ごつごう
ミス(Miss)は夜明け頃の空を眺め、ぼんやりとしていた。殺風景な室内にはただ自分だけがいて、南闇は今外出していない。
食事もとる気になれず、崩壊した会社を見に行っては罪悪感に囚われていた。あの時、自分が怒りを爆発させなければ、まだあの人たちは生きていただろうか。
「お嬢さま。何をお考えなさって?」
窓辺から声がして、びっくりする。ひょっこりと顔を出したのは不思議な髪型をした子供だった。
「わえは、多多邪の宮。たたさんとお呼び」
「た、たたさん…?」
ほぼ色素の抜けた髪は薄茶色で、子供はどうやら二階の窓辺に浮いているらしい。
「君はミス(Miss)。そうだろう?」
「は、はい」
「君の、尼さんのような、修道女のような清らかな精神には感服する。だから会いにきたの」
「え、いや、私は」
涙が溢れ、俯いてしまった。自身は聖なる精神など持ちえていない。
「私はひどい、人殺しです」
「そうかえ?わえは思わない」
「え?」
「ある洋画を知っているかい?若者たちは飛行機事故の夢を見て、何やかんやあって載らず、事故に合わなかった──」
「たまにその話、ネットで聞きました」
「なら話は早い。あの会社は数週間前、点検士がきていたろう?そこで運命は決まっていたんだ。どちみち、爆発事故は起きる事になっていた。そうして君も、巻き込まれて死んでいた」
記憶の片隅で、点検がくると話していたのを耳にしていたのが蘇る。
「君に顔を抉られた社員だって、あの後、爆発事故が防がれたとして、バイク事故にあってね。ヘルメット未着用で顔が抉れる予定だっだよ」
「で、でも」
「そうして君も、あの時、咋噬 南闇に会う日、駅で男に突き落とされて電車に轢かれて死んでいたんだよぉ」
ニヤリ、と白に近い目が笑う。不気味だった。
「人には生命が途切れる今際がある。それが、わえらに任されただけ」
だから。
気に病む事なんて、一つもないんだよ。
そう言われて、ミス(Miss)は納得できないまま更に涙を零した。
「た、た…あ」
たたさん、と呼ぼうとするもそこに子供の姿はなかった。
「…そうなのかな」




