思い出
僕は元勇者シルヴァ・イテル
昔に魔王を倒して以来旅をやめて貯金もすべてギャンブルで溶けた 勇者がこんな姿って知ったら皆なんて言うだろうな。今日は久しぶりに仲間と再会する日だ
「久しぶりだなぁ!どうだ!元気してるか?」
彼は僕の仲間ローダ・アニムスだ。相変わらず声が大きい
「僕は元気だよ。 君はどうなんだい?」
「俺が元気じゃなかった事ねぇだろ!」
「それもそうか、」
僕は少し呆れだけど嬉しい、不思議な感情だった
「にしても君から会おうなんて珍しいね。
何かあったのかい?」
約10年ぶりだ。急に会おうなんて何があるに違いない
「それがよぉ、また魔王?とかいうやつが暴れてるらしいのよ だから前みたいにお前と旅してーなって思ってよ」
懐かしそうな表情でそう言っているが僕はその気持ちにはならなかった。仲間が死んだ過去があるからだ
「もう旅はしたくないよ。
僕はトラウマになってるんだ。 仲間が死んだ事 僕にとってかけがえのない存在が消えるのはもう嫌だ」
「確かに俺も辛いぜ でも俺らは魔王を倒した英雄だ。
そしてまた魔王が現れた 俺らが動かなくてどうする
死んだあいつらもガッカリするぜ?
だから行こうシルヴァ 俺は死なない 」
励ますように僕に言葉をくれた。結構嬉しい
なんせ残った仲間は彼だけだ彼から旅に誘われるのは今回だけじゃない。どこか懐かしい感じがする
そしてここで旅に出ないともう二度とローダと会えないような気がした。
「うーん、 君は絶対に死なないでよ?それを約束してくれるなら 魔王を倒しに行くのは賛成だ」
僕は顔を顰めながらも賛成した。まぁ確かにまたローダと旅をしてみたかった 彼は死なない、 そう自信があるからだ。
「おう!約束だ!俺は絶対に死なねぇ!」
にしても声がでかいな。皆こっちに目を向ける
とても恥ずかしい
「君は相変わらずだね
そういや覚えてるかい?昔もそうやって君が冒険に誘ってくれたこと」
僕は自然と笑みが溢れた 過去もそう誘ってくれた
僕はそれが嬉しかった
「ガッハッハッ!! 懐かしいな!昨日の事のようだ!」
「でも僕は今じゃ【元勇者】なんて肩書きせおって路地を彷徨ってるよ」
僕は心の傷を埋めるためギャンブルに依存した
見事に破産して日々路地を彷徨っていた
「そういや魔王を倒すって話だけどよ、 昔お前が書いてた日記に元魔王の弱点とか書いてたよな。 今の魔王にもそれ通用すんじゃね? てか日記どこやったんだ?」
ローダは不思議に僕にそう聞いた
「あ〜あれか、懐かしいね。 確かに弱点は書いてたよ、 でも生活が苦しくなった頃に【勇者の記録】として物好きなじいさんに高値で売ったよ」
そう言うとローダは驚き立ち上がった。
すぐさま僕の方に駆け寄ってきた
「なにやってんだよ!! 」
ローダは形相を変え僕の方に駆け寄った。
あの日記が僕にとってどんな物か知っていたのだろう
あれは僕の思い出や心情全てを日記に写した物だった
手放したくは無かったがそこら辺で野垂れ死ぬくらいならと売ってしまったのだ。
「日記には弱点が書いてある、ってことは日記を見つけたら今の魔王を倒せるってことだよな!
こうしちゃ居られねぇ、 早く探しに行くぞ!」
僕は気づいた。 ローダも言っていたが僕らが言う魔王とは同じ種族の生物。
ならば今も昔も弱点は変わってないはずだ、 僕は大変なことをしてしまった。 魔王を倒す唯一の手がかりを手放してしまったのだ。
僕はローダに手を引っ張られ半ば強引に酒場を後にした。
そして日記を探し出す旅に またかつての2人で
想い出を頼りに日記を探す冒険に出るのであった…
ーー始まりの街にてーー
「日記を探すって言ってもどこに行くんだい?」
行く宛ても無いから僕はローダに聞いた
「ん〜 過去を巡るってのはどうだ?もしかしたら爺さんも日記の通り道を辿ってるかもしれないし昔の旅を振り返るんだよ 始まりの街から終焉までな」
「巡る、か まぁまぁ名案だね。 僕の能力もあれば旅をしてる内に手掛かりが見つかるかもしれないし」
ー僕の能力は「記憶」物を記憶したら保管庫に入れ現像したりすることが出来る能力だー
「昔もここから旅に出たんだよね あの時は大変だったな〜」
僕は木の棒をブラブラさせながらローダと話した
「でもなんやかんや楽しかったよな!」
ローダは僕の方を見つめてくる
「確かにね。 あれから色々あったよね、 楽しかった記憶も悲しい記憶も。 皆はあっちでも元気かな、」
悲しい記憶の方が強い、僕は空を見上げた
仲間が見てくれている気がするからだ
「元気にしてんだろ!あいつらは変わんねーよ!
悲しい顔してっとせっかくの冒険が楽しくねーぞ?」
「それもそうだな、 よしっ!気を取り直して行くか!
1つ目の目的地は夜渡りの森か」
頭に指を当て能力を使い記憶を遡った
「あそこ怖ぇから嫌なんだよな〜」
ローダは見た目反して以外にも怖がりだ
「魔獣も多いしね。 最近また魔獣が活発化してるって聞いたし気おつけないと。
確か門を出て北に進むんだよね」
「あぁ そうだった気がするぜ まぁ道に迷ってもそれも冒険だろ」
「だね。」
ーー夜渡りの森に向かい出発ーー
「てかもう夜か 飲みすぎたな!にしても冒険とか何年ぶりだよ!楽しみだなぁ!!」
確かに久しぶりの再会と言う事もあって飲みすぎた
ちょっとクラクラするくらいだ
「もう20年振りとかじゃないかな。 20年戦ってなかったら戦闘スキルも鈍ってるだろうな。 また練習しないとな〜」
この世界には能力と魔法の2つがある。
魔法は生命に宿る魔力を使い発動する物
能力は魔法に近い個人に宿る物、能力には色々な物がある。 僕の能力は〈記憶〉 物や人物を記憶し現像して操れる 結構便利だ
「もう夜だしテントでも張って朝を待とうか。」
「そうだな!テントの位置はこの辺でいいか?」
ローダはそう言い月に照らされた岩場を指さした
結構いい場所だ
「ちょうどいいとこを見つけたね ここに張ろうか」
カバンの中からテントを取り出した
ー数十分後ー
2人で入るには狭いくらいのテントに2人で仰向けになった
「さぁ!明日に向けて寝ようか!」
「そうだな!、 もう眠いぜ、」
「明日はいよいよ森に出発だな、」
僕はそう呟き目を瞑った