おこないがわるい
「俺が天使に見えるかい?」
真っ白なスーツを着た男は拳銃を人に向けた。
「武器ばかりかざして、本当に腰抜けですよね」
ぬらりと現れたリクルートスーツの青年がせせら笑う。
「おい。邪魔すんなよ」
「坊や。僕が相手するからお行きなさい」
顔をひきつらせ恐怖に怯えていた少年は脱兎の如くこの場を去った。
「マジで、仕事を増やすな」
「いいじゃないですか。どうせ死ぬんだし」
善良な笑顔のまま、彼は言う。
「それを防ぐのがコッチの仕事なのよ。分かるか」
ブロンドヘアーの男は拳銃をベルトにしまい、ため息をついた。
「偽善者」
「それは何だよ」
「これですか。さっき公園で拾いました」
どう見ても何かの死骸だ。切断されたそれをビニール袋に包み、彼は手にしていた。
「埋葬するんです」
「あのガキがやったんだぞ。逃がしといてそりゃないだろ」
「僕の自由じゃないですか。何したって」
笑を浮かべながら彼は歩いていった。
「気味悪ぃ」
男はそれを見送り、ガラケーを取り出した。
「もし」
「こんばんは。標的はどうなりましたか?」
「逃がした」
「…分かりました。次の標的に向かってください」
淡々とした声音が僅かに落胆し、受話器の向こう側はキーボードを打った。
「"日頃の行いで"あの子供、火災で焼死するんだろうな」
忙しい手が止まり、「ええ」とだけ呟いた。「もしかして憐れんでるンですか」
「まさか!いちいち慈悲深く注視してたら気が狂うだろ。終わる時は呆気なく終わるのさ」




