どこにでもあるどぁ…
「この森、前さあ…、人浮いてたんだよね」
この地域にはよくあるむ蔵野樹林。近くには私鉄の電車が通り、住宅地化が進んでいるが、この土地だけ雑木林が広がっている。
パビャ子は真夜中に出くわした不可思議な浮遊する人を思い出す。
「ああ、あの話ですね」
「この森、近々駐車場になるんだって。残念〜」
「もう人が浮遊しなくて良いじゃないですか」
乎代子は新緑を眺め、森とは不思議な雰囲気を醸し出していると関心する。
「あ…ドア?」
木々の合間にドアが佇んでいた。
「何あれ?!どこで〇ドア?!?!」
興奮した茶髪をどついた。「あ゛!?!いたあああ!!こんわく!」
「しぃッ。アレ、見ろよ」
「わあ、アレ…」
ドアの前にいつの間にか、長髪の白い服を着た女性が立っていた。「貞〇?!」
コンコンコン。ノックしてはそれを繰り返している。
三回。あれは死を意味する回数だ。
「貞〇…何してんの。開けないとどこにも通じないよ」
「地縛霊だろうな。アレは」
「ふうーん。でもさあ、幽霊って何で皆あの格好なんだろうね」
「それお前が言うのか…」
リクルートスーツの女性、パビャ子は「おーい!」
ノックを繰り返していた地縛霊は振り返り、こちらへ走ってきた。
「バカ!うおおおお!!」
フェンスの近くに──何故か置かれていた消化器を持ち、発射した。白い煙に吹かれ、長い髪がなびく。
「…」
消火剤まみれになった幽霊は佇んでいる。
「……」
今は駐車場と歯医者さんになっているんですが、数年前は雑木林がありました。武蔵野の風景を残す貴重な森だと思っていたのですが、土地開発に負けてましたね。
そこにはゴミステーションがありまして、そこに実際消化器が置かれていたんですよ。




