(そしゃく)を止めない。私が寝ぼけてなきゃ鶏の飼料(エサ)をドカ食いする(アホ)で間違いない。


 ボサボサ頭から申し訳程度に伸びる茶筅髷(ちゃせんまげ)。某将軍サンバでしか見たことない着流し姿(さすがに全方位キラキラはしてないけど)。


 早朝に浴びていい情報量じゃない。脳が処理しきれない。人畜無害そうな顔してるけど……これ警察に突き出すべき?


 少年は口の物をすっかり飲み込むと、不審者を見る目で私に話しかけてきた。


「誰だ、お前」

「いやこっちの台詞だわ」

当時はまだ己の武器が熱意しかなく、歯の浮くような謎台詞、誤字脱字誤用がいまよりずっと酷く、さすがにそのまま掲載するのは辛かったのでだいぶ修正しましたが、構成や設定などは当時のままなので、良かったら最後まで私の黒歴史にお付き合いくだされば嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