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第20話 いきなりはずるい

「ということがあって明日香ちゃんが家にいたの」


なるほど、それで明日香が家にいたのか……

久しぶりの妹との対面が妻とのキスとかどんな羞恥プレイだよ……


「えっと……なんか、本当にごめん……」


俺たちの間にすごく気まずい空気が流れた。

明日香は謝っているけど何も悪いことはしていない。

明日香が美優をそそのかさなければこういうことにはならなかったがそしたら美優の新妻テンプレを見ることができなかったからな。


「いや、気にしなくていい。明日香に全く非はないからな。お前を責めることはできない」


「うん、私もそう思う。途中から明日香ちゃんがいるの忘れて拓哉に甘えちゃった私が悪いから」


「忘れるくらいラブラブだったのに邪魔してごめん……」


なおさら空気が重くなってしまった。

てか忘れるほどってよっぽどだな。

甘やかしまくったらどうなるんだろう。

いつか試してみるか。


「とりあえずこの話は終わりにしよう。誰も悪くなかったってことで決着だ」


二人は俺の言葉に頷いた。

これによって決着となりご飯にすることになった。

今日のメインディッシュはエビチリのようだ。


「「「いただきます」」」


まずはエビチリからいただく。

相変わらず美味しくて文句のつけようがない。

苦手な料理とかあるのだろうか?

どんな料理も美味しく作れて尊敬する。


「それにしても二人ともすっかり夫婦だね〜!予想よりもラブラブすぎてびっくりしちゃった」


先程の重い雰囲気はどこへやら、楽しそうに明日香が言う。

その言葉に美優は顔を赤く染める。

俺はもう完全に開き直ることにした。


「美優は俺にとって最高の妻だからな。当然だろう」


「拓哉!?」


「おお〜!言い切りますね〜!美優ちゃんから見たお兄ちゃんはどう?」


「え……!?」


自分に話を振られると思ってなかったらしい美優は赤かった顔をさらに染め慌てる。

明日香め……調子に乗り出したな。

俺にも調子に乗らせた原因の一端があるけども。


「そ、それは……言うのは恥ずかしいというか……」


「え〜!私たちもう家族でしょ〜?恋バナしようよ〜」


「……明日香ちゃんと二人でならいいよ」


「お兄ちゃんの前でやるからいいんじゃん!ねえいいでしょ〜!」


お前だいぶ鬼畜だな!?

明日香ってそんなにドSだっけ!?

美優もどうしていいか分からなくなり始めている様子だ。


「それくらいにしとけ、明日香。美優が困ってるだろ」


「え〜!お兄ちゃんは聞きたくないの?」


「残念ながら美優を困らせてまで聞きたいと思わないな」


「はいはい、この話はやめとくね。本当にラブラブなんだから」


明日香はニヤニヤしながらも美優への追及をやめる。

こいつのイタズラ好きにも困ったもんだ。

ただ人懐っこくてどこか憎めないのだ。


俺達は食事を終え皿を洗う。

そして食後のお茶を飲むときに俺はどら焼きを買ったことを思い出した。


「そういえばどら焼き買ってきたんだ。明日香もぜひ食べてくれ」


二階に移動してカバンからどら焼きを取り出しテーブルの上に置く。

多めに買ってきておいてよかった。


「私の信玄餅もぜひ食べてね〜!」


「実は私もおせんべいを買ってきたの。今持ってくるね」


美優が信玄餅とせんべいを持ってきた。

俺が好きなやつだったからきっと覚えていて買ってきてくれたのだろう。

美優の心遣いに心が温かくなる。

テーブルの上にお茶と俺達が買ってきたお菓子たちが並ぶ。


「おお〜!豪華だね〜!」


「明日香も来てたし買ってきてよかったよ」


俺達はお菓子を食べながら話に興じる。

全員関係が深いし話題に事欠くことはなかった。

そして楽しい時間はあっという間に過ぎるもので明日香が帰る時間になった。


「それじゃあ今日はありがとね。お邪魔しました」


「ああ。時間があったらいつでも来いよ。ただしいたずらは程々にな」


「またね、明日香ちゃん。いつでも歓迎するから」


俺達は玄関まで見送りをする。

明日香は相変わらず最後まで笑顔だ。

なんだかんだ久しぶりに会えてよかったな。


「次来る頃には《《おばさん》》になってるかもね」


「〜〜っ!明日香ちゃん!」


「あはは!ごめんごめん。それじゃあ二人とも仲良くね〜!」


そう言って明日香は帰っていった。

本当に嵐のようなやつだ。


「さて、それじゃあリビングに戻ろうか」


「待って……拓哉」


美優にいきなり袖を掴まれ引き寄せられる。

そして美優が耳に口を近づけてきた──


「拓哉は頼もしくて優しくてカッコいい、私の最高の夫だよ」


それはさっき明日香の前で言わなかった美優の答えだった。

俺の頬が一気に熱を帯びる。

美優も顔を真っ赤にしていた。


「わ、私お茶淹れ直してくるね!」


美優は逃げるかのようにキッチンへ消えていった。

俺はがっくりと膝を落としその場に座り込む。


「いきなりは、ずるいだろ……」

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