第29話 襲っちゃうよ?
「美味しかったね、お夕飯」
「そうだね。こういう豪華な食事も旅行の醍醐味だからな」
俺達は豪華な夕飯に舌鼓を打ち食後の今はのんびりしていた。
こういうひとときがたまらなく幸せだ。
美優と遊びに行くのも楽しいけどこういう何気ない時間も甲乙つけがたい。
「テレビでも観ない?まだ7時半だしさ」
「いいよ。観たい番組でもあるの?」
そう言って美優は俺の隣に座ってきた。
でも俺の目的はただ美優と一緒にテレビを観ることではない。
俺は美優の華奢な体を引き寄せ胡座をかいている俺の足の上に座らせた。
「ちょ、ちょっと……こんなところに座ったら重いし観づらいでしょ?すぐどくから……」
「別に重くないし観づらくないから。ね?」
「……拓哉がそう言うなら」
なんとか美優をなだめることに成功した。
でも本当に美優って軽いんだな〜……細いし抱き締めると折れちゃいそうに思う。
そんなこんなで俺達はテレビを見始めた。
俺は美優の肩にあごを乗せテレビではなく美優の顔を眺める。
今観ているのは動物特集で美優は笑ったり、驚いたりと表情がころころ変わって見ていて飽きない。
そしてついに───
「えっと……拓哉?そんなに顔を見られてると気になっちゃうんだけど……」
クレームが来てしまった。
俺は諦め……るわけではないがあごを肩から離し椅子に徹する。
これで美優の後ろ姿が全て見えるわけだ。
次は何をしようかな〜
「ひゃっ……」
俺は美優の耳たぶを軽く触る。
ぷにぷにしていてとても触り心地が良い。
美優は小さく声を上げたものの俺の上からどく気配は無い。
俺は次は髪の毛に狙いを定めた。
「おお……サラサラだな……」
美優の髪の毛に手ぐしをすると引っかかることなく指が通っていく。
サラサラでとても甘い匂いがする。
俺、美優の髪の毛好きなんだよな〜
「た、拓哉?テレビ観ないの?」
「ちゃんと観てるよ」
さらっと嘘をついた。
テレビなんて一ミリも観ていない。
次は手を美優のお腹に回して抱き締める。
「きゅ、急にどうしたの?」
「抱きしめたくなっただけ。嫌?」
「……嫌じゃない」
もはや『嫌?』と聞くのは最強だと思う。
美優もそれで断った試しがないし俺も言われたら断れない。
まあ美優ならなんでもしてくれそうな気がするけど。
「んっ……」
俺は美優を後ろから抱きしめたまま美優の首筋に軽くキスをする。
キスマークを付けたら恥ずかしがりそうなので本当に軽くだ。
そして俺が美優を抱き締めていると突然美優が振り返りキスをしてきた。
「……!?」
「んっ……くちゅ……ちゅ……」
唇を重ねるだけでなく美優の舌が入り込んできた。
したことがないわけではないが美優からしてくるのは初めてだった。
美優に押し倒され覆いかぶされる。
「ぷはぁ……はぁ……はぁ……」
「み、美優?」
美優の顔は上気し目はいつもよりトロンとしていた。
息も乱れている。
「そんなにしてくるなら私から襲っちゃうよ?」
「え……いや、その……」
「…………」
「…………」
「なんて、冗談……ではないけど今回は見逃すね。まだ8時だし初めては、その、拓哉にリードしてほしい……から」
そう言って美優は俺の上からどいた。
俺は起き上がり美優の横に座る。
……本気でやられるかと思った。
「もう……!イチャイチャしたいならテレビなんてつける必要なかったじゃん……」
「だって美優が無防備な状態で好き勝手したかったから……美優はそういう事無いの?」
そう俺が聞くとあからさまに美優が目をそらす。
なにかやりたいことがあるんだな?
怪しいにも程がある。
「ほら、俺だって素直に言ったんだから美優も言いなよ」
「で、でも……」
「聞かせてほしいな」
「はい……」
観念したように美優がうなだれる。
さあ何がしたかったのか教えてもらおうじゃないか!
美優は俺が無防備なときに何をしたいと思ったんだろうか。
「さあ教えて」
「……寝顔の写真を撮ったり、抱きついて匂いを嗅いだり、ほっぺにキスしたり……」
ほうほう、そういうことがしたかったんだな。
俺と似たようなものか俺以上じゃないか。
「拓哉が寝てるときにしてました……」
もうしてるんかい!
え?俺が寝てる間いつもそんなことしてんの?
普通にウェルカムなんだが。
「じゃあ俺がしてもいいじゃん……」
「だって、その……今日初めて拓哉とそういうことするんだから私だって意識しちゃうし……」
なるほどね。
俺も結構意識してるんだから美優も意識してるに決まってるか。
逆にどうでもいいこととか思われていたらおもいっきり凹む自信がある。
「そっか……ごめんな。タイミングが悪かった」
「ううん。私も抑えきれなかったから……」
美優の顔は未だ赤く目も蕩けたままだ。
俺もディープなキスによってもう《《そういう気分》》になり始めている。
誘うなら今しかないか……
「美優。その、する前に一つしたいことがあるんだけど」
「な、何がしたいの?」
「一緒に家族風呂に入らないか?」
俺はそう言って部屋の外にある風呂を指差す。
する前にどうしても美優と一緒に入りたかった。
「……どうかな?」
「………い、いいよ」
美優はより顔を赤くし頷いてくれた。
夢だった美優との混浴が決定した。




