わをん
運命というのはあるのか。それとも、偶然の連続なのか。
誰がそれを決めるのか。選択肢はあるのか。あるとしたら、それを操るのはそれは神か、物語の語り部の意思か。
エラー。
数多の仕組みがあるのなら、必ずエラーが吐き出される。完璧な物事などありやしないのだ、と。
ブロンドヘアーを一つに束ねた儚げな少女は、炭酸を舌で転がした。
まるで世界の調停者のように。余裕を持ってモニターを眺める──
そう、ノートにペンを走らす。
パビャ子はいつものように、街を徘徊する。「あ、隕石だ」
と、ペンを動かす。
世界は終わった。
そう終わりを決める。
エンド。
エンドロールが流れる妄想をする。それをなかった事にする。
リビングに放置されたある少女の祖母、の遺体。奇跡を起こす。彼女に希望を与えるために。
希望が欲しい。意味は要らない。意味があってはならない。
意味を持った瞬間、物語は腐っていくのを知っているから。
奇跡をたくさん書く。世界にありもしない、あって欲しかった奇跡を書く。
誰かの気づいて欲しかった思いが踏切に具現する──
エンド。
意味を持ってはいけない。
洞太 乎代子はペンをひたすらに動かして、そして手を止めた。
「はあ…」
奇跡が欲しいのに。自らには降り掛かってはこない。
意地悪な世の中に絶望したくなる。絶望しても何も変わらない。
意味を失えばいいのだ。
何も無い。何も、終わりも始まりもない。
「それでいい。ずっとそれで」




