完璧なる成果
「ただいま~!」
「おかえり…」
いつもの宿屋へと帰宅する一行。
多額の金銭を毟り取ってきて三人が三人とも上機嫌だ。
レイだけは少し闇を感じるが…。
「いや~レベルも上がったしお金儲かったし大成功だったね!」
「まあ後半はお前らしかレベル上がってないけどな…」
「私たちは悪くありません。あの変態達がいけないのです」
光を失った瞳でレイが反論をする。
その瞳を見たガリルは冷や汗を流しながら押し黙るしかなかった。
「まあよかったじゃん!全員上位ジョブになれるレベルになったんだしさ!」
そのラディーの発言を聞き、ニナがわなわなと震えだす。
「なぬ…!みんなずるい…うち、置いてけぼり…」
し、しまったあああ!ニナのことすっかり忘れちゃってた!
一同は冷や汗を流しながら視線を外し気まずそうにする
ショボンと俯いてしまう。
今にも泣き出してしまいそうなニナ。
その容姿のせいでとんでもない罪悪感を感じる三人、必死の謝罪を繰り返す。
「そ、そのなんだ。悪かったな。俺で良ければいくらでもレベリング付き合うからさ」
「ニナちゃんごめんね!あたしもいくらでも付き合うよ!それにクラフターの素材集めとかもさ!だからね!元気だして!」
「作戦立案者私なわけですし、本当にごめんなさい!攻めるなら私を攻めてくださいませ…」
ガリルは頬をかきながら視線をニナの高さに合わせ謝罪をする。
ラディーはお得意のパーソナルエリア破壊でニナに抱き着いき、
レイは頭を下げる機械のように謝罪を繰り返していた。
そこまでされてようやく機嫌が治るニナ。
しかしすぐにまた機嫌を損ねることになる。
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ネーム:ラディー
レベル:34
ジョブ:忍
ステータス:VIT:0 STR:44 INT:0 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:口寄せ【かまいたち】
開眼
乱翼双剣
パッシブスキル:見切り
縮地
移動速度上昇
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ラディーの双剣師の上位ジョブは『忍』と『デュアルマスター』の二つだった。
忍は火力こそデュアルマスターには劣るが、レベルを上げていけば様々な状況に対応出来るジョブ、そして『縮地』の存在が大きい。
地形移動に特化したスキルで、簡単に言えばみんなが想像する『忍』のように飛んだ跳ねたと便利かつ、プレイヤーが経験したことのない体験が出来るジョブになるため人気ジョブの一つだ。
『開眼』は便利スキル。自分とのレベル差が10以内の敵ならば、弱点属性、弱点部位がわかるというスキル。
『乱翼双剣』、自身の仕様している武器に付与するスキル。計十回までの攻撃の威力を上昇させるエンチャントだ。
敵に張り付き手数で押す。そんなスタイルのジョブが忍だ。
「あたしにピッタリっしょ!」
と一切迷うことなく選ぶほどラディーに打ってつけのジョブだ。
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ネーム:ガリル
レベル:30
ジョブ:機工術師
ステータス:VIT:0 STR:0 INT:40 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:パワーショット
武装変換
バーストショット
オートタレット
パッシブスキル:マナチャージ
マナアーツ
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ガリルが選んだのは『機工術師』。
もう一つの派生で現れたのは『ツインガンナー』だった。
『機工術師』は一風変わったジョブデザインとなっており、扱いが難しく平均的なダメージを出せるプレイヤーはごくわずかだ。
まず第一に『武装変換』で両手に持つ片手銃から、遠隔射撃用のスナイパーに切り替わる。
このスナイパーの仕様がネックで『システムアシスト』の影響を受けられない。
当てるためには自分のステータスと腕頼りという事だ。
そしてスナイパー限定パッシブスキル『マナアーツ』。
撃てば撃つほど『アーツ』がたまっていき上限を迎えると『バーストショット』を打ち出せる。もちろんアシストは受けられない。
一度放つとスナイパーの再使用可能まで3分間使用が出来なくなるのだ。
この仕様のせいで『この状況ならスナイパーのほうが強い』場面とそうでない場面の両立が難しく、大前提として遠距離からアシストなしで当てるのがそもそも難しいのだ。
「うわ、レベル差4もついたのか。三十戦ぐらい俺より多かったもんなあ」
「へっへ~ん!あたし120人抜きだもんね!」
120戦無敗のラディーがドヤァっとしている。
が、そこでラディーがでもさ~と話しを続ける。
「レイのが凄いよね~、200人抜きだっけ?」
「そうですね、みな変態さんばかりだったようで困ったものですよ…」
「確かに!200人抜きでもあるけど200人にヌ―――」
瞬間音を置き去りにする猛烈なのど輪がラディーに襲い掛かる。
女の子同士とは言え、本人が嫌悪感を抱いている事を程度の低い下ネタにしたラディーへの制裁だ。
「お静かに…ね…?」
絶望の瞳を向けてくるレイに対し、ラディーは顔面蒼白の涙目で壊れた人形のようにガクガクと震えながら謝罪を繰り返し続けた。
レイへの挑戦が多いのには理由があった。
ジョブが拳闘師であったこと、そして痛覚が遮断されている世界で絶世の美少女に暴行される快感を味わいたい物、寝技を受ける際胸が当たる、新たなる道を開拓してしまった人々等々だ。
そんなレイも例に漏れず上位ジョブになっていた。
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ネーム:レイ
レベル:38
ジョブ:グラップラー
ステータス:VIT:0 STR:48 INT:0 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:疾風怒濤
金剛の一撃
剛拳
パッシブスキル:拳圧
風牙拳狼
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圧倒的な数デュエルしたレイが最高レベルになっていた。
そして選択したジョブは『グラップラー』、もう一つの派生は『ウォーリアー』だった。
迷う事なくグラップラーを選択、理由は『ウォーリアー』は大戦斧を使ってのパワーファイター向きだったからだ。
ちなみにレイの初戦ののゴリマッチョもウォーリアーだ。
『疾風怒濤』は発動から三分間自身の移動速度、攻撃速度上昇と汎用性の高いものとなっているが、反面『金剛の一撃』は溜のいる強烈な一撃を放つというスキルのため難しいスキルだろう。
『剛拳』はかなり人を選ぶスキルだ。相手の攻撃に対し『剛拳』を放ち成功した場合相手を強制スタン状態にする。
いわばカウンター専用スキルとなっている。
『風牙拳狼』はラディーの見切りに近い。攻撃を回避すると5秒間攻撃速度上昇。尚このスキルは重複可。
要は避ければ避けるほど上限なく速くなる、というわけだ。
そんな話を聞いていたニナは四つん這いになって宿屋の簡素な床にぶつくさと語り掛けてしまうほどのショックを受けていた。
「みんな…ずるい…明日は、うちのレベル上げ…!絶対…!」
「そうですね、明日は普通に素材集めもかねてレベリングしましょうか」
「俺は構わんぞ」
「あたしも!」
それからは互いの成果を報告しあい明日に備え床に就く一行であった。
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【レイ200勝】 【ラディー120勝】 【ガリル90勝】
・計410勝
・ニナ制作装備売上金【750000ギル】
・デュエルで稼いだ金額【8200000ギル】
・合計【8950000ギル】