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雑文恋愛「卒業式では泣けない。だって・・」  作者: ぽっち先生/監修俺
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命名ジャンヌ・オルレアン

そんな楽しく美味しい食事タイムを満喫し、最後に王子手ずから入れたお茶を堪能していると彼女は思い出したように王子に問い掛けた。


「そうだ・・。アル・・バート、私ハーツに会わなければならないの。彼は今どこにいるんです?」

「あーっ、ハーツかぁ。あいつは今この町の北の大聖堂の中にいるよ。そうだね、あいつにもそろそろ起きて貰わないとならないな。うんっ、お茶を飲み終えたたら迎えに行くとしよう。」

「えっ、迎えにって・・、もしかしてハーツって既に目覚めているんですか?」

「いや、相変わらず呼んでも抓っても無反応のダンマリを決め込んでいるよ。でもまぁ、君が迎えに行けばあいつも起きざる得ないだろう。あはははっ、お姫様を眠りから覚ますのは王子の役のはずなんだけど、どうやらハーツは僕では不満らしい。なので未来にお願いするよ。」

「はぁ・・、そうなんですか・・。」

どうやらハーツはまだ目覚めていないらしい。というかハーツは男のはずなんだが?うんっ、王子のジョークは時々危ないね。もしかして腐女子狙いなのか?

しかし、王子はそんな彼女の危惧を気にもせず、彼女に対して新たな提案をして来た。


「そうだ未来。君は僕の要請により異世界よりやって来てくれた勇者だ。なのでこちらでの名前が必要になる。そこで提案なんだけど、その名前を僕に付けさせてくれないかな。」

「えっ、名前?」

王子からの突然の提案に彼女は少し戸惑う。だが、相変わらず空気を読まない王子は話を進めてきた。


「うんっ、君の本当の名前とは別に、ここではこの国の人たちの為だけの名前を君に名乗って欲しい。そうする事によって君は民たちにとって本当の勇者となるんだ。まっ、君の本当の名前をそのまま使ってもいいんだけど、君の名前はちょっとこの国では異質だからね。できればこの国の人たちに馴染みのある名前を名乗って貰いたい。と言うか、もう名前は決めてあるんだ。うんっ、結構がんばって選んだんだよ。だから君が気に入ってくれたら嬉しいな。」

「えーと。はい。構いませんけど・・。」

アルバート王子の言葉に彼女は取り合えず曖昧な返事をする。だが脳内ではポチに問い掛けていた。


<ポチっ、これってどうゆう事?王子の言っている新しい名前ってジャンヌよね?と言うか、私は王子が私をジャンヌと呼ぶ事を前から知っていたわよ?ならなんで今更?>

『ピッ、ご説明致します。王子たちとあなたとでは時間軸が些か違うのです。』

<時間軸が違う?どうゆう事?>

『ピッ、ハーツ様があなたの世界で過ごした3年近くの年月はこちらの時間経過では半年程度なのです。』

<へっ?でもホワイトさんは前にハーツは3年間私の世界にいたって言ってたじゃない。>

『ピッ、それはあなたの時間軸に合わせて話しただけです。こちらでは半年しか経っていません。』

<えっ、どゆこと?>

『ピッ、基本時間の流れはどの世界でも同一です。これは宇宙のことわりです。あなたの世界の科学者たちは速度によって時間の幅が変わるなんて考えているみたいですが、あれは時間の持つ性質の一面を見ているだけに過ぎません。ですからあなたの世界で3年近くを過ごしたハーツ様がこちらに戻った場合、当然こちらでも同じ時間が経過していなければなりません。』

<うーっ、よく判んないわ。>

『ピッ、理解しようとしてはいけません。ありのままを感じるのです。フォースはあなたと共にあるのですから。』

<ポチ・・、もしかして今ボケた?>

『ピッ、難しい事を聞いてあなたの脳が思考停止状態に陥らないようにする為のカンフル剤です。なんなら歌でも歌いますか?私はあなたの世界のとあるアイドルグループの『愛の機械』という曲が好きです。』

