圧倒的な説明不足!
その後、語尾に癖のあるおちゃらけた案内人から様々な説明を受けた4人。
この世界には『レベル』がありレベルが上がるにつれ『スキルポイント』『ステータス上昇』の他にジョブシステムがありジョブごとのレベルによって『スキル』が発現するとのことだ。
そのジョブも多岐に渡り『前衛』『火力担当』『回復役』『支援役』の四つに大雑把に分けられている。
更に元のジョブから高位のジョブが発現するとのこと、『魔術師』というジョブがあればそこから火力特化の『黒魔術師』や攻撃、支援の両立を図る『エンチャンター』などのジョブに派生するとのことだ。
「まあ、要するにMMORPGだろ?違う点はマウスキーボード、コントローラーを使うか生身かってとこだけって事か」
「そのようですね、あの案内人の話だと私達4人でパーティーを組むとの事でしたが情報が足りませんね…」
「私…MMOずっと…やってた…みんな、どう?」
「あたしめっちゃやってたよ!つか某MMOじゃ結構有名だったのよ!」
「んじゃ、とりあえず自己紹介でもするか」
そう名乗りを上げた唯一の男、高身長茶髪イケメンだ。
「俺の名前は…とそうだ、実名で行くか?みんなオンゲしてたんだよな。ハンドルネームとどっちにするか」
「あたし実名恥ずかしいからハンドルネームがいいで~す」
基本ゲーム内でのリアル詮索はタブーとされている。
「おっけ、じゃあ俺から。『ガリル』って名前で活動してた。基本FPSとMMOやってたかな。よろしく」
清潔感のある茶髪に、高身長。キリっとした顔つきの青年。
簡素な自己紹介だが不思議とそっけなさを感じさせないのは彼のカリスマ性によるところが大きいだろう。
「じゃあ次あたしね~!『ラディー』って名前で活動してたよ!あたしも基本MMOで好きなスタイルは攻めて攻めて攻めまくる!よろしくで~す!」
元気よく手を上げて自己紹介を始めた少しギャルっぽい美少女だ。
金髪ポニーテール、そこらのアイドルなんて目じゃないほど容姿端麗でしかも巨乳。
表情も性格も明るく、不思議と対人におけるパーソナルエリアを感じさせない才能の持ち主だ。
「それでは私ですね、『レイ』という名前で活動してました。クラン対抗戦やPVP、あとは大規模攻略などが好きでした。よろしくお願いします」
礼儀正しく一礼し自己紹介を終えたレイという少女。
その礼儀正しさを反映させたかのような清楚な容姿、銀の髪を腰まで伸ばし靡かせ、宝石を彷彿とさせる琥珀の瞳。
ただ細いだけではなく程よく肉付きのいい手足、まるで絵画から飛び出したかのような、レイが佇んでいるだけで芸術作品と呼べるほどの美しい少女だ。
「最後…うち…。『ニナ』です…。生産ジョブ大好きでした…」
内気そうな、かなり小柄な少女。
肩のあたりで切りそろえられた透き通った海を彷彿とさせるマリンブルーの髪。
碧玉をはめ込んだような煌びやかな瞳が可愛らしい容姿をより一層高めていた。
「これで全員か、これからどうする?運営から最低限の事は聞いたけどわからない事多いしな」
おちゃらけた案内人から聞いたのはシステム面の最低限なことだけ。
なんだったらクリアするための道筋の欠片も説明をされていない。
「そうですね…やはり情報が足りないのでいろんなプレイヤーに聞き込みしたり、とかですかね」
「さんせー!」
「異論…ない…」
「んじゃ各自で情報集めってことで。1時間後に集合で」
そして四人は散り散りに去って行った。