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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜  作者: 犬冠 雲映子
ンキリトリセン(パラレルワールド的なジャングルでサバイバル前編)
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よなよな

「よお。あんたも散歩をするのかい」

「…見た事ないアレだな。お前、私を知っているのか?」

 夜の散歩をしていた乎代子に声をかけてきたのは、ずんぐりとした獣の肢体を有する化け物だった。

「アタシは至愚(しぐ)。洞太 乎代子。あんたを知っているよ、一度会った事がある」

「覚えてねえな…」

 ニヤニヤと至愚は彼女に言う。

「私は地味だからね」

「はあ…」

 赤毛の女性を模した頭部はこちらをジッと見ている。気まずい。

「女が一人で夜歩きとは。危ないじゃないの。なんだい?寝れなかった?」

「あー…寝れなかったといえば確かに…。今日はたまたま夢見が悪くて…忘れたくて、こうしてウロウロしてるんですよ」

「へえ。まあ、分からなくもない。私もちょっとばかし気晴らしをしていてね」

 人面獣は防犯灯を見上げた。LEDの強い光は路地を煌々と照らしている。

「洞太 乎代子。あまり無茶するんじゃないよ。人生、そこまで丈夫じゃないから」

 偉そうな口を利く化け物だ、と乎代子は思うが、こちらを心配してくれたのは理解できた。

「分かりました。では」

「ああ、また。良かったらいつか酒でも飲み交わそう」

 美麗な顔を笑わせて彼女は言う。至愚と言ったか。この化け物は人に友好的なようだ。

 一安心して会釈し、道を(たが)う。

 夢見が悪い日にはやはり夜風にあたりながらぼんやりしたい。スカッとした炭酸水を買おう。

 乎代子はそう思考を巡らし、コンビニへ向かった。

至愚さん もっと登場させたい…。

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