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第18話 わ、私にする……?

俺と美優が夫婦になった翌日。

勤務時間が終わり俺は職場で結婚したことを敬太に報告していた。


「展開早すぎだろ……お前から彼女いるって聞かされたの一昨日だぞ?」


「それはすまないと思ってるよ。だけど報告しないよりはマシだろ?」


「それはそうだな。ともかく結婚おめでとう、拓哉」


敬太は屈託なく笑い祝福してくれる。

本当にいい同僚《友》を持ったものだ。


「新婚になって何か変わったこととかあるのか?」


「生活自体は元々同棲してたしそんなに変わらないよ。でも意識は変わったね」


「意識?」


俺は敬太の言葉に頷く。

そして説明するべく再び口を開く。


「やっぱり家族になった意識が強くてさ。なんとなく前よりも距離感が近くなった気がするよ」


「順調そうで何よりだよ。惚気はそれくらいで充分だ」


敬太に呆れた顔をされる。

なんか最近は毎回呆れられているような気がするな。

本当に申し訳ない。


「ほら、新婚なんだから早く帰れよ。奥さん待ってくれてるんだろ?」


「そうだな。俺はここで失礼するよ」


「じゃあな、お疲れ」


「ああ、お疲れ様」


敬太に別れの挨拶をしてビルを出る。

このタイミングで美優に連絡を入れるのはもはや習慣だ。

いつものように帰る旨を伝え美優から返信が返ってくる。

俺は意気揚々と帰っていたのだが途中である店を見つける。


「新オープン?こんなところに和菓子屋ができたのか……」


駅までの道の途中に綺麗で新しい和菓子屋ができていた。

しかも俺でも知っているような有名店である。

そんな話は聞いたことが無かったので嬉しい発見だ。


「どら焼き買っていったら美優が喜ぶかもな……」


思い浮かべるのは最愛の妻の笑顔。

それを見るためなら高級などら焼きを5個でも10個でも躊躇なく買える。

俺は迷うことなく入店した。


「お、ここがどら焼きコーナーだな。え?どら焼きってこんなに種類があるのか……?」


思った以上に種類があってびっくりしてしまった。

店員さんに各どら焼きの特徴を聞きながらどのどら焼きがいいか考える。

結果全て買ってしまえばいいという結論になり5種類くらいあったどら焼きを一つずつ全て買った。


俺は美優の喜ぶ顔を想像しながら軽い足取りで家を目指す。

多少時間はかかってしまったもののそんなに遅れずに帰宅できた。


「ただいま〜!」


「お、おかえり……」


美優はいつもと違ってなぜか少しもじもじしている。

何かあったのだろうか?


「ご飯にする……?お風呂にする……?そ、それとも……」


こ、これはまさか!

新婚のテンプレというやつか!?

まさか俺がこれを味わえる日が来るなんて……!


「……………わ、私にする……?」


か、可愛すぎる……!

恥ずかしがりながらもしっかりと言い切ってくれた美優に感謝したい……!

本当に控えめに言っても最高だ!

そしてご飯にする……と言おうとしたとき俺の中で少しのいたずら心が芽生える。


「美優にする……って言ったら何してくれる?」


「え……!?えっと……」


どうやら自分を指名されると思っていなかったようで美優は驚く素振りを見せる。

そしてしばらく悩んで思いついたのか顔を上げた。


「拓哉の好きにしていいよ……?私は拓哉のものだから……」


ぐはっ!

今のはかなり俺の理性にダメージが入った。

そういうのは卑怯なんじゃないかと思いますね。

めちゃくちゃ大好物だけど!


「それじゃあ美優にしちゃおうかな」


「分かった……じゃあどうぞ」


そう言って美優は俺に体を預けてくる。

まさか玄関でそんなことをしてくるとは思ってなかったがしっかりと受け止める。

エプロン付けてるだけなのにいつものハグと全然違う。


これを背徳感と言うんだろうか?

よくわからないな。まあなんでもいいか。

しばらく抱き合ったあと見つめ合ってキスをする。


「美優……」


「拓哉……」


美優の目が潤んでいて何かをねだっているように見える。

俺はもう一度キスをしようと顔を近づけようとしたその時───


「あのー……ごめん、本当に申し訳ないけど私もいるからあんまり暴走しないでね……?」


聞こえてきたのは意外な声。

慌てて美優から体を離しそちらを見ると懐かしい人影が立っていた。


「明日香……!?お前なんでここに!?」


「ちょっと近くまで来てたから寄らせてもらってたんだけど……帰ろうかな……」


そこに立っていたのは俺の《《妹》》だった。


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