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ある顛末
至愚は予想外の出来事に驚愕する。傾斜林から大量の赤黒い液体が漏れだし、車道を汚した。
どこかに隠れていたラファティ・アスケラがそれを見て飛び出してきた。
「弱虫。居たのか」
「な、なんて事だ…ああ、なんだよ、ちくしょう」
「あの子供、なかなかに曲者だったね。なあ?パーラム・イター?」
(これで懲りたろう?)
お騒がせな化け物に振り回されてきた人面獣は内心、毒づいた。これであの弟子も報われるだろうか?
隣では怯えながら「事態は悪化した」とラファティがアタフタしている。同僚のサリエリが怖くて仕方ないのだ。
情けない奴だ。
「早く助けに行ってやりなよ」
「うえっ…」
子供は国道で目が覚め、自分がなぜ、どうしてこの場にいるのかと不思議がる。自分は何者なのかも分からない。血にまみれて不快、それだけは確かだった。
「はえ〜〜~」
ただ、隣に惚けた顔の茶髪の女がいる。それが実に嫌である。何故だろう?
いきなり白いスーツの男に「…子なのか」と声をかけられるが、何を言っているかよく聞き取れない。
「をよこ?私の名はをよこって言うの?」
イヨ子編 無事完結(祝)