<まさかポチが権利関係を考慮して曲名を湾曲してくるとは思わなかったわ。もしかしてあの権利って異世界まで追って来るの?>

『ピッ、彼らにとっては飯のタネですからね。まずは文書による警告、その後訴訟です。』

<はい、もう十分私の脳は準備運動が整ったから大丈夫よ。本題に戻って頂戴。>

『ピッ、あれぇ~、このまま歌の話題で誤魔化せると思ったんですけど。あなたも結構成長なさいましたね。』

<ポチ、あなた何を隠しているの?戯言はいいから早く説明してっ!>

『ピッ、いえ、別に隠している訳ではないんですが、あなたが理解してくれるか心配なだけです。だってあなた物理とか嫌いでしょ?』

<嫌いです。>

『ピッ、即答ですか・・。その癖説明を求めるんですから矛盾していますよね。まぁいいです。確かに時間の流れはどの世界でも同じですが、異世界間の移動では実は移動先の時間をある程度まで選べるんですよ。原理は違うんですけど異世界間の移動では時間跳躍みたいな事が出来るのです。』

<時間跳躍って・・、えーとタイムトラベルみたいな事?>

『ピッ、そうです。もっと言えばウラシマ効果の方がしっくりきますね。』

<判らないわ。>

『ピッ、う~んっ、そうですよねぇ。でも昔はこれでみんな納得したらしいんですけど。時代はもはやSFではないんですね。』

<はい、ぐずぐず言ってないで判るように説明して頂戴。>

『ピッ、えっ、ウラシマ効果について語っちゃっていいんですか?えーと3時間くらい掛かりますけど。』

<ポチ、そのボケはいらないわ。早くして。>

『ピッ、すいませんてせした。なのでバールは仕舞ってください。』

ポチは別に彼女を焦らせたかった訳ではないのだろうが、結果として彼女の機嫌を損ねてしまったようだ。なのでそれに気づいたポチは素直に説明を始めた。


『ピッ、基本異世界間の転移魔法では、転移した瞬間の時間にマーカーが打ち込まれます。これは戻って来る時の指標です。この指標を目標にする事により転移者は元の世界へ面倒な時間経過計算をしないで戻れるのです。』

<ふむふむ、それで?>

『ピッ、ですがこのマーカーも結局は時間軸の流れに影響を受けずれてゆきます。短時間ならそのずれは大した事がないのですが、さすがに3年近くも経つとそのずれは大きなものとなります。』

<ふ~ん、だから?>

『ピッ、先にも言いましたがマーカーを介さない異世界間の移動はとても面倒な計算が必要となります。これはがんばれば計算できるという類のものではないらしいのです。』

<あーっ、それはなんとなく判るな。計算って面倒だものねぇ。>

『ピッ、なので通常は転移時点で打ち込んだマーカーを目標に元の世界へ戻るんですが、そのマーカーは時間経過と共にずれますから今回のような時差が生じるのです。』

<えーと、つまり転移先と同じだけ時間経過した元の世界に戻る事は可能だけど、その為には面倒な計算が必要でハーツにはその計算が出来なかった。で、マーカーを目指して戻ったのだけどそのマーカーが流されていて転移した時点から半年後に戻ったという訳?>

『ピッ、あらら、びっくり。なんだ、ちゃんと理解出来ているじゃないですか。あなた、やれば出来る子だったんですね。』

<えっ、そう?へへへっ、もっと褒めてもいいわよ?>

ポチは彼女が説明した内容を結構理解した事に驚いたようだ。なので彼女の言葉を聞き逃して彼女の言葉を無視する形で説明を続けた。だが、彼女も別に本当に褒めて貰いたかった訳ではないので直ぐにぽちの説明を真剣に聞き始める。


