表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ 開幕

里崎(ID565366)さんの企画「創作ごった煮企画」参加用の作品です。

 明日香は躊躇いがちに店の中を見回した。

 レトロでアメリカを感じる店であった。

 壁にはモノクロの写真からくたびれて色あせた写真までが所狭しと貼ってある。

 明日香には何だかわからない落書きのような模様も、店内を縦横無尽に走っている。


 座っている椅子にも視線を落とす。

 くたびれた革張りの少し横に長い椅子。色は赤でアメリカンと言えばとてもアメリカン。触ってみるとふかふかというよりはむちむちという触感。

 座り心地はそれなり。


 テーブルはなんだかよくわからない塗料で塗られている。

 蛍光性の強い赤はすっかりと薄れて傷だらけだが、丁寧に磨かれていて眼鏡をかけた明日香の地味な顔が映りこむ。

 カウンター席もあり、高すぎるほどに背の高い丸椅子は明日香が座るのに苦労するだろう代物。

 総じて少し古めのアメリカ映画に出てくるようなレストランだった。


 こういうレストランをダイナーというらしい。

 北アメリカに特有のプレハブ式レストランだよ、と無駄知識を披露したのは目の前に座っている沢野恵あいぼうであった。

 プレハブ式が何なのかも明日香にはわからないが、いつにもまして楽観的にすぎる金髪碧眼のド派手でお気楽気味な女の子の言葉にはと手少しむっとする。


 現在の明日香は連れられてやってきたレストランについての所感を述べるほど、のほほんとしていられない状況に置かれているのだ。

 それなのに何も気にしなくていいという風に楽観的な態度を取られたら温厚な明日香とてむっとするのも仕方ないだろう。

 そんな明日香の緊張したような視線や態度を感じたのか、恵がメニューから顔を上げてどうしたのかと聞いてくる、マシンガンみたいなトークで。


「どうしたの明日香? あっ、もしかしてメニューが読めない? 眼鏡の翻訳機能使ったらすぐだよ。そうだ! 読んであげよっか! 銀河世界ギャラクティカの標準語は勉強したんだよー、スイートに泊まりたくてさー」


