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雑文恋愛「卒業式では泣けない。だって・・」  作者: ぽっち先生/監修俺
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彼の者は神が使わした使徒なりっ!

元々独立心が強く、昔から時の権力者たちといざこざが絶えなかったシャンパーヌの町には、市民たちの間にとある伝承が語り継がれていた。その伝承とはシャンパーヌの町が危機に陥った時、町に天使が舞い降り町を救うというものだった。

まぁ、これはシャンパーヌの町に限らずどの地域にも、形は違えどひとつくらいは必ずあるメジャーな天界からの天使降臨伝説だ。そしてシャンパーヌの町における伝説は次のような内容だった。


『その者、紫紺の衣をまといて現る。彼の者の言葉は夏の夕暮れに舞う一匹の陽炎の如く儚くチカラ無きものであったが、真言なり。その者の元に集いし水滴はひとつひとつは小さきものなれど、その流れはやがては小川となり、さらに大河となって濁流の如く敵を打ち払うであろう。弱き者たちよ、互いの背を守りながら勇者と共に敵に立ち向かうべしっ!さすれば栄光はそなたたちの頭上に輝くであろうっ!』


そう、ホワイトはこの伝承と彼女のセーラー服を組み合わせて奇跡を演出したのである。彼女のセーラー服の色はまさに紫紺色であった。いや、元の色はもっと黒に近い紺色だったのだが彼女がこちらの世界にやってきた時遭遇したスライムもどきの爆発に巻き込まれた時分に変色してしまっていたのだ。それをホワイトが利用したのである。

もっとも色に関してはブルージュの共同住宅にいた時分に今回の作戦に合致するように染め直していた事を彼女は知らない。と言うか、彼女はあまりセーラー服の色合いに興味を持たなかったのだ。

まぁ、これが真っ赤だったりどピンクだったら彼女も嫌な顔をしただろうが、それ程変な色ではなかったので気にしなかったらしい。そもそも彼女は既に高校を卒業しているので今後は着る機会もないという事が、彼女にセーラー服の色合いに対して関心を示させなかった一番の理由だったのだろう。

だが今回はそのセーラー服の『色』が決め手となった。それと多分セーラー服というこちらの世界では珍しいデザインも一役買ったはずである。


「おーっ、あの服はまさに紫紺の衣・・。」

「て、天使様だ・・、我らを救う為に天使様がいらしてくれたんだっ!」

「そうだっ、天使様だっ!天使様が我らの元にご降臨されたのだっ!我らは天と共にあるっ!ありがたや、ありがたや。」

「そうかっ!先ほどのスパイを炙りだしたのも魔法ではなく奇跡だったのだっ!俺はさっき奇跡を見たんだっ!」

民衆は口々に伝承を口ずさみ、彼女こそ伝承の天使と信じて膝をついて頭をたれた。最初は信じようとしない者もいたが、周りが頭を垂れ始めると周囲からの圧力に耐えられなくなり皆に習ってその場に膝をついた。

そこにホワイトが仕上げとばかりに壇上より民衆に向けて檄を飛ばす。


「皆も見たであろうっ!今皆は奇跡を目の当たりにしたのだっ!ここに立つこの者は神が皆の下に使わした使徒なりっ!そして神の御意志は力を合わせてグレートキングダムの愚兵たちを海の向こうへ追い返せと申されているっ!もう一度言おうっ!彼の者は神が使わした使徒なりっ!そして我こそはと思う者は彼女に続けっ!それが天の御意志であるっ!ガレリア王国とシビリアン王朝に栄えあれっ!王家は汝らと共にあるっ!」

「おーっ、王家に栄えあれっ!」

「天使様、ばんざいっ!」

「我らは選ばれし民だーっ!」

ホワイトの駄目出しに民衆の興奮は最高潮に達した。だが、そんな民衆の反応に彼女はちょっと引いてしまった。いや、実はこうなる事は事前にホワイトより聞いていたのだ。もっと言えば彼女の魔法で猿になった男たちはホワイト側の人間であり、所謂サクラであった。だからそれを悟られないようにホワイトは直ぐに男たちを民衆から引き離したのである。

そしてホワイトが仕掛けた罠はそれだけでなく、彼女のマントを翻した突風もマジックアイテムにて起こしたものだし、彼女のセーラー服を伝承の衣だと声高に騒いだ男もホワイト側の人間だった。そう、今回の奇跡は全てホワイトが計画したヤラセだったのである。

だが、単純なのかそれとも信仰心が厚いのか、広場に集まった男たちはホワイトが仕掛けた罠にまんまと引っかかった。中には疑問を持つ者もいたようだが、他の人々が信じた為に引きずられるように自分の考えをしぶしぶながらも修正していった。

