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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(フス編)
31/162

たにんんのふこう

 パビャ子は咄嗟に地面を蹴り、倒れてくる電信柱から身を守る。

 ものすごい音に近隣の人々が驚き、外に出てきた。

 屋根に着地するとリクルートスーツの女性は、こちらを凝視していたモヤを羽交い締めにする。

「お前ーっ!!私に何か恨みでもあるのかー!!」

「!!!」

 モヤは慌てふためき、その場で消え失せてしまった。

「チッ。逃げられたか」


「ああ、たまに居るんですよね。災難続きを生み出す輩が」

 乎代子はお茶を飲みながらなんて事のないように言った。

「アイツ、私が怖いくせに付きまとうんだよ!さいてい!」

「それは運の尽きですねえ。あっちが」

 モヤが部屋の隅でわだかまり、こちらを見ている。仕方ない、と女性は割り切った。

「森に返してあげましょう」

「森に?」

「とりあえず森に返して、安心させてあげます」

「ふぅーん。アレ、森由来なんだあ」

 嘘八百だが、住む場所を変えてあげればアレは災難を振りかけずにただ彷徨うだけになるかもしれない。

「どうするの?」

「木のうろに封じ込めて起きますね」

「ええ…??安心と程遠くない?」

「狭くて暗い場所は落ち着きますから」

「乎代子だけじゃないのそれぇ」

 二人はまだ居座るモヤを眺め、思い立った。「やってみるかぁ…」


 後日。近くの森に行き、木に封じ込めたが、変な噂がたった。

 木からすすり泣く声がしたという。

 パビャ子は全く可哀想な奴だな、と思いつつホットドッグにマスタードをかける。

「まーいいか!他人だし!」

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