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異世界転生は履歴書のどこに書きますか  作者: 打段田弾
第6章「異世界大戦」編
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ぶつかり合う魂 2

「油断をするナ! 魔王はただデカいだけではなイ!」

「Oooo雄ぉぉぉ!」


 高速移動をしたアドバンが魔王に追い縋った。危機一髪のところで魔王の前に割って入り、拳を振るって迎え撃つ。

 アドバンは蒼白の肌を侵食する紅蓮の血に悶えながら、燃え上がるような力に触れて能力が飛躍的に上昇している。

 魔王の攻撃の軌道を遮ったアドバンに続き、鬼化したドラグノートが追撃を仕掛ける。紅蓮の双角から深紅の熱線を放つと同時に、黒雷を纏った巨躯で魔王に激突した。


『貴様らの力も見飽きたわ。付け焼刃の強化で我に追い付けるか!』


 魔王は一度は自身を揺らした相手にも怯まない。不覚さえ取られなければ、押し返すことは可能であった。

 圧倒的な速度と膂力で押し相撲をするドラグノートだが、地力の差が浮き出る。

 超重量を誇る魔王がドラグノートを押し返し、立ち塞がるアドバンを紫炎が包み込んだ。


「ふっ! こんな炎、オレに通じるとでも思ったカ!」

『通じるとも……。貴様が消し炭に果てるまで、出力を止めなければいいだけの話だ!』


 一度は魔王の紫炎を振り払ったアドバンだが、絶え間ない火炎放射に包まれた。何度も紫炎を振り払うも、幾度となく浴びせられる熱量に圧倒される。


「妾の前で炎とは粋がったな。火力勝負ならば、妾が受けて立つ!」


 炎には炎。紫炎には黄金の業火が立ち向かう。

 スカーが放った黄金の火炎弾は、一つ一つが金翅鳥を形成して飛翔する。金翅鳥の火炎弾は各個が異なる軌道で飛翔し、魔王の繰り出す紫炎を浄化するように燃やし尽くした。


『火力勝負だと? 我と貴様で勝負になると真に思い上がっているのか?』


 紫炎を撃墜された魔王だったが、激しく息巻いて追い打ちとなる紫炎を生成した。此度の紫炎は夜の帳を覆い隠すほど散りばめられている。その弾幕の数は100を超えており、さすがのスカーの権能を用いても撃墜が難しい。


「おいおい。この勝負、タイマンだと勘違いしているんじゃねえんだろうな?」

「全くだ。こちらは総力戦だ。1人を注視していると、こうも懐に忍び込み易いとは!」

「よし。このまま叩き斬るぞ!」


 魔王がスカーに焦点を絞った隙を突いて、バルバボッサとガウロンが懐に飛び込んだ。ガウロンに騎乗する道周は魔剣を掲げ、接近する魔王の肉体に突き立てた。


『見逃すものか! 貴様らは我の射程に入り込んだ虫よ!』


 しかし魔王には一分の隙もなかった。頭上に展開した紫炎を鎧のように纏い、接近した道周たちを迎え撃つ。


「関係なし。そのまま斬る!」


 しかし、魔王が纏う紫炎の鎧など道周の前ではないにも等しい。魔剣を振るえば、異能で形成された紫炎は両断され、魔王の生身への道が切り開かれる。


『ぐっ……!』


 道周はこの好機にありったけの剣戟を加える。騎乗という慣れない状態の中、魔王に計五太刀を浴びせた。

 身体に深い太刀筋を受けた魔王が声を漏らす。傷口からは鮮やかな血飛沫が舞うが、巨体にとっては大した傷ではない。ごくごく僅かなダメージで引き下がることなく、魔王は八肢と蛇尾を繰り出す。


「うおぉぉぉ!」


 魔王の迎撃にはバルバボッサが立ち向かう。腕に青雷を溜め込み一息に打ち出す。魔王の巨躯には及ばなくとも、バルバボッサとて屈強な体躯を誇る。全身の筋肉を連動させ繰り出す鉄拳は、アドバンたちのようにはいかずとも魔王の腕を振り払うには十分だった。


『小癪なぁぁぁ!』

「うぉぉぉりゃぁぁぁ!」


 魔王の八肢とバルバボッサの拳打がぶつかり合う。しかし手数は魔王に軍配が上がり、迎撃を掻い潜った節足がバルバボッサを打ち抜いた。

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