 連打される言葉は、明日香は苦手だった。

 何か答える前に次の言葉が来て答えることが増えてしまい、結果としてどう答えるかを考える時間ばかりが伸びていってしまう。

 今は本当にそれどころじゃないというのに。


「そうじゃなくて……」

「なら、頼むの決まった? ごめん、もうちょい待って、今この辺の画像検索しててさ。今時ホロもつけてないメニューは面倒だよねぇ、いくらレトロスタイルだからってさー」

「それも違くて」


 別に明日香はメニューが読めないわけでも、頼むメニューが決まったわけでもない。緊張しているのはもっと根本的な問題のせいである。

 明日香は仕方ないから言葉にすることにした。そうでなければ恵に伝わらないと悟ったからだ。


「店中のお客さんから銃を突きつけられてて、よくそんな風でいえますね」


 そう今現在、明日香と恵はこのダイナーの客全員から銃を突きつけられている。

 黒々としたプラスチックとか樹脂とか。

 明日香が知らない素材を使ったレトロ拳銃の銃口が十数も向けられては絶体絶命の状況と言って差し支えない状況に陥ってしまっている。


 最新式のぴかぴかした銀河標準仕様の拳銃は見られない。

 そこだけは安堵していいだろうか、と頭の片隅で明日香は考える。

 最新式があると文字通り一発で惑星が終わったりする威力を出したりするから、面倒極まりないのだ。


 そんな拳銃を二人に突きつけているのはもちろん荒くれですよと言わんばかりの、恵曰く第七マグロ星雲銀河共通法違反の強化改造マシマシなゴロツキどもである。

 本人たち的にはギャングであるらしいが、恵はただのゴロツキの集まりだといって憚らない。

 銃に金はかけないのに体には金をかけているのが如何にも銀河辺境の悪党と言ったところだ。


 そんな悪党どもの一人がずいっと顔を明日香たちに近づけてくる。

 何日も風呂に入っていない強化人間特有のつんとした刺激臭が鼻に突く。

 思わず明日香は目を細めた。

 明日香の反応を意に介さずゴロツキは言う。


「おう、ドアガールの嬢ちゃんたちよぉ、誰に断ってこのダイナーに入ってんだ? あん?」


 もちろん行われたのは威圧で、このような危険極まる場末のダイナーに女子高生がふたりも入ってきては誰もが怪しいと思うもの。

 それくらいの頭はゴロツキであろうとも当然のようにある。

 その上、問題は恵の方にある。

 彼女の首にかかった小さな鍵の存在を知らない悪党は誰もいなかった。

 そのカギはドアガール……つまりは異世界を渡り歩く賞金稼ぎであることの証だ。


 賞金稼ぎが入ってきたとなっては自分たちを捕まえに、あるいは殺しに来たものと判断して銃を突きつけるくらいはする。

 そういうわけで席に座った明日香と恵はいくつもの銃口に取り囲まれることになったわけだ。


 そんなことになってもメニューとにらめっこを続けている恵に明日香は感心半分呆れ半分でどんな表情を浮かべたものかと迷う。

 ひとまずはこれからどうするかを決めてしまいたいと、明日香は眼鏡を使って文章を恵に送りつけてやる。


『ねえ、どうするんですか、この状況』


 明日香がドアガールになってから数週間。

 自殺しようと思ったところを先にドアガールをやっていた恵に誘われて始めたのがきっかけだ。


 その間に様々な荒事も経験した明日香は、ゴロツキたちのような連中に囲まれて威圧された状況で、悠長に口に出して会話をするのは愚行ということは学んでいる。


 だから、眼鏡を使ってやり取りをする。

 ただし、そんな明日香の心遣いに対して恵が頓着したことは、今までもあまりない。

 当然のように彼女はこれからやることを口に出す。


「どうするって決まってるじゃない。全員ぶっとばすのよ」


 その過激な発言に明日香は驚愕して絶句するし、ゴロツキたちは当然のように怒気を上げる。


「おいおいおい、今なんつった? オレらをぶっとばすって言ったのか? 冗談も休み休みいえよなぁ、この人数差でどーすんだよ、オイ!」

「どーするもこーするもこうよ」


 スパンと、いい音がダイナーに響き渡る。

 憐れにも馬鹿にして近づいてきたゴロツキの側頭部に恵が持っていたメニューが叩き込まれた。


「げ、ひ……?」


 ファミレスなどによくあるメニューではなく、このダイナーのメニューは実戦仕様(タクティカル・モード)であったらしく、明日香の思った以上の威力を発揮し、彼らのひとりを昏倒させてしまった。

 どさりと大きな音を立てて床に伸びている。


 こうなると先ほどまでの停滞していた状況は一気に動き出す。

 一斉に引き金にかかるゴロツキたちの指。

 それよりも素早く動くのは歴戦のドアガールである恵の足だ。

 

