転校
ゲームやアニメだと転校というのは一大イベントの一つだが、実際はそんな大層なものではない。ただ新しく生徒が増える。それだけだ………それだけなのだが
「今日、転校生が来るんだってな、美少女だといいなぁ」
「俺は巨乳」
「ほんと、男子はこれだから。でも私はイケメンがいいなぁ」
「私も〜」
廊下から聞こえる声はゲームやアニメのようなざわめきで溢れていた。
転校ってこんなだっけ、こんか盛り上がるヤツだっけ。
田舎だからか。
「はいはい、静かに。転校生が入り辛いでしょ。神野君、入ってきて」
「はい」
入ると
「なんだよ、男かよー」
「可もなく不可もなくって感じ」
盛り上がったのはいいが、散々な歓迎である。
「さあ神野君、自己紹介をお願い」
「神野光輝です。今日からよろしくお願いします」
「神野君はおじいさんの家からしばらくこの学校に通うらしいから皆、仲良くしなさいよ。席はそうね。あそこの空いてる席に座って貰える」
「はい」
指された席は窓側の隣か。
まあ、後ろの方だしいいか。
窓の席を見ると黒髪の美少女がつまらなさそうに窓を眺めていた。
「よろしく」
「………」
聞こえてないかのように彼女は窓を眺めていた。
軽くショックを受けたが、朝礼の終了と共にそれはかき消された。