かわいそうだね
『実家』に残る血飛沫の後、フローリングに残る現場検証の後。何も動かされていない家具。
平凡な一軒家。『幸せな』四人の家族が住んでいた痕跡がある。
乎代子は久しぶりに味噌汁を作ってみる。インスタントの味噌汁は簡単にできあがった。
椅子に座り、味噌汁をすする。テーブルには埃がつもり、年月を感じさせる。
事件が起こる前に妹が無造作に置いたコップが、そのままにされている。
無邪気な子だった。でもそれだけだ。
妹は泣き叫んで両親に助けを求めた。だが、両親はもう人の形ではなく散らばっていたのに。
「愚かな子」
妹は命乞いをする。反抗期でなめてかかってきた態度から連想できぬほど滑稽だった。
「はぁ…」
パビャ子は初めて恐怖で顔を強ばらせていた。ナイフを持って、さらに容赦なく滅多刺しにする化け物を。
化け物と、彼女は罵った。化け物は鎖同然の衣服を脱いで、肉親を傷つけた。
超自然的な力でめちゃくちゃにしてなお、なぜ踏みにじるのか。
分からないのだろう。『化け物』には。
化け物は『犯人』を眺め、ピースサインをした。唯一の生存者を見て犯人役の強盗は怯えた顔をして見返してくる。
人混みに紛れてケダモノはこの場を去る。
乎代子は吐いた、川にたくさん吐いて夏の日差しに晒される。
そうか。
自分は人だから、残忍な光景には耐えられなかったのか。
脆くて、すぐ、壊れる。
化け物とは、やはり別物なのだ、と。
「味噌汁、油揚げが良かったな」
ワカメをすくって食べる。
「今度買い足そ…」
解釈違い起こしながら書きました。そんなことってある???