 すらりとしたカモシカのような足がダイナーのテーブルを蹴り上げる。

 女子供の威力とは到底思えない健脚により、テーブルは天井へ一直線。

 こちらも実戦仕様なのは変わらず、重量により轟音とともに落下。

 テーブルは床に突き刺さり破片と埃を巻き上げる。


 ゴロツキたちが引き金を引いたのはそれと同時。

 明日香は首根っこを掴まれて突き刺さったテーブルの後ろへと放り込まれる。

 その直後に弾丸がテーブルに当たるカンカンカンという小気味のいい金属音が響いて、当たらないとわかっていても明日香の小さな心臓を否応なく跳ねさせた。

 当然、明日香の口からは恵にへの文句が勝手に飛び出す。


「どうしていつもこうなんですか! 今日は食事だけって話だったですよね!」


 普段の物静かさなど忘れたように声を張り上げて、ぷりぷりと怒る明日香に恵はどこ吹く風で笑い返す。


「えぇ~、明日香ちょっと刺激的なご飯がいいって言ってたし」

「それは、そう、ですけど……」


 明日香は数時間前、恵にご飯食べに行こうと誘われ、当然のように何が食べたいか聞かれた際にそう答えた。

 答えたが、それは辛い食べ物が食べたいというニュアンスであって、ゴロツキ溢れる銀河辺境のダイナーで銃撃戦に巻き込まれたいという意味では断じてない。


 今度から恵にご飯に誘われた時は断るか、何が食べたいか具体的にきちんということにしようと明日香は決めた。

 でもきっと、誘われたらついていっちゃうんだろう、という自分のチョロさもわかっているので、溜息をつくほかない。


「はぁ……」


 そんな明日香をよそにさらっとテーブルの向こう側を探っていたらしい恵はにっこりと明日香に笑みを向ける。


「それよりあと5秒で相手が弾打ち尽くすから反撃するよ。準備は?」


 明日香は溜め息で返した。


「……できてます、とっくに」


 明日香の返事に恵は、にししと、魅力的な笑顔を向けるのだ。


「さっすが相棒! というわけで先鋒は任せた」


 いつもは逆なのにぽんと肩を叩かれて、また深いため息と同時に少しだけ嬉しさが明日香の中でこみあげてきた。


(いやいや、今は集中集中)


