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かっぱだァーーーーーーーー!?!、
「ふく都心線でさ、走ってる途中に何か、謎のトンネルあるよね。あれワクワクする」
パビャ子が言う。
「私はおお宮駅の、ホームから見えるあの底のない暗闇が怖いです」
「あー、あれさ、吸い込まれそう」
マンホールの空洞を眺めながら二人は話していた。
「マンホールの蓋どこいっちゃったんだろーね」
蓋は無く、暗い、無が広がっていた。
「中に人がいたら大変ですから、通報しておきましょうか」
何の配管なのかは謎だ。雨水管かもしれない。
あちらが伺えぬ暗闇。それは地面の下にある空間の性質なのだろうか。
「ン?」
何かが這いずってくる音がして、乎代子は目を細めた。
それを横目に見ていたリクルートスーツの女性は正体に気づく。
「河童だァーーーーーーーー!?!、」
牙を剥いた河童がこちらに向かって上がってくる。
「ヤバい!逃げるぞ!」
河童って水辺からいきなり引きずり込んできそうで怖いですよね。




