おひるきゅうけー!
「やあ、ラフ。今日もお疲れ様。これ、昼ごはんなんだけども」
サリエリ・クリウーチなる儚げな少女は、珍しく『中央管理室』から出て、ずい、と有名チェーン店のハンバーガーを渡してきた。
「常駐しなくて大丈夫なのかよ」
「代わり番がいるから大丈夫。それに日本支社は需要がないからね」
笑わずに、彼女は自前の炭酸水をあおる。
「はは。"のびる"が日本に来たっていうから、巣穴から出てきたんだろ?」
半笑いのラファティ・アスケラの言葉にサリエリは片眉を上げた。「嘘をつくのが苦手なんだよ」
「確認できた内、接触者はまだ二人だ。一人はお陀仏になったが、もう一人は乎代子のダチだから多分平気なんじゃないか?」
乎代子ねえ、と呆れて見せると人混みを眺めた。昼下がりの街は割と込み合っており、陽気にも見える。
「覃──のびる、ひととなる、アイツに近い人種が都合よく対応してくれると思う?意気投合して人間を脅かしたらどうするんだい?」
「パビャ子もいるじゃねーか」
「あの馬鹿はダメだよ」
二人は沈黙すると、思い思いに思考をめぐらした。ラファティはこの同僚の心に、のびるへの因縁と後悔が横たわっているのを存じている。この人は中央管理室に居座れる器を持っていないな、と残念に思った。
自身も同等に約立たずだな、とも。
「パビャ子は自由でいいよな〜」
「自由?あれが?」
的外れな事を言うなよ、と不快感を露わにして少女は黒々とした闇の籠る瞳をかげらした。
サリエリさんとラフくんはそこそこ仲が良いです。




