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薄明怪異目録  作者: 立花 みかん
第一章
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第五話『可変、不変』


 除霊だとか鎮魂だとか、そういうオカルトチックと分類されているものは、何も感覚でこなすものではない。えいやー! とすれば成せるわけではないし、歩くだけで素質さえあれば達成されるものではない。

 何ら他の駆除と変わらない。洗礼された情報と、進化した化学の贈り物を駆使する……そういうものと変わりはないのだ。

 しかし、人が時代を経るごとに武器を変えたように、彼らもまた時代と手を取り合って変わっていく。

 ――耐性、とでも言おう。背中をぽんっと叩けばいいとか、塩を盛ればいいとか……日本の領域内ではある程度通じる者もいるだろうが、さて、海を超えた怪異たちはどうだろうか?

 殺虫剤が効かない虫がいようとも、結局、命の断ち方は単純だ。

 であれば、最近の怪異を祓う一番効率の良いやり方は、結局は命を絶つことなのだから……。


「銃……。確かに、スレンダーマンはアメリカ製……ですものね。ううん、しかし鏡子、重火器の扱い方は習っていない……」


 かの武将たちも妖を斬ったのだから、銃で蜂の巣にしよう! 作戦はあまりにも脳みそストップが過ぎる。現実逃避はここまでにしよう。

 さて……第一の目標は祓うこと。即ち、消滅させる。

 ――普段の怪異と同じ方法で?


 鏡子は書を開いていく。  

 怪異の払い方を記した秘伝の書物だが、どのページに目を通しても、最近の外来物に対する対処法は無い。それもそうだ。陰陽師達は古きを重んじる。アメリカ製だとかも、あの先生も、最近出来た話だし。

 というか、インターネットの発達のせいでもある。


「ネット……」


 鏡子はパソコンを立ち上げ、スレンダーマンの検索を始めた。

 怪異の強さはその伝播力に依存するところもあるから、どの程度そのスレンダーマンが有名なのか調べたのだ。

 ――頭を押さえた。いや、抱えた。


「な、なにこれ……」


 ゲームになってるほど、有名なのか。

 それが今、日本に来ているのか。

 ……ちょっとそれは、無いんじゃないか?


「大丈夫。一つ一つ、紐解いていけば……」


 何とかなるはずだ。一ヶ月後の今日には、きっとお菓子を食べているはずだし。

 大丈夫。この嫌な頭の苦みも、一ヶ月後の今日にはそんなこともあったなー、とか、空を見上げて思っているはずだ。今までのように……いつものように……。


「鏡子の使えるカードを確認しましょう」


 そうしよう。自分に言い聞かせる。

 まず、札による守り、攻撃。

 ――しかしこれは、自分の範囲と式神に力を借りて成す技だ。玄武と六合以外を使うと不味いか。

 次に、体術。

 ――無理。

 次に、式神を使役して倒す。

 ――……結局は、力技か……。


「祓えない場合は、場所に封じないと……。一応神社本庁に連絡を取るべきか……」


 その場合は目録の更新だ。

 まあ――、それも悪くはない。結局のところ、鏡子の本来の仕事は目録の更新だし。

 鏡子がマウスを触りながら次々にサイトにアクセスしていると、一通りの被害者が【子ども】であることがわかった。


「……子ども……」


 なるほど。だから、ああなるまで大人たちは気づけなかったのだ。

 ……最新の怪異とは、やっかいですわね。


「子ども――」


 しか狙わないのなら、意外と簡単にサクっとやれちゃうのではないだろうか。

 だって――玄武と六合は、子どもの外見だし。

 鏡子も、まだ子どもの見た目だし。

 ……ルートは組み立った。今日はもう日暮れだし――、明日朝一で、一誠に連絡だ。

 護符はまあ、使いどころは数多ある。力が持つ限りは。



 あらゆる引き出しを開けて、ありったけの護符を床に撒き散らす。

 白く清められた、資格あるものが書けば神代の力を引き出せる武具だ。

 そこに、写し身の真言を書き込んでいく。一心不乱に、斜陽が目を掠めようとも筆を動かし続ける。

 子どもの姿は――あまり記憶にないので、全て鏡子の姿を映しとらせる。

 数多の犠牲の代わりだ。木を隠すなら森に。

 深夜。次に用意するのは、結界用の鈴だ。スレンダーマンが展開する領域の四方八方に張り、鏡子の結界で新たに覆い尽くす。

 鈴一つ一つに、力を流し込みながら赤い糸を編んでいく。目を擦って、それを全て一人でこなす。

 明け方――、太陽の光に目を擦って、鏡子は服に手を掛けた。

 シャワーを浴びよう。

 ああ、その前に、一誠に連絡を入れて……。


「やってみせる。鏡子なら、できますもの」


 スマホを置いて、シャワー室へ。

 まだ冷たい水に若干の悲鳴を上げながら、鏡子は目を閉じた。

 苦い頭の中を、そのまま洗い流すかのように。

近畿霊務局の影響で重火器を使って作品書きたい欲がやばいんですが、

鏡子も言っているように、無理なんですよね~。鏡子にそういう設定をつけていない……。

というか多分、この世界で霊に銃をぶちまけるのは、海を超えた向こうのエクソシストくらいですかね?(壮大な勘違い)

っとと、大事なことを言うのを忘れてました。

帰ってきましたわたくし!! 更新ちゃんとしますとも!!

いえす!!!!

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