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異世界転生は履歴書のどこに書きますか  作者: 打段田弾
「イクシラ革命戦線」編
27/369

ブレイクタイム・ブレイク

あらすじ

マリーは異世界で目の当たりにした出来事を包み隠さずに打ち明けた。深まる謎とそれぞれが馳せる思いとは。

「--------ということで、私の話はこれにておしまい」


 傾聴していた3人は小さな拍手を返す。

 そして一転、美少女とハーフエルフとメイドが小難しい顔で思考に耽る。


「やはりマリーの撃ち出した魔法の謎が深まるね」

「ですです。エルフでもあれほどの魔法を放つのは至難のです」

「もしやとは思いますが、マリー様の系譜は「魔女」ではありませんか?」

「どうなんだいマリー。君の両親は魔女だとか高名な魔法使いだったりは」

「しません」


 訳の分からない話題の渦中に投げ込まれ、マリーはぶっきらぼうに答えた。異世界トークに関われないのはよしとしても、蚊帳の外で話を進められるのは面白くない。


「第一、私は親の顔も見たことないもの。幼少は施設、14からマンションの一部屋与えられてずっと一人暮らし」

「資金はどうしたんだい?」

「匿名の融資があったの。顔も知らぬ娘を不憫に思った馬鹿親の、せめてもの罪滅ぼしじゃない?」


 マリーの声変わり心なしか荒くれた。若干の怒気を感じ取ったセーネはこれ以上追及することはない。

 重くなった空気を察知したできるメイドことシャーロットは、無機質な声を無理に上擦らせて陽気に振る舞う。


「わたくし、件のミチチカ様の「魔剣」なるものにも興味がございます。竜人の炎や魔法の光弾を斬ったかと思えば、山岳を崩す一撃を放ったとは。失礼ですが未だ半信半疑です」

「でも本当の話です。私も目にしました」


 シャーロットとソフィ、2人のハンナが気丈に振る舞い暗くなった空気を振り払う。

 その努力の甲斐あってか、マリーもいつもの明るさで会話を返す。


「私も何がなんだかだよ。ミッチーが二度目の異世界転生だの、魔剣がどうだのは全く知らないんだよねー。秘密主義と言うより、遠ざけられているみたい」

「確かに、その節は見受けられましたね」


 寂しそうに俯くマリーにソフィが同調する。


「その辺りは本人に尋ねてみるとしよう。

 聞く限りミチチカは強者のようだ。雪崩くらいではくたばらなかろう」

「セーネ様の仰る通りでございます。イクシラ(こちら)側に滑落したのなら、我々の同士が見付けるのも時間の問題かと」

「ありがと」


 励ましを受け止めマリーは素直に喜びを表した。


「さて、次は僕たちの身の上と置かれている現状を話さなければならな」


 重苦しい雰囲気から一転して和やかに歓談するレディースの元に、1人の伝令が飛び込んできた。


「失礼します!!」

「何々どなた!?」

「安心したまえ、僕たちの仲間だよ」


 扉を蹴破らんとする勢いの伝令にマリーは飛んで驚いた。セーネに宥められマリーは椅子に着き直したが。まだ鼓動は収まらない。

 呼吸を乱し深く被ったフードから覗く伝令の顔色は青ざめている。

 切羽詰まった伝令に対し、セーネは的確な指示をシャーロットに下した。


「水を一杯やってくれ。落ち着いて話を聞こう」

「かしこまりました」


 シャーロットは指示に従い素早くグラスを伝令に手渡した。

 伝令は差し出された水を一息に煽ると呼吸を整え口火を切った。


「探し人が見付かりました!」


 マリーが顔色を変えて食い付く。


「ミッチーが!? どこにいるの!?」

「それが……」


 しかし伝令の歯切れは悪い。言い辛そうに苦い表情をして言い淀む。

 そんな伝令に痺れを切らしたセーネが喝を入れた。


「早く言いたまえ。何か不都合があったのならば対応しなければならないだろう?」

「申し訳ありません」


 頭を垂れた伝令が意を決して答えた。


「それが……、"エルドレイク"の街でして……」


「え」

「えぇ」

「えぇっ!?」


 マリーを除く全員の顔が青ざめる。

 またまた話題に置いていかれはマリーは憮然とした。

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