 にんまりと上がりそうになる口角を必死に押しとどめながら鞄の中に入れていた拳銃を取り出す。

 それは今ゴロツキたちが無造作に撃っているのとは違う。

 異世界ドア協会がドアマン・ドアガールのために作った特殊仕様の大口径無反動回転弾倉式拳銃だ。

 名前は『巨人殺し(ジャイアントキリング)』という。

 ちょっと平べったくて、黒ではなく銀色に輝いている。


 明日香は手入れをマメに行うから買った時のままぴかぴかしているが、それでも多少の傷が見えるのは幾ばくかの経験の証で勲章だ。

 明日香はその傷が好きだった。どこか自分と同じ経験を共有している気がするから。


 グリップには青い鳥がデコレーションされていて、これは明日香の趣味ではなく可愛くないと恵が施したもの。

 落としても自分のものとわかりやすくて気に入っている。絶対に恵は調子に乗るから言ってやったことはない。


 明日香はさらっと問題なく動くことを確認。

 全ての確認に一秒もかからない。

 一目見れば状態がわかるくらいには使いこなせてきたらしいと明日香はひそかな満足感を感じる。

 恵はそんな明日香にいらぬことを聞いてくる。


「弾は足りそう?」

「その心配は必要ないよね」


 エネルギーは満タン。

 ユニバーサル充電機能でその辺に置いておくだけで、周囲の酸素や二酸化炭素、窒素などを利用してエネルギーを生成するから使っていなければ常に満タンと言っていい。


 この巨人殺しは弾倉式ではあるが、実態はエネルギー拳銃なのでこの回転弾倉は撃ちだすエネルギーの形状や威力を調整するものでしかない。

 だから、弾が足りないということはない。

 そんなこと恵が知らないはずないが、いつも聞いてくる。


「良いじゃない、雰囲気よ雰囲気。映画とかじゃ聞くでしょ」

「これ映画じゃなくて実戦だけどね。それじゃ、集中するから」


 そう明日香が言えば恵も黙る。

 銃を握って目を閉じるとかちりと明日香の頭の中でスイッチが入る。


「良し」


 目を開くと同時に破落戸たちの銃撃が終わる。

 弾倉を回転させ、散弾モードへ切り替え、立ち上がると同時に射撃。

 特に狙いをつけなくてもテーブルの正面にいることはわかっていたからそれだけでゴロツキたちの大半が吹っ飛ぶ。

 恵がこれ幸いにとテーブルの影から獣のように飛び出していく。


「やっほー!」


 恵は付近にいたゴロツキに向かって縦回転蹴りをお見舞いする。


「ぐあ!?」


 それからさらに向かってきたゴロツキの顎に拳を叩き込んだ。

 くらりと揺れるゴロツキの身体に膝を入れて、背中を掴んでぶん投げる。

 人間砲弾を喰らって五人くらいのゴロツキが店の外に吹っ飛んでいく。


 明日香はやっぱり恵が調子に乗るから絶対に言ってやらないが、彼女の豪快な戦い方にいつだって感嘆する。

 その隙にまだ残っていたゴロツキたちが拳銃のリロードを終えて明日香たちに向かって射撃を実行する。


「この舐めやがって!」


 それを一瞥すると同時に明日香は巨人殺しを通常モードに切り替え、射撃。

 レトロ拳銃にはまだ弾丸が使われている。その弾丸と寸分たがわぬ軌道に己の巨人殺しのエネルギー弾の軌道を同期させた。

 相手の弾丸はあっという間に蒸発し、貫通力の変わらない巨人殺しのエネルギーショットは、容易く相手の拳銃を破壊する。

 そのミラクルショットとしか思えない銃術にゴロツキたちが悲鳴を上げた。


「うわあ!?」


 そんな間隙を逃さないのが恵という女の子で、一瞬のうちにまだ立っていたゴロツキたちを気絶させてしまう。

 手際は本当に良い。

 ぱんぱんと手を叩いて一仕事終えたと恵は額をぬぐった。


「はい、終わり! あとは円腕のリチャードだけね」

「えんわん? 炎の腕? リちゃードって?」


 明日香の疑問に答えたのは彼女の眼鏡の方で、即座に円腕のリチャードの情報が表示される。

 それを見て明日香は首をかしげる。


「円の腕?」


 どうやらこの辺境地域で名うての賞金首ということはわかったが、二つ名になっている円腕というのがわからない。

 これまたその疑問がすぐにでも与えられる、低く空気を振動させる野性味のある男の声で。


「教えてやるぜ、ドアガールの嬢ちゃん。こういうことだ」


 ダイナーの入口。

 そこにテンガロンハットに古めいた外套を羽織ったガンマンという風情の男が立っていた。

 煙草を吐き捨てると同時に、外套から隠れた右腕を明日香に向ける。


 そこには円の腕があった。

 より正確に言えば、円筒になった腕。

 それは義手(サイバーアーム)の一種で、超大口径エネルギー銃の銃身そのものだということは眼鏡が即座に情報を表示してくれたわかった。

 危険度はかなり高い。というかとてもヤバイ。


 巨人殺しではどうしようもない。

 流石に死ぬかもと明日香が冷や汗をかいていると。


「避けるよ!」


 横からすっ飛んできた恵が明日香を抱えて割れた窓枠を足場にダイナーを大脱出。

 直後、放たれたサイバーアームの一撃がダイナーを破砕。

 衝撃に身体を押されながらも、鍛えられた体幹で着地した恵は、多少よろめきながらも通りを走り始めた。

 明日香は恵に守られたので無事。

 空を見る余裕もあった。


 宇宙そのものの色が広がっている。

 ここは銀河世界と呼ばれる異世界に存在する宇宙(スペース)コロニーのひとつで、強化プラスチックの天井は開けていて、向こう側には深淵の宇宙が広がっている。

