プロローグ
田舎というのは帰るというイメージが強い。まあ、好き好んで住もうって場所ではないかもしれない。
ただ故郷となると話は別だ。
夢見市夢見町、両親が共に転勤族だった俺は小学校卒業までを祖父母が住むこの町で過ごした。
だが卒業と共に両親の転勤先に付いて行き、その後は忙しくて全然来れず、祖母が死んで以来だから来るのは実に3年ぶりだろうか。
まあ、今回来たのも顔見せではなく、祖父が日射病で倒れたという連絡が病院から両親に入ったが、両親は忙しい為、春休み中の俺が代わりに面倒を見にということだった。
だから、またしばらくはいることになるだろう。
そんなことを考えていたら、駅に着いた。
久しぶりだというのに何も変わらないな。
ただ春だと言うのに暑いなぁ。
そう言えば夢見町で何人か日射病で倒れたとニュースになってたな。
直で病院に行こうと思ったが、とりあえず荷物を家に置きに行かんと死ぬ。
幸い命に別状は無いと言ってたし病院は荷物を置いてから行こう。
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家に入ると、男所帯になんとやらというか、埃っぽさと散らかしっぷりにため息が出た。
ひとまず、かつて俺の部屋だった場所はそのままだったので寝泊まりはそこでやればいいか。
「ふぁぁぁ、朝早く家出たからな。着いた途端急に眠気がしてきた」
少し横になるか。
急な眠気に逆らえず俺は近くのソファで横になった。