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異世界に医者はいらない  作者: 技兎
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手練れた素人の依頼書


 今更裏社会について、

 事細かに説明をする必要もないだろう。


 殺人 違法薬物 盗難魔道具

 人身売買 情報 密輸


 金になるなら、

 合法非合法問わず仕事をこなす集団。

 異世界ではもはやお馴染みな彼らだ。



 非合法だが合法でもある。

 ルール無用な様で、

 キッチリルールが敷かれている。


 裏ギルドは幅広く依頼を請け負い。

 裏貴族と呼ばれる組織は、

 大陸中で暗躍と侵攻を繰り返している。



 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜


 ゴールドはマネー命令に従い、

 裏のギルドに依頼書を発布した。


 依頼量は金貨一枚 依頼内容は襲撃

 相手は男一人と数人のメイドと執事

 殺しも可


 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜



 裏ギルドに張り出された依頼書。

 ゴールドが命令に従い、即席即日で作った。

 昔取った杵柄(きねづか)、流れは染み付いている。


 依頼はこなした。

 コレでやるべきことは済んだ。

 あとは好きにやってくれ。


 でもよかった。


 だがゴールドはその選択をしなかった。

 没落したとはいえ復讐はお門違い。

 昔取った杵柄は利用しただけ。

 ゴールドは不完全な形で依頼書を発布した。



 依頼料金貨一枚

 裏の人間に出す依頼料としては最低ライン。

 にも関わらず、依頼人数の際限が書かれていない。

 つまり質より量を求めると裏の人間は捉える。



 依頼内容襲撃

 集合時間や日時は書かれているのに、

 襲撃対象の詳細や場所についての情報が皆無。

 依頼料が高額であればそれも可能だが、

 不透明な部分が多くきな臭い。


 対象に使用人が書かれているのも不気味だ。

 相手が大物だということが匂い立っている。



 悪手に悪手を重ねる。

 裏のギルドは学のない荒くれ集団ではない。

 表のギルドと同じ吟味する側の人間。

 ただそこに腹積(はらづも)りの有無があるかないかの差だけ。


 依頼料が低い 不特定多数での仕事

 ここで熟練の人間は依頼を無視する。

 こんな依頼を受けるのは駆け出しくらい。

 自分達がやる仕事ではない。そう判断する。



 だがここで終わらないのが裏ギルド。

 ゴミのような依頼書にも光る部分があった。

 それは人数制限のない不特定多数を応募。


 依頼料は確かに低い。

 ソロの仕事屋は請け負わない案件。

 だが裏を返せば、どれだけの人数が来ようと金貨一枚を支払えるくらいには、(ふところ)が暖かいということ。


 そこに気付ける目敏(めざと)さの有無。

 それが裏社会で成り上がれるかどうか境目であり、

 裏貴族達が()いた情報網に引っかかる。



「アタシらの所に借金してる屑共をありったけ連れてきな! 屑共(かれら)にチャンスをやろうじゃない……」


「コレは神の思し召し。この仕事を完遂した暁には、我が教団のおける貴方達の存在を認知して差し上げましょう」


「潰しの効く連中だ。いざという時、捕まろうが死のうが被害は(こうむ)らん。無料金(ただがね)を頂ける機会、利用しないてはないで御座イ」



 ズブの素人が出した可能性もある。

 礼儀も通例も知らない依頼童貞が出した依頼書。

 だが、その時はその時で別の処置を施すだけ。


 もし全員に問題なく金貨が支払われたのなら、

 それは相手が素人の金持ちであることの証明。

 裏の人間が最も愛して止まないカモであることの証明に他ならない。


 人を集める。

 ただ都合の利く人間はそうはいない。

 各組織から十数人と野良の駆け出しも混じり、総勢で四十人程度がこの依頼に参加する結果になった。


 依頼料は小袋一杯の金貨。

 支払わなければ代償が、

 支払われればカモ認定される。



 ゴールドは手練れだ。

 自分の所には足がつかないように配慮し、

 逆にマネーに繋がる証拠は残してきた。


 コレが今できるゴールドの精一杯の反抗。

 四十人という数は想定外だが、

 もう出来ることは何もない。

 あとは祈ることだけしかできない。



 次回は襲撃編

 40人の裏社会の人間vs患者使用人


 果たしてどうなることやら

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