 ただし、今はそこにレタスによく似た食材やらパンズやらが混じっている。


 ぽとりと何かがお腹の上に落ちてきた。完成されたハンバーガーだった。

 奇跡的に埃にもまみれていないし、弾丸に打ち抜かれているということもないようだった。

 恵はそれを見ておかしそうに笑う。


「あはは、見て明日香、今日のご飯が降ってきた!」

「そんなこと言ってる場合じゃないですよね」


 後ろを見る余裕のある明日香が後ろを見れば、円腕のリチャードが追いかけてきているのが見えた、サイバーアームを明日香たちに向けながら。


「どうするの?」

「どうするもこうするも撃ってよ。あれの首持って行ったらいい賞金でるよ」

「ご飯に来ただけなのになんで仕事に……」


 最悪と嘆きの声をあげて、明日香はさほど表情の変わらない顔を手で覆う。


「良いじゃないの、お金が手に入ってウハウハ。ご飯もちゃんとハンバーガー確保したし」

「空から降ってきたものですけどね!」


 あまり食べる気が起きないのはこの際、脇に置いておくことにした。

 今は後ろの賞金首を何とかする方が先だった。

 明日香は言われた通り、背後に銃を向けて引き金を引いた。

 脳天一発。外すはずもなく、一撃で片が付く。


「はい、終わり」

「さっすがガンスリンガー明日香!」

「良いですから、そろそろ降ろしてください」

「はーい」


 にこにこほくほくな恵の頭をぺしぺししながら明日香は地面に降りる。

 どこをどう走ったのか彼女にはわからなかったが、どうやら自分たちが入ってきたドアの近くであったらしい。

 見覚えのある噴水の近くに、これまた見覚えのあるドアがある。

 ふとまだそれほど時間が立っていないのに懐かしさを覚えた。


 あの時も明日香はこうしてドアの近くに立っていたのだ。

 それで恵と出会い、ドアガールに誘われた。

 思えば、それは彼女なりの気遣いとか優しさだったのかもしれない。

 様々な経験をしたから素直にそう思えた。


「あ、そうだ」


 ふと思い立ってバーガーを食べることにした。

 ジューシーなパテとレタス、それからチーズのハンバーガー。

 一口だけ食べた。


「ふふ、まっずい」


 ただそれでも悪くないと思えた。


「あー! ずっるい私にもちょうだいよ!」

「やーだ」

「ちょーだいちょーだいちょーだい!」

「ああもう! 嫌です! 抱き着かないでください、暑い!」

「くれるまで離れないもーん」

「子供ですか! はぁ……」

「まだ17歳で子供ですー」

「これが本当にわたしより一歳先輩なのが信じられない」


 じゃれ合いをしながらも、明日香の表情は悪くなかった。

 こんな相棒がいるならドアガールも悪くない。

 明日香はそう思っているから。


「お金払うなら良いですよ」

「えぇ、私たち相棒じゃーん……」

「嫌ならわたしだけで食べます」

「ああん、払う払う! 払うから、半分ちょーだい! お腹空いたからー!」

「仕方ないですね」


 明日香はバーガーを半分渡す。


「んー、まっずいねぇ」

「後悔しても返金しませんからね」

「わかってるってー。ねー、次どこ行く? 幻想世界ファンタジアンはもう行ったからー、忍者世界シノビガランとか行っちゃう?」

「また極端な。まだ、わたし、ドアガール教本にあった基礎世界の木造世界ウッドロウにも、炎熱世界ファイアシオンにも水棲世界アクアリウムにも行ってませんよ」

「だって、そこつまんないしー。あっ! 科学世界サイバートラストに行こうよ! 次に爆発頭祭りがあるんだよ!」

「嫌です。何ですか、その邪悪極まりないお祭りは」

「えー、じゃあ、百歩譲って氷冷世界アイスエイジはー? 夏休みだし、涼めるよ」

「検索しましたけど、絶対に涼めるレベルじゃないですよね。凍りますよね」

「じゃあじゃあ、人形世界ドールランド! 人形大好きだよね、明日香は!」

「まあ、好きですけど……。はぁ、わかりました。行きましょう」

「良し決まり! じゃあ、行こう明日香!」


 やったーとはしゃぎながら恵は明日香に手を差し出す。

 あの時、明日香の自殺を止めてこの世界へ引き込んだときとまるで変わらない。


 明日香は笑いながらその手を取った。


企画用の設定雑記


ドアマン/ドアガール

異世界を股にかける賞金稼ぎの総称。誰もが異世界を移動するための鍵型のデバイスを持っている。

世界移動にドアを用いるため、好きな時に好きな場所に移動できるとは限らない。

世界と世界のはざまにあるドア協会が本部。

ドア協会は、ドアマン・ドアガールにランダムで拠点となる部屋を渡す決まりがある。

部屋は完全ランダムで、様々な世界のホテルや家を再現する。

基本は二人組。

二人でやれる賞金首の賞金額は1000万円から。

999万円以下の賞金首は一人でも仕事を受けることができる。


「苗字はいかつくて嫌いです」

「面倒なことは嫌いです」

「店中のお客さんから銃を突きつけられてて、よくそんな風でいえますね」

乱獅子明日香らんじしあすか

普通の高校生だったが、恵にドアガールの相棒に選ばれる。苗字はいかつくて嫌い。

一人称はわたし。

恵に対しては恵と呼び捨てかあなたと場合によって使い分け。

いつも無表情で感情が薄いと思われがちであるが、内心では、結構感情豊かな面もある。

両親が揃って蒸発したため、一人暮らしになりお金が必要となった際に面倒くさいと自殺を決行しようとしたところを、恵に連れ出されなし崩しに危険だが大金の稼げるドアガールになる。

