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第16話 俺の奥さんですって言いたい

「ふぅ……今日の仕事はこれで終わりかな……」


仕事が一段落し息を吐く。

腕時計を確認すると時刻は午後7時を回ったところだった。

本当は定時に上がりたかったのだが中々難しい。

俺は片付けを始め帰る支度をする。

すると少し疲れた顔で敬太が話しかけてきた。


「拓哉はもう上がりか?」


「ああ。今日のノルマは終わったからこれで帰るつもりだ。敬太は?」


「俺はもう少しで終わりだ。帰ったら何食おうかなぁ……」


既に夕飯に意識がトリップしているようだ。

確かに仕事ってすごく腹が減るからその気持ちはよく分かる。

俺も帰って美優と一緒に夕飯を食べるのが楽しみでしょうがない。


「それじゃあ俺は失礼するよ」


「おう、お疲れ」


敬太と別れた俺はエレベーターで一階まで下りてビルの外へ出る。

そして美優に連絡するべくスマホを取り出した。


19:11 『仕事終わったよ。今から帰るね』


意外と早く既読が付き返信が届く。

今はもう仕事は終わってたのかな?


19:13 『お疲れ様!ご飯作って待ってるよ。気をつけて帰ってきてね』


19:14 『ありがとう。気をつけて帰ります』


どうやらご飯を作って待ってくれてるようだ。

帰ったら美優の出来立て料理が食べられると思うと心が踊る。


軽い足取りで電車に乗り30分ほどかけて家に到着した。

外にもいい匂いが漂っていて食欲がそそられる。

俺は鍵を開け家の中に入った。


「ただいま〜」


「あ、おかえりなさい」


まだ調理中だったのだろう、奥からエプロンにポニーテールの姿で美優がやってきた。

こうも家庭的な姿で『おかえり』と言われるのはとても嬉しいものである。


「お風呂も沸かしてあるけどご飯とどっちが先がいい?」


「せっかくなら温かいうちに食べたいし先にご飯をいただくよ」


「分かった。じゃあ荷物置いて着替えてきて」


「了解」


美優の指示通り俺は荷物を持って二階に上がった。

スーツをシワができないようハンガーにかけて部屋着に着替える。

着替えるだけでもだいぶすっきりして仕事が終わったことを実感する。


「さて、美優を手伝いにいかなくちゃな」


俺は洗濯物を持って一階に下りた。

すぐに洗濯かごに放り込みキッチンへ向かう。


「何か俺に手伝えることある?」


「ううん大丈夫だよ。もう終わるから先に席座ってて」


「分かった」


美優に断られたので大人しく席に着く。

数分待っていると美優が大皿を持ってやってきた。

手際よく、そして丁寧に皿が並べられていく。

今日のメインディッシュはハンバーグのようだ。


「これで終わりっと……冷めないうちに食べちゃって」


「それじゃあ早速」


「「いただきます」」


手を合わせて目の前の料理を眺める。

白米、ハンバーグ、ポテトサラダ、コーンスープとどれも美味しそうなものが並んでいる。

早速ハンバーグにナイフを入れて一口。


うっま……!


噛めば噛むほど肉汁が溢れてくる。

味付けも和風のソースがよくあっていて米が欲しくなる美味しさだ。


「ソース作ってみたんだけどどうかな?」


「すっごく美味しい!お店出せるよ!」


「ふふ、そう言ってくれるのは嬉しいけどお店は出さないよ。私が拓哉が食べてくれればそれでいいから」


なんて嬉しいことを言ってくれるんだ……!

その言葉で美味しさが倍増になった気がした。

愛は最高の調味料なのだ。


「そういえば話したいことがあるんだけどいいかな?」


俺が夢中で食べていると美優が上品に食べながら聞いてきた。

聞きたいこと?

なんだろう……


「いいよ。何かあったの?」


「婚姻届けをいつ出しに行こうかなって」


「ああ、確かにそれは決めなきゃね」


俺と美優はまだ結婚していない。

既に婚姻届には必要な記入を終え保管してある。

別に急ぐ必要はないが俺としてはできるだけ早く出しに行きたい。


「明日頑張って定時に帰ってくるよ。それで提出したらどこかで外食でもしない?」


「無理しなくても週末でも大丈夫だよ?」


「俺が早く美優と夫婦になりたいんだ。それに週末はデートに時間を使いたいしな」


村松美優になってほしい。

紹介するときに俺の奥さんですって言いたいのだ。


「ふふ、そっか……」


美優は俺の言葉に照れくさそうに笑う。

俺も言ってから恥ずかしくなり顔が熱くなった。

でも美優も結婚を心から喜んでくれていることが分かって嬉しくなった。


「それじゃあ明日、一緒に婚姻届を出しに行こうね」


「ああ。良さそうなお店を調べて予約しよう」


俺達は食後に二人で店を調べることにした。

二人で良さそうな店を話し合って選ぶ。

その話し合いも明日に関係ない雑談も全てが楽しく笑い合った。

楽しい時間はあっという間に過ぎていくもので今日という一日は終わりを迎える。

……明日も良い一日になりそうだ。

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