『ピッ、さてここで先ほどあなたが抱いた疑問が生じます。こちらの世界ではハーツ様が転移したのは半年前です。その時、王子はあなたの未来という名前は魔法使いから聞いていて知っていましたが、まだこちらの世界で勇者として名乗って貰う名前は考えていなかったはずです。ですから王子がプログラムに願いを託した時にあなたに呼びかけたあなたの名前は『未来』でした。』

<えっ、そうなの?なんで?それっておかしくない?>

『ピッ、まぁ、普通に考えると矛盾なんですが、これが時間跳躍に関わる妙とも言えて矛盾じゃなくなるんですよ。』

<くっ、やっぱり聞くんじゃなかったかな・・。頭が混乱してきたわ。>

『ピッ、もう遅いですよ。なので最後まで聞いて貰います。あなたに呼びかけるように組まれていたプログラムはあなたの事を『未来』と呼ぶように組まれていました。ですが、実際には後から王子が考えた『ジャンヌ』という名に変わっていた。普通に考えるならこれは誰かが途中でプログラムに変更を加えたとしか考えられない。ではその変更をしたのは誰か?』

<ポチ、ごめん。私推理モノって苦手なの。特に答えはCMの後でってのが大嫌い。>

『ピッ、堪え性がないんですね。まっ、答えは簡単、未来の王子ですよ。』

<は?なにそれ?>

『ピッ、ですから未来の王子がプログラムに干渉してあなたを呼ぶ名前を変更したんです。』

<いやいや、それはダウトよ。それだと今王子が私の名前を提案したいと言った事と矛盾するじゃない。なに?もしかして王子って私をからかった?それともサプライズでもやりたかったの?>

『ピッ、残念ながらどちらでもありません。先ほど説明した未来の王子とは今あなたの前にいる王子ではなく、今よりもっと未来の王子です。だから現在の王子はあなたが王子から託されたメッセージでジャンヌと呼ばれていた事を知りません。』

<未来の王子が・・、って、ごめんポチ。降参だわ。理解できない。>

『ピッ、ですよねぇ~。私も魔法使いから事前にレクチャーされていなければ説明出来ませんでした。まっ、それだけ時間に関する事は矛盾を孕み易いという事です。タイムパラドックスって言葉はあなたも聞いた事があるでしょう?』

<あーっ、あるような、ないような・・。>

『ピッ、説明してもいいですか?』

<却下します。>

『ピッ、あなた本当に考えるのが嫌いなんですね。まぁいいです。これは私の推測ですが、あなたが無事こちらの世界へ来た事によりこちらの世界は今までの流れが変化するはずなんです。これは国とか人間同士の関係とかいうちっぽけな範囲のものではなく世界全体に影響を与えるはずなんです。』

<はぁ、判るような、判らないような・・。>

『ピッ、なので未来の王子はメッセージに込めたあなたを呼ぶ名前を『未来』ではなく『ジャンヌ』に変更する必要が生じたのでしょう。』

<うっ、未来の王子って、なんか言葉だけ聞いていると嬉しくなるわね。私の王子って聞こえるわ。>

『ピッ、えーと、今言った未来とは時間軸における『未来』であって、あなたの事を言っている訳ではないですよ?』

<うるさいっ!判っているわよっ!それでっ!>

『ピッ、未来の王子が何故そのような事をしなければならなかったのかは判りませんが、そうする必要があった・・、いえ未来の話ですからここでは必要が生じると言うべきでした。つまり未来が過去に干渉したんですよ。その結果が今あなたが抱いている疑問となったのです。いや、これはあくまで推測ですからなったはずと言うべきですね。』

<むーっ、今まで私って名前にそれ程不便を感じなかったけど、こんなに未来、未来と言われるとこんがらがるわね。>

『ピッ、佐藤さんは砂糖関係でそんな事があるらしいです。』

<あーっ、砂糖とって、佐藤さん。ってやつね。>

『ピッ、そうゆう訳ですのでここは無難に王子から新しい名前を拝領してください。あっ、出来れば初めて聞いたって感じでお願いします。王子はなんだかがんばって考えたみたいですから。』