マメな性格で常に愛銃の手入れを欠かさない。仕事の度に愛銃に着く傷を勲章のように思っている。

身体能力は低いが、動体視力と反応速度が非常に高く、銃で狙えば当たるというほとんど超能力じみた運気を有している。

そのため拳銃を初めて触ったにも関わらず百発百中の高いセンスを持っている。


口調は丁寧口調。

自分にも他人にもさほど興味が薄いので、基本は恵に引っ張られて人助けとかすることになる苦労人。

一杯苦労させてあげてください。

それでも恵から離れられないのは、きっと恋なのかもしれません。


容姿

黒髪黒目に少し大きめの眼鏡をかけたどこにでもいそうな地味な女の子。

髪の毛は肩口で切りそろえられている。

制服は紺のブレザー。

背は159cmくらい。160と言い張っている。


好きな人のタイプは、自分とは違う人

好きなものは、かわいい人形とお金

好きなジュースは、水

嫌いなものは特にない


愛銃『巨人殺し(ジャイアントキリング)

異世界ドアガール仕様の大口径無反動回転弾倉式拳銃。

ちょっと平べったくて黒ではなく銀色に輝いている。

ポジションは後衛のガンスリンガー。


ドア番号は5436

部屋は銀河世界のリゾート惑星の最高級ホテルの最上級スイートルーム。もはや部屋というより屋敷ではというくらいの規模の部屋である。

恵が何度も行きたいといっていた部屋であり、そのため何かにつけては入り浸たられている。



「ならやってみようよ、そうじゃないと損だよ」

「明日香、弾は足りてる?」

「なら、頼むの決まった? ごめん、もうちょい待って、今この辺の画像検索しててさ。今時ホロもつけてないメニューは面倒だよねぇ、いくらレトロスタイルだからってさー」

沢野恵

金髪碧眼の女の子。

一人称は私。

明日香のことは明日香と呼び捨て。

どこかの国のハーフで、あの金髪と目は天然自前のもの。

すぐ仲良くなるコミュニケーション能力の持ち主で、外国人のように色々とあけすけにモノを言う実に爽やかな人物である。

明るく元気で、とにかく人と関わることが楽しいし、お節介上等言わんばかりに何かにつけて首を突っ込んでいき、話し出すと止まらない。

まるで暴走特急を思わせるが、意外にも他人に気を遣うタイプで踏み込んでほしくないところには踏み込まないし、踏み込んじゃったら即座に謝る高校のクラスカースト最上位の陽キャ。

スキンシップにためらいがない。

銀河世界の最高級リゾートホテルのスイートや人気アイドルに憧れるようなミーハーな一面もあり、明日香の部屋がリゾートホテルのスイートになってからは何かにつけて入り浸っている。


容姿

金髪碧眼。日本人離れしたすらりとした手足で非常に健康的。身長は170cmと女性としては高め。ハーフだからかプロポーションもとても良い。

髪は良くポニーテールにしている。制服は紺のブレザー。

つり目がちの目は鋭いものの、にこにこと浮かべた笑顔の表情が彼女を人懐っこい大型犬と思わせる。

意外にも他人に気を遣うタイプ。


好きな人のタイプは、好きな人

好きな料理は、友達と食べる料理

嫌いな料理は、一人で食べるもの全部

好きなジュースは、オレンジジュース。炭酸は苦手。

好きなことは、お人形さんみたいな明日香に抱き着くこと。


口調は明るく元気な陽キャという感じで。

明日香に対しては「弾は足りる?」といつも戦闘前に必要ないのに聞く癖がある。


身体能力が高く、弾丸を追い越し、素手で掴むといった芸当もできるため基本的な武器は己の肉体。

蹴り技主体の戦い方をする。

時には刀を使うこともある。銃は一切使えない。銃を撃てば背後の壁に当たるという意味不明なことが起きる。

ポジションは前衛のストライカー


ドア番号4946

どこぞのビジネスホテル。とても悲しいと本人は言っている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