プロローグ
初投稿、よろしくお願いします。
加筆修正しました。
企画課に所属して3ヶ月、初めて担当した案件について課長に報告しようとしたら、別室に連れていかれた。
クライアントとは先程まで話していたからクレームでは無いはず、案件の内容は途中経過も含めて報告済み、社内業務のあれこれは特に溜めていない。
呼び出しを受ける理由は無いはず、無かったと思う、無いんじゃないかな、と段々弱気になりながら、課長からの言葉を待つ。
あ、とりあえずクライアントから了承貰いました。
「お疲れ様です。来週から別の部署に異動だから」
言われたのは異動内示だった。
僅か3ヶ月で追い出されるって、俺そこまで酷い事しましたか?
改めて話を聞くと、異動先への人事は1年前から決まっていたらしい。
意味が解らない。
何故3ヶ月前の企画課へ異動となったのか、何故1月という中途半端な時期だったのか、何故暫くの間(ずっと溜まっていた)課内業務をひたすら処理させられたのか、まさかその処理の為だけに呼ばれたとかないよね?等と頭を過る。
そもそも、1年前ならまだ…
時間を遡り、過去に思いを巡らせていると、再び課長が口を開く。答えはまさかの正解でした。
どうやら異動先部署の立ち上げが遅れて、自分の人事が宙に浮いていたらしい。
顔繋ぎもかねて関連部署に所属させるという名目で、人手不足の企画課に呼ばれたのが真相だった。
いや人手不足って、処理しなきゃいけないアレコレをサボっていただけ…いえ、何でもありません。
「これは一年前からの既定事項なので、拒否するならそれなりに覚悟するように。担当していた案件の内容は把握しているから、私が引き継ぎます。異動先の詳細は後日、別の人間から話があるので」
一瞬だけ見えた真顔に震えていると、誤魔化す様に優しい表情になった課長が続けて言う。
「終日ココを押さえてあるので、ゆっくり考えなさい。急な話で混乱しているかもしれませんが、この件は社内秘なので誰にも言わないように。課内には私から後日通知します」
社内秘の部分だけ真顔で念を押すと、クライアントとの引継ぎ挨拶の調整を指示し、肩を叩いて課長は戻っていった。
突然の話に驚いた事と課長の顔の寒暖差に誤魔化され、ろくに質問出来なかった事に気付いたのは暫く経ってからだった。
それから一週間後、
「何でこうなった?」
実家近くで車に乗っていた。
読んでくれた方がいれば、ありがとうございました。