魔性解放
あらすじ
道周が解き放つ魔剣の奥の手、それは「魔性解放」。
魔剣の神秘と世界の圧力が交差するとき、戦況は崩壊する。
道周が持つ魔剣は「神秘を絶つ神秘」を秘める。
一見矛盾して見える異能はその実……、完全なまでに矛盾しきっていた。
「神秘」を「神秘」が絶つ。
すると「神秘を絶つ神秘」を「神秘」が絶つ。
ならば「神秘を絶つ神秘を絶つ神秘」を「神秘」が絶つ。
あとは螺旋のように「神秘を絶つ神秘」の連鎖が続く。
このように魔剣の内部では終わりなき異能の連鎖が続いていた。
ではなぜ魔剣はその形を保ちながら「神秘」を絶つことができるのか?
その疑問は魔剣に嵌められた碧玉が解決している。
魔剣の鍔に嵌められた碧玉はただの飾りではなく、一種の「拘束」の役割を担う。
輝く碧玉の一つ一つには、「終わりなき神秘の連鎖に杭を打ち込む」という異能が込められている。
この固定化なくして魔剣の成立は有り得ない。
道周は碧玉の拘束を解き放つことを「奥の手」とし、「魔性解放」と称していた。
拘束を解く詠唱の後、碧玉の一つが弾け飛ぶ。瞬間的にかつ限定的な解放により呼び起こされるのは「神秘」の連鎖。
異能が無限に連なり、世界の法則を揺るがす矛盾が露になる。
この世に固定化された矛盾が際限なく膨張を始めると、世界は異端を取り除かんと干渉を始める。これをかつての邪神は「修正力」と表現した。
魔剣の異能は気化する液体のように。
世界の修正力は膨らむ風船を押さえ付けるように。
相反する巨大な二つの力を魔剣に収束する。
魔性解放から数秒間ではあるが、刹那的に力は爆発する。
7つの玉座に残る碧玉は4つ。
「魔性、解放!
この剣、神秘を断つ神秘。この我、矛盾を突き付け仇を成す者。世界よ、挑んで見せよう--------!」
地面に突き刺された魔剣は神秘を解き放った。膨れ上がる存在感に対して、世界は修正力をかける。
魔剣の力と世界の力が干渉し合い歪みをもたらす。絶大な力同士がぶつかり山岳を震撼させる。
関所どころではない。山自体が内側から揺すられ震える。その地鳴りは脈々と続く山岳一帯へ轟き、地脈を通じて連峰すら震わせる。
地鳴りはやがて瓦解の音へと色を変える。
足元は揺らぎ踏み締めていた大地が脆く崩壊し始めた。仰ぐ天が遠退いて行く。
助けを求める手を伸ばしても、その手を取れる者はいない。
天地が倒錯していく恐怖に悲鳴が止まない。
崩壊の轟音と悲鳴が混濁し不協和音となる。
魔王領域"エヴァー"と最大北方領域"イクシラ"を隔てる山脈は、砂の城のように儚く崩れ落ちた。
あらすじ
魔剣の話を今回すればよかった。
前回の一口メモと今話でほぼ説明し尽くしたorz。




