ジョブ決定!
そして1時間が経過し、各自が持ち寄った情報交換が始まった。
コアゲーマーが新たなゲームを始めた時の思考パターンはだいたい同じだ。
この四人も例に漏れず集めた情報は『効率よく強くなる』ためのものが非常に多かった。
効率のいい経験値稼ぎだったり、効率のいい金策だったりと。
四人が四人とも、ガチガチの効率厨だったのだ。
「話の内容を簡単にまとめてみた。今後の方針を決めるためみんなの意見を聞かせてくれ」
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・ステータスは「VIT」「STR」「INT」「DEX」「MND」「DEF」の六つ
・経験値効率、ソロ等倍 二人0,9倍 三人0,8倍 四人0,7倍、以降変動なし
・ジョブ昇華は一律Lv30
・PKあり、自分より高レベル者を倒すと経験値過剰取得。(レベル差により上昇量は変化)
・スキルは金銭で取引出来るものもある
・デスペナルティは着ている装備以外のインベントリの中身がその場に落ちる。回収可
・デュエルによる勝利でも経験値取得可
・最高効率は適正狩場で乱獲推奨
・クリア条件【幻珠を持つボスを討伐し幻珠を10個回収、のちに幻界のラスボス討伐】
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「さて、どう思う?」
「どうって言われても…」
「こんなの決まりっしょ!」
「やる…べし…」
ここにきても四人の思考パターンは同じだったのか。
四人が四人、まったく同じ結論に辿り着いた。
「PKだな」
「PKですね」
「PKでしょ!」
「殺る…!」
猟奇的な方法でのレベリングを選んでしまった四人。
効率だけ見れば装備以外のインベントリの中身を強奪できるうえ、経験値もおいしい、そして格上相手でも策を講じれば勝てる。
そしてこの世界のPKはレストエリアとされる街の中などでも不可能だが、フィールドならどこでもいきなり仕掛けることが出来る仕様になっている。
そしてデュエルではかなり細かな勝敗設定、賭ける物などを設定でき、両者が承諾さえすればレベル以外の全てを奪うことも可能だ。
次に四人が注目をしたのは戦闘動画だった。
この『ロードオブスロー』の世界にはプレイヤーのみが使用できるウェブサイトがあり、様々な情報が掲載されていたり、動画のアップロード。珍しい画像掲載などがされている。
そして四人はその戦闘動画を視聴しある結論にいたる。
「なあ、これ見て思ったんだけどさ…」
ガリルがボソッと発言するに呼応するかのように『うち…も…』『あたしもなんだよね~』『私もたぶん同意見です』と零す。
「「「「これ『タンク役』いらなくね?」」」」
1時間ほど様々な系統のモンスター、ボスの動画を確認したうえでの結論。
本来ならば必須とされている役割、プレイ人口も非常に多い。
最前線で敵の攻撃を受け止め隙を作り、そこに火力役が攻撃を加えていく。
いわゆる『スイッチ』戦法がメジャーかつ最強と言われている。
それを来て早々『いらない』と決めつけてしまう。
理由は完結だった。『盾役でわざわざ攻撃受けて反撃するなら避けながら反撃するほうが効率的』という理由だった。
「次はジョブ選びだな。バランスのほうはしっかり運営が作りこんだみたいだし各々好きなジョブでいいよな」
「さんせー!」
「了解です」
「承知…」
真っ先にジョブを決めたのはラディーだった。
「あたしきーめた!」
声高々に宣言しながらメニューウィンドウを操作する。
そして決定ボタンを押した瞬間、ラディーの体が一瞬光に包まれ初期装備の見た目へと変わる。
「あたしは双剣師にしたよ!昔から近接の火力特化回避DPSしてたからね!自分のスタイルを貫くよ!初期スキルポイントもSTR全振りだー!」
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ネーム:ラディー
レベル:1
ジョブ:双剣師
ステータス:VIT:0 STR:10 INT:0 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:
パッシブスキル:見切り
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「最初からパッシブ発動してますけど、どんな効果なんですか?」
「んとね~、『攻撃を回避してから二秒間ダメージ上昇』だよ!この見切りのために選んだ感あるんだ!」
「結構ピーキーなスキルですけどラディーさんらしくていいと思います」
「ラディーでいいよ!後同じパーティーなんだし敬語も無しにしよ!」
「そ、それもそうだね。ありがとうラディー」
ラディーは決断力あって羨ましいですね…。
さて私はどうしようかなー、前は基本サポート役だったけど…せっかくだしやったことない系統もやってみたい…うぅ~悩む~
とレイが悩んでいる時。
「俺も決めた」
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ネーム:ガリル
レベル:1
ジョブ:魔銃師
ステータス:VIT:0 STR:0 INT:10 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:パワーショット
パッシブスキル:マナチャージ
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「魔銃師なんてのもあるんだ!どういうジョブなの?」
「マナを消費して弾丸を打ち出す、だそうだ。だからパッシブで自動回復機能付いてるわけだ。システム補正である程度サポートしてくれるらしいけど、まあエイムに関しては問題ないだろ」
「エイムに自信あるんだね~!」
「というか本来FPSがメインだったからな」
遠隔ジョブには照準アシストという機能が働き、ある程度のサポートはしてくれる。
しかしサポートするだけであって当ててはくれない、七割程度は自力での射撃となるため他にある弓師や魔法関連のジョブを好んで使う人はあまり多くはない。
その反面しっかり当て続けられれば火力は中々の物となる。
「うちも…決めた…」
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ネーム:ニナ
レベル:1
ジョブ:魔法師
ステータス:VIT:0 STR:0 INT:10 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:ファイアボール アイススパイク
パッシブスキル:マナチャージ
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「うぅ…あとは私だけですか…決断力があって羨ましい限りです…」
「ゆっくりでいいよ~!それにジョブを昇華させたらチェンジできるみたいだし!」
「うぅぅぅぅぅぅ…ええい!こうなったら私も!」
私らしいジョブはこれしかないッ!
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ネーム:レイ
レベル:1
ジョブ:拳闘師
ステータス:VIT:0 STR:10 INT:0 DEX:0 MND:0 DEF:0
スキル:
パッシブスキル:拳圧
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「え~!以外だ、もっとオーソドックスな剣師とか選ぶかと思ってた!」
「じ…実はですね、私武家の娘でして…いろいろと仕込まれているのでそれが生きるかなって」
全員のジョブが決まり、操作方法を確認するように軽く体を動かしシステムのサポートの仕様など各々が確認を取る。
ひとしきり確認し終えた所で。
「よし、じゃあこれでジョブも決まったことだし」
「そだね!」
「私はいつでも」
「ばっちし…」
「それじゃ…」
「「「「狩の時間だ」」」」