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異世界に医者はいらない  作者: 技兎
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雑魚に用無し


 雑魚戦闘に時間はかけません。

 一話で十分です。


 雑兵相手では燃えません。

 早く強い人を出したい。


 喉仏を狙った打突。

 呼吸を止め、武器を手放()とし、膝を折らせ、

 無防備な後頭部を晒させる優れた一撃。


(サイ)イッッ!」


 何の変哲もない棒。

 だが体重をかける位置やタイミング。

 打ち込む部位によっては十分凶器足りえる。


 後頭部に棒の先端が落ちる。

 そして相手の意識も堕ちる。


 アーメットの振るう棒術。

 それは真夜中に現れた集団を

 『確実に』『的確に』『迅速に』『着実に』

 何より『丁寧に』無力化していく。


 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜


 武器を持っている相手は武が悪い。


 女性を狙おう。

 可憐でか弱い女性を人質にすれば

 状況を一変出来る筈だ。


「そうぅらあ!!!」


 女性だからといって

 適当に狙いを定めたのは愚かだった。


 相手はオーク。

 二メートル越えで隆起した筋肉。

 女性というにはあまりに男性的な彼女。

 (なまくら)な武器では跡すらつかない。


 彼女にかかれば成人男性など

 片手で持ち上げられる。

 持ち上げられている。


 首根っこを掴み、頭を下に向け

 地面まで急転直下で落下()とす。


 下の地面が泥濘(ぬかる)んでいて良かった。

 首の骨が折れて死ぬ確率は、今はまだ五割程だ。


 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜


 もっと相手を選ぶべきだ。


 女性という選択肢は悪くない。

 今度は細身のメイドを狙おう。

 手に武器も持っていない。


「お二人共、頑張って下さい。終わりましたら、温かいホットミルクでもご用意致しますので」


 彼女は応援しかしていない。


 呑気(のんき)だ。

 狙ってくださいと言わんばかりに。

 二人を囲っている多を囮に、少人数でメイドの元へと走り寄る。


 だが近付けば近付く程に

 彼女との距離が遠のく感覚に襲われる。


 原因は風だ。

 メイドと間に突風が吹いている。

 雨は真っ直ぐ落ちているというのに。

 暴風で服も髪も後ろに(なび)く。



「チィ!!! こんな、風、くらい!!!!」


「……残念ですけど、時間切れです」


「何ふざけたことをっ?!」



 時間は常に流れている。

 手をこまねいている今も(なお)

 後から追いつくのは容易(たやす)い。

 風避けの前任者がいるから。


「失礼ッ!」


 ガラプは二人の荒くれの間に顔を出す。

 そして右腕は右の男の腰に回し、

 反対の腕は同じく左の男の腰に回す。


 本来ならこの技は一人用。

 だがオークの桁違いの力と風が味方している。

 だから可能だ【S(ソロ)D(ダブル)B(バック)D(ドロップ)】をするには。



「死ねゴラァ!!!!!!」



 天高く飛び上がり、地面に叩きつける。

 いつも以上に気合を入れて飛んだ。

 そこに普段よりも一人分多い体重。


 (跳躍力+風力)×重力


 受け身なんぞ知らない不幸な二人は、

 頭から地面に叩きつけられ、

 首の骨に異常をきたす重傷を負った。



「コレで全員ですか?」


 着実に仕事をこなすアーメット。

 風で棒術が扱えず、素手での締めだったが、

 何の支障もなく鎮圧してみせた。


「皆様、お疲れ様でした。それでは後始末の後、お風呂にでも入りましょうか」


「おーっす」


「了解です、メイド長」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 本格的に物語が動き始めた感じでワクワクしますね。 か弱い相手を狙おうとしてことごとく失敗する展開がクスリと笑えて楽しかったです。 [一言] 続きを楽しみにしております!
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