初めての制作
レイ達が金を巻き上げ、元い金策に励んでいた時ニナは別行動をしていた。
その理由は『生産ジョブ』に関する情報集めのためだ。
みんなで話した時、一人生産ジョブ出来るようになってもらって装備の購入、または他プレイヤーへの依頼はしない方向にすることになったのだ。
理由は単純、節約のためだ。
その分をスキル購入など別の目的に充てるためだ。
調べるうちに色々な事が分かった。
まず生産ジョブは全て一つに集約されており、それを『クラフター』と呼ばれている事。
クラフターのレベルを上げれば自然と『鍛治』や『調理』と言った生産ジョブ全てが上がっていく。
「一つだけ上げれば良いとか…ヌルゲー…」
クラフターのレベルの仕様は少し特殊な作りになっている。
まずバトルジョブとの別枠扱いなのでレベルは共通ではないのだ。
そしてレベルの上限が50。そのかわりに上限まで経験値を稼ぎレベルアップをするために試験のように作成しなければいけないものが指定されている。
その指定されているものがネックとの事だ。
『レアモンスターのレアドロップを三つ』など、運要素の強いものになっていた。
そのかわりなのか経験値を稼ぐのは比較的楽との事。
「おじさん…色々教えてくれて…ありがと…」
「なーに気にすんな!大事なクラフター仲間だからながっはっは!」
この世界の…クラフター以外に…ちょろい…
まだ50に到達した人…ゼロ…燃えてくるね…!
その碧玉の瞳を爛々と燃やしそそくさと作成道具一式をNPCから購入する。
先程のおじさんが初めてのお使いの子供を見るような優しい瞳をしているが気にしない。
「まず適当に…作ってみる…!」
人目を気にせず商業広場で作成を開始する。
ウィンドウを出し『製作』の文字をタップする。
まずは試しに木工師で作れる『ウッドロッド』を選択する。
すると模倣品のようなウッドロッドが出現した。
クラフターの制作で重要なのは『バランス』と『速度』。
制作装備を作る場合大きく『区画分け』されており、『赤』『紫』『青』『水色』『白』の5段評価が存在し白が最高品質にあたる。
そしてその区画を可能な限り全て白に近づけていく、という作業なのだがここで重要なのがバランス。
例えば一か所『白』までその区画を上げ、その隣が『赤』だった場合マイナス補正がかかり『白』は『青』まで落ちてしまう。
故にバランスが重要、しかし制作には制限時間が付いており『いかに最適のタイミングで最適なスキルを使用しながら最適な区画の品質を上げるか』にかかっている。
そして悩む時間もそうあるわけではないため非常に難しい。
慌ててパニックになる類の人には非常に向いていない仕様だ。
「なるほど…面白い…!」
前やってたMMO…作るの簡単すぎた…。
でもこっちのは面白い…やっぱ難しいほうが燃える…!
そして初めての自作装備が完成しようとしていた。
「お、嬢ちゃんやってるねえ!ん…?ええええええええええええ」
「うるさい…手元狂う…」
「いやえ?だってはい?」
言葉にならない言葉を発しているおじさんの事は無視して余白に親を殺されたのかと言うほど細かに、病的なまでに綺麗に削る。
「出来た…!」
「嬢ちゃんとんでもねえな…」
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ネーム:ウッドロッド
装備可能ジョブ:[魔術師][黒魔道士][白魔道士][エンチャンター]
基礎ステータス:VIT12 INT26 MND23
品質補正:VIT7 INT 20 MND17 DEF3
装備可能レベル:7
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「おー…うちの初期装備の三倍…強い…」
「嬢ちゃんそれ、その装備で出せる最高品質だぜ」
「ぬふ、ぬふふ…やっぱり製作は、楽しい…!」
もっともっと作って…みんなびっくりさせる…!
奪った素材…いっぱいある、だからどんどんレベル上げてみんなの装備作る…!
キラキラと瞳を輝かせながら公共設備が置いてある作業場へと駆け込んで行ったニナ。
「あの嬢ちゃん、いつか大物になるかもな、期待してるぜ!」
おじさんは満足気にその場を後にする。
尚おじさんのレベルは3の初心者な事はニナは知らない。