違和感
「こんな感じかしらね。どう、前の学校と比べて」
放課後、俺は錦戸さんに学校を案内してもらっていた。
「いいよ、なんていうかドラマみたいな学園だな。部活も個性的なのが多いし」
「よく言われるわ。中庭の噴水なんて特にね」
「あー、確かに俺の学校じゃなかったな。ところで、図書室は案内されてないけどないのか?」
「図書室なんて行く人がいないから忘れてたわ」
「へえ、なんで」
「なんでだろう、分からないわ。でも案内はするわ。場所は………」
案内はして貰ったが、彼女の言う通り入っても図書室には誰もいなかった。ただ一人を除いて。
「あの子、同じクラスだよね。名前はえっと確か」
「ああ音無さんね。彼女、いつも図書室にいるの」
「本が好きなのかな」
「どうかしらね。いつも一人でいるからよくわからないわ。まあ、今日はこんなとこね。私はこれから部活があるから何かあったらまた言って」
「ああ、ありがとう」
彼女は手を振って小走りで去っていった。
いい人だなぁ。
やる事ないし俺は帰るか。
暇だ。
一人には慣れているが、ゲームや漫画は実家に置いてきたからやることと言ったらスマホいじることくらいだが、年寄りの家らしくwifiは飛んでないから動画も見れない。
「よし漫画を買いに行こう」
と言っても一番近くの本屋でも徒歩20分以上かかるが、まあ良い運動になるか。
俺は早速準備して家を出た。