ふかん
運命というのはあるのか。それとも、偶然の連続なのか。
誰がそれを決めるのか。選択肢はあるのか。あるとしたら、それを操るのはそれは神か、物語の語り部の意思か。
エラー。
数多の仕組みがあるのなら、必ずエラーが吐き出される。完璧な物事などありやしないのだ、と。
エラーが好きだ。
退屈しない。つまらない現実を変えてくれる。
それを握りつぶすのもまた、好きだった。
キーボードを打つ手を止めて、コーラに手を伸ばした。
「ん。死体が動いた」
エラーだ。また、どこかで不可能の連鎖が起きる。
ブロンドヘアーを一つに束ねた儚げな少女は、炭酸を舌で転がした。
「削除依頼、っと」
握りつぶす。奇跡の片鱗を。
モニターに映る汚れた部屋に放置された老婆の遺体。腐敗していたが、有り得ない事に動き出した。
ハエを纏わせて、ソレはゆっくりと歩き出す。
ハンバーガーにかぶりつき、片手で滑らかに文字を打っていく。
「よっと」エンターキーを押すと椅子にもたれかかった。
奇跡を消すのが、彼女の仕事だ。
あるはずのなかったこの先を切断する。奇跡に浸る人間は絶望に浸っていればいい。
人間とはそういう生き物だからだ。
「さてと、終わったら仮眠でもすっかなー」
ジャンクフードをパクパクと食べながら削除依頼を大量に、たくさんのメルアドに送る。
戦地へ、平和な午後へ。あるいは脅かされ苦しんだ者の所へ。幸せの絶頂にある世界へ。
有り得たかもしれない未来を潰す者たちに、存在を、命──あらゆる可能性を削除依頼する。
「ノルマ達成には程遠いなぁ」
白いスーツを汚さぬように、彼女はなんて事がないように言う。
「あの子、まだ均衡を壊そうとしているのか。暇ジンだわー」
モニターの一つに映る、ある『女性』を見やり呆れたと吐き捨てる。
悪あがきをする邪魔者を消すのだ。
「ぼかぁ関係ないからそこまで気にしてないし、良いけど、程々にしなよ」
底のない黒目が細まる。「でも、見てみたいかも。世界がめちゃくちゃになる所」
やってみせてよ。もっと、めちゃくちゃにして世界を苦しめて楽しくして見せてよ。
神にすがる人類が苦痛し、荒廃する様をもっと見せろ。
死ぬくらいなら生きながら苦悩に溺れればいいのだから。
「フフン♪」
機嫌が良くなり、少女は足をブラブラさせた。
とんでもなく解釈違いでのたうち回ってました。
どうすればああ
2025年1月27日 加筆修正しました。
行間を入れたバージョンですが、まあ、あれです。