これぞ集団催眠とでも言えばよいのだろうか?もしくは集団ヒステリーか?どちらにしてもこの町におけるホワイトたちの新兵募集行脚は大成功を収める事となったのであった。

そしてシャンパーヌの町にて新兵の募集が大成功を収めた事によりホワイトたちの計画は一気に加速した。シャンパーヌの町へ天使が舞い降り奇跡を見たという噂は忽ち周辺の町に伝わり、人々は自分たちのところには何時来てくれるのだろうと二人以上が集まればその事を話題にしたほどである。


そんな順風満帆な新兵募集巡行によりホワイトたちは各地で当初の予定以上の追加兵力を得る事に成功した。そして集まった人々はホワイトの配下によりそれぞれ新たな軍団に編入されそれぞれの技量によって持ち場と役目を与えられる。そして体制の整った軍団から随時戦場へと投入された。

その結果、兵力差で苦戦を強いられていた前線でも新たに投入された戦力によりそれまでの軍事バランスの逆転に成功する。そうっ、それまで防戦一方だったガレリア王国側が攻勢に転じたのだ。そしてそんな戦いの先頭には常にガレリア王国の国旗を振るう一人の少女がいた。そう、その少女こそアルバート・シビリアン王子が異世界より召喚した勇者であり、その名をジャンヌ・オルレアンと言った。


「ジャンヌ・オルレアン。我らが救世主っ!」

「我らはあなたと共にあるっ!」

「オルレアンの乙女に幸あれっ!」

兵たちは自分たちの前に立つ少女に向けて口々に賞賛の声を上げる。逆にグレートキングダム側の兵士たちはそんな彼女を悪魔と呼び恐れおののいた。終いには彼女がガレリア王国の国旗を手に戦場に現れただけで持ち場を放棄して逃げ出す始末である。

そんな具合なので彼女が率いる軍団は連戦連勝であった。だが、それは全体からしたらまだ小さな勝利でしかなかった。既にグレートキングダム側に占領されてしまった土地は広範囲に及んでいる。なのでそれをひとつずつ潰してゆくのは並大抵の事ではない。

だがホワイトにはそれも織り込み済みだった。戦いとは常に分水嶺となる場所があるのだ。最終的にはそこでの戦いを制した者が全体としての勝利を手にする。そんな重要拠点のひとつがオルレアンの町であった。


そして今、彼女の率いる軍団とアルバート王子が率いる軍はオルレアンの町へ向けて進軍を始めた。オルレアンの町での戦いが、今回のガレリア王国とグレートキングダム王国の戦争での最大の分水嶺となる。つまり決戦なのだ。その為双方持てる兵力の全てを投入するはずである。

今、全ての戦力はオルレアンの町へと集結しようとしている。果たして勝ち残るのはガレリア王国か、それともグレートキングダム王国か。それは神ですら予言できないであろう。何故ならこの戦いは人間同士の戦いだからである。


・・。

と言うのはまだちょっと先の話で、実はまだ彼女は新兵募集巡行の途中です。いえ、別に人気がないから残りをすっ飛ばして閉めにに入った訳ではありません。ちょっとした先行予告みたいなものです。それでは彼女に今後の抱負を一言頂きましょう。


「私たちの戦いはこれからよっ!」

えーと、ジャンヌ・・、それって打ち切りフラグなんだが?なんか先が思いやられるなぁ。


雑文恋愛「卒業式では泣けない。だって・・」前半-完-

とは言っても以降の展開はバレバレでしょう。少なくとも中学生以上の人なら歴史で習ったはずです。はい、もろなぞります。

クライマックスはルーアンの広場での火刑です。火あぶりです。うんっ、昔のフランス人って凄いな。生きたまま焼くんかいっ!いや、別にこの頃はそれが当たり前だったのか?そもそも火刑の執行を命じたのはイギリス人だけどね。フランス人はそれを見ていただけ。ジャンヌって彼らの救世主だったはずなのに・・。

もっとも、イエス・キリストだって彼の信者の前で磔にされちゃったしなぁ。なんで暴動がおきなかったんだろう?当時はまだそれ程知名度が高くなかったのか?

うんっ、宗教って微妙だよね。でも小説も微妙です。昔あんなに流行った○○なんて今じゃ中古本屋で叩き売りされているもんなぁ。しかもそれですら誰も買って行かない・・。

そうだね、やっぱり物語って最新のモノを読みたいもんねぇ。なので一気に終わりまで投稿するとその後忽ち忘れ去られるので一旦インターバルをとります。いえ、嘘です。ただ単に書いてないだけです。だから本当に来年続きを投稿出来るかも微妙です。

なのでその時はランキングに載ってブイブイ言わせている別の作品をお楽しみ下さい。ランキング作品ってほぼ連載が止まる事はないですから。いや~、すごいモチベーションだよね。尊敬するなぁ。作者の方々はちゃんと寝ているんだろうか?

それでは運が良ければ来年またお会いしましょう。

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