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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(フス編)
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ゅきがふりましたね

 珍しく関東地方で積雪があった日だった。洞太 乎代子は廃墟化したアパートの一室。

 寒い中、布団に入りながら溶けだした雪の滴る音を聞いていた。

 静かな、何も無いような空気感が久しぶりで何となく居心地が悪い。暖房器具のない廃屋では丸まっているしかないのだが。

 すると遠くで酔狂な奴らが雪合戦でもしているのか、笑い声がした。夜中の二時に、雪合戦などとち狂っているのだらろうか。

 もしかしたら幻聴かもしれない。やけに静かだからこそ、脳が生み出した雑音かもしれない。

 寝ようと目をつぶっていると、また複数人の笑い声がして嫌な気持ちになった。

 何だか癪に障る。自分の器の狭さを試されているみたいだ。

 遠くにいるのか、薄らと笑い声はする。年に一度の積雪だ。酔っ払いどもが遊んでいるのか。

「チッ」

 眠れないと悪態をついていると、笑い声が近くなった気がした。さっきよりアパートへ距離が近い。

 幻聴だと決め込んで、瞼の裏にある気色の悪い模様にイラついているとさらに音源が近くにくる。

 耐えられなくなり、布団から這い出し、ドアを乱暴にあけた。

 外に一体の福の神のような笑みを貼り付けた生首がころころと転がり、他の悲痛な表情を浮かべた生首を引き連れて行進していた。

 アレは何だ。

 生首たちは苦しみながらも壊れたように笑っている。雪を付着させながらもころころと道を進んでいく。

(雪の精か…?)

 アレに理由なんてないので、静かにドアを閉め、布団に入った。もしかしたらアレらが雪を振らせたのかもしれぬ、と乎代子は考えながらもまた瞼を瞑った。

寒いですね…。

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