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短編とかその他

何度でもやり直して彼女に告白する男

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/08/02



 とある学校の中、女生徒たちがうわさ話に興じていた。


「ねぇねぇ」


 よくある始まり方をしたその話は、すぐに忘れ去ってしまうものだ。


「人生をセーブする権利が、どこかのお店で取引されているらしいよ」


 その言葉に、別の女生徒が反応する。


「うっそだー。そんなのあるわけないよ」


「ほんとだってー」


「うそうそ。ありえないよ。そんなのに騙されるわけないじゃん。でも」


「でも?」


「本当にそんな事ができたら、何でもやりたい放題だよね」


 そこで、話は終わり。


 それ以上、広がることもひきずることもない。


 真実か定かではないものだから。


 かぎりなく嘘に近いものだから。


 しかし、時には、そんな嘘とされるものが現実に、存在することもあった。






――幻想百貨店――


 達筆な字で書かれた看板がある。


 そこは、人目にはめったにうつらない裏路地。


 ぼろ小屋のような店があった。


 その店から、男が一人出てきた。







 やったぞ!


 これで、何度もやり直しができる!


 かわいいあの子の心をつかみたい!


 けど、無理だとあきらめていたんだ。


 これで、何とかなるかもしれないんだ。


 なんて今日は、希望に満ちあふれた日なんだろう!


 バイトしてお金を貯めておいてよかった。


 今日、俺は苦労してその権利を購入したんだ。


 それは、なにか。


 人生をセーブする権利だ!


 都市伝説でささやかれてる程度で、昔は俺も信じてなかったんだけど。


 でも、どうしてもあの子とつきあいたくてさ。


 行くだけ行ってみるかって思ったんだよ。


 噂の店にな。


 そんで場所を調べて、ここを見つけたんだよ。


 路地裏にある幻想百貨店を!


 それでたった今。


 俺はその店に行って、権利を手に入れたんだ。


 人生をセーブする、その権利を。


 はぁ、これでもう大丈夫だ。


 失敗を恐れて、今までは何もできなかったけど、これなら勇気がでるぞ。


 どんなに高根の花でも、釣り合わなくても、きちんとプランを練れさえすれば、なんとかなるはず。


 さっそく告白だ。







 おかしいな。


 なんで、ダメなんだろう。


 何度もやりなおして、場所を変えたり、シチュエーションを変えたのに。


 どうして、受けてくれないんだろう。


 そう疑問に思っていたら。


「はっ初めてあった人とつきあえるわけないじゃないですかっ!」って彼女が怒り出してしまった。


 ああっ、まだ知り合ってなかった。


 失敗失敗。


 でも大丈夫。


 やり直せるから。


 今度は知り合ってから、告白しなくちゃな。






 んん?


 なんでだ?


 今度は手順を踏んでお友達からスタートしたのに。


 彼女は全然俺に振り向いてくれない。


 好きなアイドルとかユニットとかの話で近づいて、きっちり時間をかけて仲良くなったのに。


 何度告白してもうまくいかないんだ。


 色々な条件で試してみたのに、おかしいなぁ。


 このままじゃらちが明かないので、捨てる回で彼女に聞いてみた。


 そしたら「だって、そんな瞳孔開いて血走った目の人に告白されてもときめかないし」だって。


 おっと、しまった。


 意気込みが強すぎたらしい。


 今度は落ちついて告白しないとな。


 でも、そしたらまた玉砕。


 あれ?


 話が違うぞ?


 とにかくもう一度彼女に聞いてみよう。


 そしたら「成功して当然、みたいなドヤがおで告白されるのはちょっと」と言われてしまった。


 謙虚さがたりなかったか。


 毎回、次こそは絶対成功するって思いながら告ってたから、その影響だ。


 けれど、「あの、そんな演技めいた告白されてもときめかないので」とか「台本を読むみたいに言われても」とか言われてしまう。


 こっ、これは困ったぞ。


 何度も繰り返しちゃったからな。


 人生の一大事なのに慣れてしまったみたいだ。


 まずい。


 これはリセットできない。


 要するに心の持ちようが重要だからな。


 今さら最初の頃みたいに、どきどきしながら告白するってなっても、無理だよ。


 だって、失敗しても次があるし。


 やり直しがきくし。







 それからも俺は、様々なシチュエーションや方法を試して、彼女に告白してみた。


 けれど、彼女は繰り返せば繰り返すほど冷めた目になってくる。


 最近の告白なんて、何か言う前に「もういいです」って断られちゃったし。


 どうすれば、俺は彼女とつきあえるんだ!







 はぁ、最悪。


 私には好きな人がいる。


 せっかく特別な力を得てもらって、満足の行く方法でプロポーズしてもらおうと思ったのに。


 彼がその方法にたどり着いてくれるように、彼の部屋にしのびこんで、パソコンに幻想百貨店の噂が表示されるように細工をしたのに。


 ちっとも私の気持ちを分かってくれない。


 繰り返せる力を得た彼なら、きっとその答えにたどり着いてくれると思ったのにな。


 せっかく私も、繰り返される時を記憶する、なんて力を得たのに。


 残念。


 そうなってくるともう面倒くさくなってくるよね。


 百年の恋だって、百回も的外れなプロポーズをされたら覚めちゃう。


 この人、どうやったら私の事諦めてくれるんだろう。


 ねぇ、今失敗何度目?


 ひょっとして、私があなたを好きになる前にも巻き戻れる?


 めんどうだから、そうしてから私とのかかわりを絶って、恋をあきらめてほしいな。


 だって幻滅する前の私だったら、あなたと話し続けたら、絶対好きになると思うし。


「もういいです。私、アイドルの○○君みたいな人が好みなんで」


 性格は、悪くないのに惜しいなぁ。


 どうしてこの答えにたどりつかないの?


 私好みの顔になってから、告白しにきてよね。



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