第3話
なかなか話が進まない。
文章がくどいかもしれません。
よろしくお願いします。
前話のあらすじ:
移動時間を利用した開発担当者達との交流
竹崎さんから指定されたのは、子供の頃から見知っていた『お社』だった。
ここで唐突だが、異動先部署での勤務形態を説明したいと思う。
勤務形態 :会社指定地域でのシステムテストに伴うフィールドワーク
会社指定地域:実家周辺◎
いや、確かに新しい勤務地は実家周辺(自宅周辺ではない)と指定されていたけど、何故この『お社』?
その前に、システムについて説明が無いのですが、いきなりARグラスを渡して『お社』指定だけでは、説明が足りないと思います。
竹崎さんに疑問をぶつけるが、微笑むばかりで何も言ってくれない。
その笑顔にはいつかのプレッシャーは感じないので、出来れば追加説明を希望したいのだが、後藤パイセンまで一緒になってこちらを見つめてくる。
『パイセンはやめろ』だって?巫山戯ました、ごめんなさい。
コミュニケーションが復活したと思ったら、また二人とも昔のゲームNPCの様に何も言わなくなったので、イベントを進める為に、仕方なくARグラスを掛ける事にした。
グラスを掛けながら、今回のテストについて少し真面目に考えてみる。
AR(拡張現実)の一般仕様と対象が指定された事を考えれば、おおよその結果は想定出来る。
対象に対して何かエフェクトでも付与された映像が見えるのだろうが、それを確認するだけなら『お社』まで移動する意味が無い。
こんな所まで移動せずとも、適当な何かで確認すれば済む話だ。
そんな事を考えると同時に、大江部長の説明後に考えた事も思い出す。
そもそもARは『拡張現実』である以上、VRとの差別化の為には『現実』部分を意識せざる得ない。
今扱っている自社のAR製品は体を動かす事(スポーツの動き)を前提とし、それに視覚情報を追加したモノばかりだったので、今回もその延長だと思っていた。
それらのノウハウがある筈なのに、今更『見る』事からテストを始める。
その事実に、今まで感じていた様々な違和感、厳重な社内秘や自分の待遇等が結びつく。
これは本当に社運をかけた、新しいプロジェクトなのかも知れない。
どこか、今まで半信半疑だった気持ちが沸き立ってくる。
そうした強い期待の中、視線を上げた先には、
『辺り一面に浮かぶ文字らしきものに囲まれて、よく見えなくなったお社』
という、訳のわからない景色が浮かんでいた。
…何か、期待していた映像と違う。
そんな自分の感想と裏腹に、開発担当の二人はうれしそうにこちらを見つめ続けていた。
読んでくれた方がいれば、ありがとうございました。
明日は週末なので、複数話投稿に挑戦してみます。