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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜  作者: 犬冠 雲映子
ンキリトリセン(ミスの決別と清楚凪 錯迷の襲来編)
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あまごいすいっちひも

「わー、雨よ。降りたまえー」

 市外で盛大な雨乞い神事が行われたのを機に、パビャ子も雨が降らないか天に祈っていた。

「現代人はスマホがあるから」

 乎代子は呆れたように、木陰で休んでいた。廃墟アパートには冷房がない。昼間はこうして木陰で休むしかないのだ。

「神さまなんて信じてねえくせに」

 小石を投げて、川べりの水面を眺めていた。ミンミンゼミがうるさいほど鳴いていて、子供たちが川に足を浸して遊んでいる。

「あの姉ちゃんやべぇよな!」

「宇宙人とこーしんしてんじゃね?」

「きっしょ!」

 ギャハハとこちらを見て笑われ、自分まで巻き添えを食らっている。

「雨よー」

「はー、もう行くぞ。雨乞いなんて」

 目の前に空から照明器具のスイッチ──世にいうスイッチ紐が垂れているのを見つけた。これは暑すぎて脳がイカれた証拠だろうか?

「え、なにこれ」

 好奇心に駆られ、カチッと下げた。すると快晴だったはずの空が曇りだし、冷たい風が吹き荒れる。「わーい!私の力だー!」

 そう言って、両手を広げた瞬間──パビャ子に落雷した。耳が轟音を聞き取れず目の前が真っ白になる。

 川遊びしていた子供たちの悲鳴が上がり、自分もわずかに感電したのだと知る。

 電撃に吹っ飛ばされて空を見上げるも、あの照明器具のスイッチ紐は消えていた。「あ、いてえ…」

 大粒の雨が降り出し、あっという間に土砂降りになる。最近の通り雨は落雷と共に始まる印象だった。

 まさか、あれはこの世の者でない部類が垂らしている生贄の糸なんだろうか?

「つめたァー」

 どうでも良くなって雨に打たれる。暑かったから丁度良かった。空で雷が走るのを他人事で眺めていた。

「いだだ…体が電気ショック!で変な動きしてる」

 パビャ子がさすがの耐久力で動きを再開した。彼女からしたら電気風呂くらいの刺激だろう。

「何してんの?乎代子」

「水浴び」

「ええー。そんなに暑かったんだ」

私の住んでいる市のちょっと向こう?に雨乞い神事をする市ありまして、今年が神事の年でした。

龍蛇、見に行きたかったです…。

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