<うーっ、出来るかなぁ。なんせ私って森の動物Aしかやった事がないからなぁ。>

『ピッ、まぁ駄目でも説明すれば済む事ですけど、事を大きくしてもしょうがないでしょう?あなたはこれからもっと重大な事に従事しなくちゃならないのだから。なのでスルーできる事は無視するに限ります。』

<はぁ~、まぁそうね。>

『ピッ、ほら、あなたがいらん事で悩んでいるから王子が心配してますよ。あなた私との会話に集中し過ぎです。もっと外部からの刺激にも注意を払って下さい。』

ポチから注意されて漸く彼女は王子たちを蚊帳の外において長々とポチと喋っていた事に気付いた。そんな彼女の耳に王子の心配そうな声が届く。


「未来・・、おいっ、未来っ!大丈夫かいっ!」

「あっ、すいません、おう・・アルバート。ちょっとポチと話をしていたものですから。」

ポチとの脳内会話に専念していた為、身動きすらしなくなった彼女を心配してアルバート王子が彼女に声を掛けていた。その声に漸く彼女は我に返り返事を返す。


「ポチ?あーっ、サーチの事か。はははっ、君はサーチの事をポチと呼ぶんだね。うんっ、ポチか。いい名前だね。僕もこれからはそう呼んでもいいかい?」

「あっ、はい。どうぞ。」

『ピッ、私の呼称変更をアルバート王子にも適用致しました。以後、私の事はポチとお呼び下さい、アルバート王子。』

「うんっ、そうさせて貰うね。それで未来はポチと何を話していたの?」

「えっ、・・えーと大した事ではないです。」

王子の問い掛けを、彼女は先のポチからの説明により誤魔化そうとした。だが、いざ誤魔化そうとしても突然だったので中々よい理由が浮かばない。なのでポチが助け舟を出してきた。


『ピッ、それに関しては私からご説明させて頂きます。彼女はアルバート王子から新しく拝領する名前について私と賭けをしたのです。なのでアルバート王子からお名前を頂くまではちょっと話せません。』

「あっ、そうなの?ふ~んっ、そうかぁ。もしかして当てられちゃうかなぁ。あまり珍しい名前でも何だと思ってそれ程珍しくない名前にしちゃったからなぁ。」

『ピッ、ただ今のアルバート王子の発言により、私の勝率は12ポイント上昇しました。』

「はははっ、そうかい?それじゃ未来。今からここで命名式を行なっていいかな?」

「あっ、はい。私は構いません・・。」

「うんっ、それじゃホワイトが立会人だ。それでは未来、すまないがひざまずいてくれ。ホワイト、何か彼女に下に敷くものを。」

王子の指示にホワイトはソファーに掛けてあったタオルを持って来て床に敷いた。その上に彼女はひざまつき両手を胸の辺りで組み祈りのようなポーズを取る。


そんな彼女にアルバート王子は彼女の額に手を触れながらなにやら呪文のようなものを唱え始めた。多分それはこれから儀式を行なうと神々へ告知する言葉なのだろう。なのでその言葉は古代ガレリア語ではなかった。故にそれを彼女は魔法陣などに使われているアトランダム文明の言葉と推測した。

そんな呪文を唱える王子の声が3分ほど続いただろうか。突然彼女と王子の周りに魔法陣が出現した。それは次第に回転を始め、中心にいる彼女と王子に向って集束してゆく。そしてそれはとうとう彼女の中へと入り込み眩い光となって爆散した。

