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異世界転生は履歴書のどこに書きますか  作者: 打段田弾
第6章「異世界大戦」編
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道の先に

「――――……がっ! ……無事、だったの……?」


 一方で、紫炎の海の中でマリーは瞳を開ける。視界を覆う絶望的な紫炎の波に死まで覚悟したが、その身体は無事の一言に尽きる。

 防御も回避も間に合わなかったマリーたちだが、這い寄る紫炎は不可視の壁によって遮られている。


「ガウロン……!」


 マリーは咄嗟に顔を上げる。空に佇む鷲獅子は苦悶に顔を歪ませながら、大翼を広げて不可視の壁を展開していた。


「グ……、ゥゥゥ……ガッァァァ!」


 気合いで咆哮を上げるガウロンの身体は炎に爛れている。咄嗟に眼下に大気の壁を展開したガウロンだったが、その身体を覆うことはできなかった。仲間を守るための壁の厚さと強度を優先し、己が防御を後回しにしたのだ。


「おいガウロン。貴様、なんて無謀なことを……!」

「喧しい。我とて誇り高き幻獣である。ドラグノートがいなくなったからと言って、我が気概を見せずとてどうするかっ!」


 ガウロンはバルバボッサの言葉を吐き捨てた。紫炎に焼かれ満身創痍ながらも、魂と意地だけで頭を持ち上げて誇りを叫んだ。


「そうだともガウロン。(わらわ)たちが膝を折ってはいけぬ。例え焼かれようと砕かれようと、その身で先陣を切らねば誰が往くのか!!」


 ガウロンの気高き姿にスカーに火が付いた。大地を覆う紫炎の海に抗うスカーは、全身に黄金の炎を纏った。金翅鳥の鎧を纏うスカーは、その身を業火の化身に変えて海を駆け抜ける。

 一帯を覆う紫炎の海をスカーが切り裂く。黄金の奇跡が醜悪な炎を切り裂き、先へ進むための道を切り開く。


「おれらもスカーに続くぞ!」

「ミッチーの加勢に行くよ!」


 スカーが切り開いた道をマリーたちが駆け抜ける。ガウロンが攻撃を防ぎ、スカーが道を開拓する。仲間が紡いだ道を疾走し、単独で戦う道周の元に向かう。

 魔王が総力を傾けたということは、マリーたちの攻撃が響いている証拠である。目の前の勝利に向かって全力で畳みかけようと前進する。

 孤軍奮闘する道周の背が見え、加勢せんと士気をあげたとき、血相を変えた道周が振り返った。


「皆逃げろ! こいつ、自爆するつもりだ――――!」

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