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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜  作者: 犬冠 雲映子
(話ごとの題名がふざけていて申し訳ないです)
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インス…アアア

 空から人が落ちてきた。天使かと思っていた。

「きゃあああああ!」

 周りの悲鳴でそれは飛び降りだと自覚した。

 不自然な形になった人体から生きている気配はしない。天使かと思っていた人物は、何故か自分にそっくりだった。

 吐き気がしてそそくさと騒然とした場から離れた。

 女性は自動販売機で炭酸水を買って、胃に流し込む。吐きそうなのを帳消しにしてベンチに座る。

「癒し…癒しが必要だ」

 コートのポケットからスマホから取り出して、通知欄に表示されたニュース、何気なく目に入った『釣り』という文字を見た。

「海か…自然に触れるのもいいな…」


 関東にあるしょう南は言わずと知れたビーチだ。波も穏やかで、トンビさえ気にしなければ色々楽しい。

 冬の海はそれはそれで良かった。

「海、って言ったら…泳ぐしかないよな」

 海とあまり触れ合わなかった彼女はただ座り込んで、大海原を眺めていた。

「…」

 現実逃避にも程がある。ただ海を眺めに電車を乗り継ぎ、ここまで来てしまったのだ。

「夕方には帰ろう」

 インスゥタアアアに写真をあげるのもいいかもしれない。スマホで煌めく海原の写真を1枚撮って満足した。


 数日後。リクルートスーツの女性とハンバーガーを食べていた時だった。

「なんかさあ、インスゥタアアアで話題になってる写真あるんだけどさあ」

「ミーハーですね」

「いや、何か…。一応聞くけど、超能力とか持ってないよね?」

「は?ワタシはアレではないですよ」

「だよね!じゃ、これ、見てほしい」

 バッキバキに割れたスマホの画面には海が写っていた。「…あの、ヒビで見えない」

「ワロタあ」

「仕方ないですね、どう検索したら出ますか」

「海 人 心霊写真」

 適当だな、と内心思いつつグウウグルウウで調べてみた。するとネットの話題ニュースでそれらしき記事が出てきた。

「…」

 自分が撮った写真だった。アカウント名が自分のモノだった。

 それに、海原の上に浮く──人。

 それは死人のような顔をした自らがこちらを見つめていたからだ。

 天使だと思った、あの顔と同じだ。

「天使です」

「へ?天使?」

「きっと天使がイタズラしたんでしょう」

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