そんな光が消えた後には、それまでと変わらぬ姿勢のままの二人がいた。しかし、命名式はこれからが本番だったらしい。今度は彼女にも理解できる言葉で王子が宣言する。


「異世界より来たりし勇者よ。我、ガレリア王国第2王子アルバート・シビリアンがそなたにこの世界での名を授ける。そなたのこの世界での名は・・、ジャンヌ・オルレアンなりっ!」

王子からの命名に彼女は内心ちょっとだけずっこけた。そう、彼女は王子から授けられる新たな名前を彼女の世界での英雄である『ジャンヌ・ダルク』と一緒のものだと思っていたのだ。なのでジャンヌと言う名までは予想通りだったのだが、その後が『ダルク』ではなく『オルレアン』であった事に肩透かしをくった。なので彼女は脳内でポチに毒つく。


<ちょっとポチっ!どうゆう事っ!なんか名前が予想していたのと違うんだけどっ!>

『ピッ、儀式の最中です。なので説明は後で。』

<うっ、私あんまり堅苦しいのは苦手なんだけどなぁ。>

そんな彼女の願いが天に届いたのか、王子はまたしても例の言葉で呪文を唱え始める。これは多分儀式の終了を伝える言葉なのだろう。なので最後に王子は深々と天に向かって礼頭し儀式を終えた。そしてひざまついたままの彼女に話しかける。


「ジャンヌ、これからは君をジャンヌと呼ぶね。」

「はい、王子。私はこれからジャンヌ・オルレアンと名乗り王子の為に私が成すべき事をここに誓います。」

王子の言葉に何故か彼女は自分でも驚くほど堅苦しい返答をした。多分これはこの儀式のテンプレだったのだろう。だから彼女が意識せずとも勝手に言葉が口をついたのだと思う。

そんな彼女の返事に頷いた王子は、今度は傍らで推移を見守っていたホワイトの方へ言葉を掛けた。その言葉をホワイトは片膝をついて受ける。


「以上を持って勇者の命名式を終了する。立会い人アンソニー・ホワイト。貴殿はこの儀式を承認するか?」

「はっ、私アンソニー・ホワイトは此度の命名式をしかと見届けた事をここに宣言いたします。おめでとうございます、アルバート・シビリアン王子。また、勇者ジャンヌ・オルレアン。私は以後、貴殿のしもべとしてあなたに仇成す全てのものを排除する事を誓います。」

ホワイトからの降って沸いたような突然な臣下の礼に彼女は驚く。だが今は儀式の途中だという思いから声には出せなかった。

「それでは勇者ジャンヌ・オルレアン。我らの歩む道は茨の道なれど人の道である。勇者のチカラを持ってすれば敵国グレートキングダム王国をこの地上から消し去るのも容易かろう。だがそれはあなたが成すべき事ではない。だから勇者よ、私を見守っていてくれ。私は自らのチカラで道を切り開きたいのだ。」

王子の言葉に彼女は震えた。そう、王子は勇者のチカラなど欲していなかったのだ。いや、それは違う。正確には勇者のみに露払いをさせたくないのだろう。絶対的なチカラを有する勇者を召喚し、そのチカラで敵を討つ。それを自分は安全な後方から眺めているだけなどという立場に自分を置く事が王子には出来なかったのだ。

だが、王子は自分の限界も知っていた。今の王子のチカラではグレートキングダム勢力をこのガレリア王国から追い出す事ができない。いや、時間を掛ければ成せるかも知れないが、それには計り知れない数の犠牲を伴う。

それを解決する為の勇者の召喚であったが、それでも王子は自ら戦いの先頭に立つ事を選んだのだ。それが先ほどの言葉だった。


王子は勇者ではない。そう、この世界では同時代に勇者はひとりだけ。ふたりの勇者は並び立たないのだ。だが彼女は感じていた。王子こそが本当の勇者なのだと。

勇者とは人々の先頭に立ち、道を切り開き導く者である。それに当てはめれば王子こそがこの時代に選ばれた真の勇者なのかも知れなかった。


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