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第19話 お兄ちゃんなんてイチコロ(美優視点)

「ふぅ……下書き終了……」


私は今描いてる絵の下書きが終わり顔を上げる。

この絵は動画サイトに投稿する用の漫画のネームだ。

この調子なら予定より早く投稿できそうだ。


「あ、買い物行こうかな……」


時計を見ると15時くらいだった。

夕飯の材料が心許ないから買ってこなくては。

私はエコバックとカバンを持って財布とスマホが入ってることを確認して家を出る。

目指すは近くのスーパーだ。

歩くこと15分後、スーパーに到着してカートを引っ張り出す。


「今日は何を作ろうかな……」


思い浮かべるのは愛する夫の笑顔。

拓哉は何でも美味しそうに食べてくれる。

だからこそもっと美味しい料理を作ってもっと喜ばせたいと思うのだ。


「あ、エビが安い……それじゃあ今日はエビチリでも作ろうかな」


今日の夕飯のメニューが決まった。

他にも足りない調味料や安くなってる食材を買っていく。


「あ、これ拓哉が好きなやつだ……これも買っていこっと」


拓哉が好きな醤油せんべいをカートに入れた。

この前新茶が手に入ったって言ってたし喜んでくれるだろう。

レジに移動して会計を済ませエコバックに詰めていく。

今日の買い物の成果としては大満足だ。

私は家に向かって歩き出す。

すると───


「あれ?美優ちゃん?」


「……?明日香ちゃん!」


振り返るとそこには拓哉の妹の明日香ちゃんがいた。

明日香ちゃんは拓哉と3人でよく遊んだこともあった私にとっても妹のような存在。

まぁ今は本当に義妹いもうとなんだけど。

明日香ちゃんはツアーコンサルタントで全国を飛び回っているから挨拶のときとかも会うことができなかったのだ。


「久しぶりの美優ちゃんだ〜!」


明日香ちゃんが抱きついてくる。

この人懐っこい性格は昔から変わらない。


「私も会えて嬉しい。仕事でここに来たの?」


「そうなの!で、時間が作れそうだったから一回挨拶に行こうかと思ったの。連絡したけどもしかして見てない?」


「本当に?ごめん……しばらくスマホ見てなくて……」


急いで確認すると本当に明日香ちゃんから数時間前にメールが届いていた。

確認しておけばよかった……


「お邪魔してもいいかな?新婚さんだしお邪魔なら今日はやめておくけど」


「全然大丈夫だよ。私も明日香ちゃんと久しぶりにゆっくりお話したいな」


「やった〜!」


明日香ちゃんが笑顔になる。

私は明日香ちゃんと並んで歩き近況報告などをしながら帰宅した。


「お邪魔しまーす。この家も久しぶりだなぁ……」


「ゆっくりしていってね」


「ありがとう。あ、そうだ。これお土産だよ〜!山梨県の信玄餅〜!」


「ありがとう……!後で拓哉が帰ってきたらお茶と一緒に出すね」


私たちはリビングに移動し向かい合って座る。

そして思い出話に花を咲かせた。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので調理を始める時間になっていることに気付く。


「ごめん、夕ご飯作らなくちゃ。夕飯もぜひ食べてってね」


「え〜!いいの!?やった〜!あと私も手伝うよ〜!」


「手伝ってくれるの?」


「もちろん!お義姉さんを手伝いますよ〜!」


「それじゃあお願いするね」


「了解!」


答え方は拓哉そっくりだなと少し笑ってしまう。

私たちはキッチンで仲良く協力して調理を始めた。

明日香ちゃんも一人暮らしをしているので料理は上手い。

思ったよりも早く準備は終わり後は拓哉から連絡が来たら火を通して完成だ。


「ありがとね。思ったよりも早く終わっちゃった」


「これくらいでよければ全然だよ!美優ちゃんも相変わらず料理上手だね!」


私たちは再びリビングに戻ってお茶を飲みながら昔話に戻る。

しばらく話していると私のスマホが振動した。

確認すると拓哉からのメールだった。


「拓哉もうすぐ帰ってくるって」


「お兄ちゃんと会うのも久しぶりだな〜……あ、そうだ!」


明日香ちゃんは面白いことを思いついたかのように笑う。

私はその考えが何かまでかは分からなかったが嫌な予感がした。


「ねぇねぇ美優ちゃん!ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ・た・し?のやつやってよ!」


「えぇ…………」


自分がそんなことをするなんて想像できなかった。

そして何よりも……恥ずかしい。

《《初めて》》もまだなのに自分から誘うなんてできない。


「え〜!やってよ〜!」


「でも……」


「お兄ちゃん絶対に喜んでくれるよ?」


その言葉に衝撃を受けた。

拓哉が喜んでくれる……?

ならやるのもありかもしれないと思い始めた自分がいた。

羞恥心と拓哉の喜びで揺れ始める。


「絶対に喜んでくれる!妹の私が保証するよ!」


「……………分かった。やるね……」


「そうこなくちゃ!きっとお兄ちゃんなんてイチコロだよ!」


つい頷いてしまった。

……だって拓哉が喜んでくれるなら、嬉しいし……

若干の不安を抱きつつ料理の仕上げを始める。

そして──


「ただいま〜!」


……来た!

私は恐る恐る玄関に向かい例の言葉を話し出す。



◇◆◇


「ということがあって明日香ちゃんが家にいたの」


私はバツが悪く拓哉に説明する。

拓哉も渋い顔をしていた。


「えっと……なんか、本当にごめん……」


私たちの間にすごく気まずい空気が流れた。


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