もんたーじゅ ほたる
とある災難があり──気がつけば見ず知らずの、どこだか分からぬ清流にいた。上流なのか、岩がゴロゴロと転がっている。それを裏付けるように山奥なのか人工的な灯りはない。パビャ子も流れつつザバザバと泳いできて、ひっついてくる。深さはそこまでないが足がつかないのは少し怖い。
「乎代子、ありがと〜」
「え?何かした?」
「私を助けてくれて」
蛍に酷似したこの世の者でない部類の甲類が乱舞して、清らかな川を薄らと照らしている。その青白い光は月光の塊のようで美しい。あの嘘くさい極楽浄土よりも現実味があり、安心できるものがあった。
自らはこちら──此岸があっている。
「お前ら、どうしてここにいるんだよ?!」
ガザガサと草薮をかき分ける音がして、懐中電灯で照らされた。眩さに目を逸らすも、ラファティ・アスケラだと分かる。
「ラフ?」
濡れるのも顧みずに駆け寄ってきた。「つべて!か、風邪ひくぞっ!」
「暑かったから丁度いいで〜す」
パビャ子がヘラヘラとしているが、ラファティは無視するとこちらにやってきた。
「すげー疲れた」
「状況は分からないけど…そうだろうな。ともかく…蛍もどきがすごい。雨が降る。さっさと戻ろう」
コレは蛍もどきというのか。安易な名前だ。
「歩けないからおぶってよ」
「ああ?」
「真面目に…」
その様子に渋々と言った感じで、彼は水中で乎代子を担いだ。
「蛍もどき…また見れるかな…また、皆でみたい」
「死亡フラグみてえなこたァ言うなよ」
「綺麗だったから…」
甲殻類ってエビじゃん!!となりましたが、エビやカニが光って空飛んでても面白いからOKです。




